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新型コロナ対策の一時帰休支援策の期限延長(スペイン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年10月5日 16時40分

スペイン政府は9月29日、新型コロナウイルスの影響により事業の中断・縮小を余儀なくされた企業に対する一時帰休(レイオフ)支援(ERTE)を2021年9月末から2022年2月末まで5カ月延長した。

11月以降のレイオフ支援は職業訓練付き

この支援は、企業による雇用維持と引き換えに、レイオフ対象の従業員にかかる企業負担の社会保険料を減免し、対象従業員には直接休業給付を行うもの。2020年3月の感染拡大直後から実施し、6回目の延長となる(個人事業主向けの同様の措置も同時に延長)。

支援適用者の数は、航空やホテル、飲食、小売りなどの業種を中心に、給与所得者の4分の1に相当する360万人近くに達した。活動規制の緩和やワクチン接種の加速とともに新規の支援適用者数は減少していたが、支援終了が予定されていた9月末時点でも依然として24万人がレイオフ状態にあり、主要労組や経営者団体との協議を経て、今回の延長が決まった。

同支援は、これまで延長のたびに自動更新されてきたが、11月以降も支援延長を希望する企業は、新たに申請が必要となる。レイオフ対象の従業員にかかる企業負担の社会保険料の減額率は企業規模により40%または50%と従来よりも大幅に引き下げるが、対象従業員への職業訓練を実施する場合は80%と高い減額率を適用する上、企業規模に応じて1人当たり320~425ユーロの訓練助成金を給付する。また、新型コロナウイルスの影響による規制により全面休業を余儀なくされた場合は、訓練の実施の有無を問わず、従来どおり100%の減額率となる。

中長期的な失業率改善策として期待

スペインの社会保険加入者数は6月には過去最高水準の1,950万人に回復したものの、このうちレイオフなどの休業支援を受ける労働者は個人事業主も含め50万人近くに上る。実質的には失業者だが、政府支援により社会保障システム上は雇用が維持されるため、感染拡大以降も失業率は新型コロナウイルス感染拡大以前の水準を1~2ポイント上回る15~16%台で食い止められている。失業率の高いスペインにとっては重要なセーフティーネットとなっている。

スペインの貯蓄銀行協会系のシンクタンクFUNCASによると、今後、経済活動の平常化に伴い、雇用は回復が見込まれるが、レイオフ対象者の相当部分が支援打ち切り後は復職できず解雇となるとの見方が強い。また、中期的にはグリーン化とデジタル化への移行による産業やビジネスモデルの変化により失われる雇用もある。政府は労働市場改革の一環として、今回のような再就職のための職業訓練を伴うレイオフ支援を「持続的雇用メカニズム」と呼ばれる中長期的な雇用維持スキームとして今後本格的に導入する意向だ。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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