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ASEANの気候変動に対する意識調査、ISEASが最新結果を発表(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月18日 9時55分

シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所〔旧・東南アジア研究所(ISEAS)〕は9月17日、ASEAN加盟国の国民の気候変動に対する意識などを調査した「東南アジア気候見通し:2024年調査報告(Southeast Asia Climate Outlook:2024 Survey Report)」を公表した。

同報告によると、「気候変動をどのように考えているか」との問いについて、ASEAN全体では「監視に値する重要な問題」(47.0%)と回答した割合が最も高く、「自国に深刻かつ差し迫った脅威」(42.5%)、「長期的な脅威で、自身の生涯に影響を与えることはない」(6.1%)などが続いた。本質問が設けられた2021年調査結果と比べると、「自国に深刻かつ差し迫った脅威」(2021年:72.2%→2024年:42.5%)と回答した割合が大幅に減少した一方で、「監視に値する重要な問題」(25.7%→47.0%)と回答した割合は増加した(注)。ISEASはこうした変化について、「ウクライナ紛争、ガザ紛争、持続的な物価上昇、食料・エネルギー価格の上昇といった地政学的・経済的圧力により、環境・気候問題が目立たなくなっている可能性がある」との見方を示した。

所在国において最も可能性のあるエネルギー源を2つ選ぶ問いでは、ASEAN全体で「太陽エネルギー」(69.0%)を挙げた割合が最も高く、「水力」(41.8%)、「風力エネルギー」(31.8%)などが続いた。2023年調査と比べると順位に変動はないものの、「太陽エネルギー」(2023年:80.1%→69.0%)と回答した割合が10ポイント余り低下した。そのほかでは、「グリーン水素」(8.3%→13.8%)や「原子力エネルギー」(6.1%→9.9%)などの回答割合が増加した。ISEASは報告書において、マレーシア(12.7%→23.4%)、インドネシア(7.8%→13.7%)、ベトナム(6.5%→15.3%)で「グリーン水素」と回答した割合が増加したことに触れ、各国の水素戦略発表との関連に言及した。

本調査はISEASが2020年から毎年実施しており、今回で5回目。最新の調査はASEAN加盟国の学術界・シンクタンク・研究機関、産業、政府、地域組織・政府間組織・国際機関、市民社会組織、メディア、学生、退職者などに分類される計2,931人の回答をまとめた。調査期間は2024年7月10日から8月17日まで。報告書はISEASのウェブサイトで閲覧できる。

(注)ASEAN全体のデータについては、人口規模や性別人口構成で重み付けされている。過去に発表したデータも同様に処理されているため、過去の調査報告書内のデータと異なる場合がある。

(朝倉啓介)

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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