日米首脳会談でグローバルパートナーシップの継続を確認、日豪・日印首脳会談も実施(日本、米国、オーストラリア、インド)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月24日 10時30分
日本の岸田文雄首相は9月21日、訪問先の米国デラウェア州ウィルミントンで同国のジョー・バイデン大統領と日米首脳会談を実施した(日本側発表、米国側発表)。岸田首相とバイデン大統領は、ともに退任を明らかにしていることから、最後の首脳会談になるとみられている。
外務省の発表によると、岸田首相はバイデン大統領に対し、日米両国の平和と繁栄を支えてきた国際秩序が新たな挑戦に直面し、歴史的な転換点を迎える中、日米同盟やグローバルパートナーとしての日米協力の重要性が一層高まっていると指摘した上で、バイデン大統領のリーダーシップで日米同盟はかつてなく強固になった、と述べた。ホワイトハウスの発表によると、バイデン大統領も、岸田首相のリーダーシップで日本が防衛能力を根本的に強化し、世界における役割を変革してきたなどと称賛した。
防衛分野では、両首脳は、日米同盟の抑止力・対処力を引き続き向上させることの重要性で一致した。また、2024年4月の日米首脳共同声明(2024年4月11日記事参照)に基づく日米安全保障協力の取り組みを着実に進めることで一致した。このほか、中国、北朝鮮、ロシア、中東などの地域情勢について意見交換した。
経済分野では、岸田首相はバイデン大統領に対し、インド太平洋経済枠組み(IPEF、注1)や日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2、注2)の立ち上げなどの成果を振り返るとともに、日本は米国にとって最大の投資国として米国経済に貢献していること(注3)、こうした土台の上に今後も日米連携を一層強化していくことを強調した。また、両首脳は、経済的威圧に対する強靭(きょうじん)性を高めつつ、人工知能(AI)や半導体などの重要・新興技術の開発と保護に引き続き取り組むことを確認した。
会談の最後には、今後も日米両国が自由で開かれた国際秩序の中核を担うグローバルパートナーであり続けることを確認した。
岸田首相は同日、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、インドのナレンドラ・モディ首相とそれぞれ首脳会談を実施した。日豪首脳会談で両首脳は、安全保障分野を含む2国間協力や、地域・国際情勢について意見交換を行ったほか、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)や経済安全保障分野での協力強化を確認した(日本側発表)。日印首脳会談では、両首脳は幅広い分野について両国で引き続き連携していくことを確認した(日本側発表、インド側発表)。
(注1)IPEFは、バイデン大統領が訪問先の日本で2022年5月に立ち上げを発表した、日米両国を含むインド太平洋地域の14カ国がサプライチェーンの強靭化やクリーンエネルギーの推進で協力を図る経済連携の枠組み(ジェトロの特集「IPEFの動向」参照)。
(注2)日米経済版2プラス2は、2022年1月の日米首脳会談で立ち上げに合意し(2022年1月25日記事参照)、これまでに2回の閣僚会合を開催した(2022年8月1日記事、2023年11月16日記事参照)。
(注3)米国商務省が2024年7月に発表した2023年末時点の米国の対内直接投資残高のデータによると、日本が5年連続で最大の投資元国となった(2024年9月6日付地域・分析レポート参照)。
(葛西泰介)
(日本、米国、オーストラリア、インド)
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