欧州委、EUとユーロ圏の2021年の経済成長予測をともに0.4ポイント下方修正(EU、ユーロ圏)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年2月17日 0時20分

添付資料PDFファイル(69 KB)

欧州委員会は2月11日、冬季経済予測(中間予測、注1)を発表した。EU加盟27カ国の2021年の実質GDP成長率を3.7%と予測し、前回の秋季経済予測(2020年11月10日記事参照)の4.1%から0.4ポイント下方修正した(添付資料表1参照)。一方で、2022年の実質GDP成長率は3.9%とし、前回の3.0%から0.9ポイント上方修正した。ユーロ圏19カ国については、2021年の実質GDP成長率は3.8%と、前回の4.2%から0.4ポイント下方修正し、2022年も3.8%とし、前回の3.0%から0.8ポイント上方修正した。

欧州委は、EUとユーロ圏の経済は、2021年後半から2022年にかけて経済成長の勢いが従前の予想以上に強まる見通しとなったことを理由に、より早く「新型コロナウイルス危機」前の水準に達するとした。新型コロナウイルス感染拡大の第2波を受けて、2020年第4四半期に再導入された制限措置が各加盟国で続く中、EUとユーロ圏の経済は2021年第1四半期に縮小するものの、経済成長は春に拡大し、ワクチンの普及や、制限措置の緩和が開始されるとともに、夏には経済成長の勢いが増すとした。

2021年は全EU加盟国でプラス成長となるが、オーストリア(2.1ポイント下方修正)、ギリシャ(1.5ポイント下方修正)などの4カ国で前回予測から1ポイント以上の下方修正となった。一方、マルタ(1.5ポイント上方修正)、アイルランド(0.5ポイント上方修正)などの6カ国で上方修正となった。

欧州委は、2021年のEU加盟27カ国のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕の予測値を1.5%(前回予測より0.2ポイント上方修正)、2022年は1.5%に据え置いた(表2参照)。エネルギーなどにおけるプラスのベース効果(注2)によって、2021年のインフレ率は一時的に上昇するものの、2022年には再び緩やかになるとした。また、ユーロ圏の2021年と2022年のインフレ率はそれぞれ1.4%と1.3%と予測した。

不確実性に関するリスクは依然高いものの、高止まり

欧州委は、今後の上振れ要因として、ワクチンの普及が進み、予想より早く制限措置が緩和されれば、力強い経済の早期回復につながるとした。また、今回の予測ではほとんど考慮されていないEUの復興基金「次世代のEU」(2020年9月24日付地域・分析レポート参照)も、今後の強い成長を促す可能性がある。

下振れ要因としては、「新型コロナ危機」が一層長期化もしくは深刻化する、ワクチンの普及が遅延する場合、各国で制限措置の緩和が遅れ、経済回復の時期や規模に影響を与える可能性を指摘した。また、特に倒産や失業が拡大した場合、金融産業に悪影響を及ぼし、長期的な失業や格差を拡大させ、最終的にEUの経済や社会構造に深い傷を残すリスクがあるとした。

(注1)欧州委員会は、春と秋にGDPの各構成要素や失業率、財政収支のGDP比などを含む包括的な経済予測を発表し、夏と冬に、実質GDP成長率とインフレ率に関する中間予測を発表する。

(注2)ベース効果とは、比較対象となる前年同期の水準が低い(または高い)ために、インフレ率が上昇(または低下)することを指す。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング