モンゴル中銀、政策金利を10.0%に引き下げ(モンゴル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月24日 0時55分
モンゴル銀行(BOM、中央銀行)は9月10~13日に開催した定例通貨政策決定会合で、経済・金融市場の現状や外部環境のリスクを踏まえ、9月16日から政策金利を1.0ポイント引き下げ、年10.0%にすると発表した。前回の5月(2024年6月3日記事参照)に続き、2024年に入って3回目の利下げとなる(添付資料図参照)。
8月のインフレ率(前年同月比)は全国で6.5%、首都ウランバートルは6.2%となった。BOMは現状のモンゴル経済について、次のとおり分析している。
経済が活発化し、国産品や輸入品、教育サービスの価格が予想以上に上昇した。補正予算の影響により2025年は内需が拡大すると見込まれ、主要貿易相手国のインフレ率は低く、為替レートも相対的に安定することから、インフレ率は中期的に目標レンジ(注1)を維持するとみられる。
2024年上半期の実質GDP成長率は5.6%だった。鉱山、物流分野の成長率が高く、家計と政府の支出が活発化し、非農業分野の成長が主な後押しとなった。石炭輸出量の増加や歳出増加で、経済成長は高い水準を維持する見込みだ。
地政学的状況に関連する基本的リスクは引き続き存在する。地政学的リスク、不確実性、グリーン化により、金と銅の価格が高水準を維持する一方、石炭、鉄鉱石の価格は低下する傾向にある。
これら経済状況から、BOMの金融政策委員会は、金融緩和を行うことで中期的に持続可能な成長を支えるため、政策金利の引き下げを決定した。また、銀行セクターの信用拡大を加速し、消費や輸入を促進し、内需を刺激し、金融セクターのリスク蓄積を防止する目的で、法定準備預金率を2.0ポイント引き上げ、10%とすることを決定した(注2)。さらに、信用の伸びが拡大する状況で現在の狭い政策金利の幅は短期金融市場の活動に悪影響を及ぼし、取引数を制限しているとした上で、政策金利の誘導目標レンジを政策金利±2ポイントの幅に広げることを決定した(注3)。
BOMはまた、これらの措置はインフレ率を目標水準で安定させ、中期的にマクロ経済と金融の安定を確保するという政府の政策とも合致していると述べた。今後も国内外の経済環境やインフレ見通しの変化に応じて、通貨政策委員会はその都度必要な措置を実施し続けるとした。
(注1)BOMはインフレ率の目標範囲を4~8%と定めている。
(注2)2022年9月20日の通貨政策決定会合で、市中銀行が360日以上の期間で外国市場から社債や融資により新たに調達した資金は法定準備預金額から差し引くことを認めていた(2022年10月14日記事参照)。
(注3)2023年3月15日の通貨政策決定会合で、政策金利の誘導目標レンジを±1ポイントの幅に狭めていた。
(藤井一範)
(モンゴル)
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