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アラブ諸国の2023年の輸出額は前年比11.5%減、輸入額は9.7%増(中東、アフリカ、モロッコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 9時30分

添付資料PDFファイル(210 KB)

国連の西アジア経済社会委員会(ESCWA)は9月13日、アラブ地域諸国(注1)の貿易に関する報告書を発表し、2023年のアラブ諸国の輸出額が前年比11.5%減の1兆4,000億ドル(世界の輸出の5.8%)で、同地域全体で貿易戦略を強化することが緊急に必要と強調した。報告書では、同地域が限られた輸出品を、狭い市場へ過度に依存していることを同地域の脆弱(ぜいじゃく)性とリスクと指摘した上で、大アラブ自由貿易地域(GAFTA)に代表される域内貿易の重要性について焦点が当てられた。

ESCWAは同地域の輸出貿易の傾向として、同地域の総輸出の60%を占める原油や天然ガスの価格の下落(注2)が産油国を中心に大きく影響した(注3)一方で、モロッコやヨルダンなどの貿易構造が多角化された国は貿易収支が改善したとしている。エネルギーの輸出先の60%は東アジアや東南アジアに集中しており、特に中国が20%を占めた。石油や天然ガス以外では、電気機械・装置(前年比30%増)や医薬品(同14%増)などが好調だった。

輸入については、前年比9.7%増の1兆1,983億ドルで、特にアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアがそれぞれ35%、9%の増加を記録した。品目別では、機械および電気機器(構成比21%)で(添付資料図参照)、国別では中国(17.3%)がそれぞれ最も高いシェアを占めた。

また、1998年に発効したGAFTAの効果については、アラブ地域の総輸出の域内貿易の占める割合が2022年から2023年にかけて14%だったが、非石油・ガス製品の域内貿易の伸び率は32.7%だったと報告した。特にUAEとサウジアラビアはアラブ諸国の主要な輸出先、輸入元となっており、2023年はそれぞれアラブ諸国から300億ドルを輸入するなど、域内貿易はアラブ地域の国内産業や貿易に大きく貢献しているとした。品目としては、農作物や加工食品、医薬品などの分野が域内貿易を通じて成長しているとした。

さらに、積極的に外国投資を奨励し、戦略的な貿易戦略を策定することで、資源以外の分野の産業が発展していると報告した。中でも成功例として、モロッコの自動車産業やサウジアラビアの製薬産業、ヨルダンの繊維産業、エジプトの肥料産業を個別に取り上げた。

(注1)アルジェリア、バーレーン、コモロ、ジブチ、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、UAE、イエメン。

(注2)2023年は2022年の水準から原油価格が10%、天然ガス価格が63%下落した。

(注3)カタールが前年比49%減、サウジアラビアが同22%減、アルジェリアが同21%減、クウェートが17%減だった。ほかには、レバノンが同21%減、エジプトが17%減と報告している。

(加藤皓人)

(中東、アフリカ、モロッコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)

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