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フランス予算審議が難航、政権崩壊の危機との指摘も(フランス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月29日 14時20分

フランスのミシェル・バルニエ首相は11月26日、民放テレビ局TF1のニュース番組に出演し、2025年予算法案の議会審議について見解を表明した。政府は下院で過半数を確保できていないことから、議会の採決を経ずに法案を成立させる憲法第49条第3項(49.3条)を発動し、強行採択する可能性を示唆した。

2025年の政府予算法案(2024年10月18日記事参照)は、左派連合、政府(中道・右派)連合、極右の3つのグループに分裂した下院で、11月12日に法案の歳入部分が否決され、下院での予算審議は停止された。下院の修正予算法案には、当初の政府予算法案を上回る増税措置が盛り込まれていた。

上院では、11月25日から12月12日まで政府予算法案に小幅な修正を加えた法案が審議される。バルニエ首相は26日、「上院審議の後、上下院の両院協議会があるが、過半数を持つ勢力がいないため、(予算成立に向け)49.3条を発動することになるだろう」と説明した。

左派連合は、49.3条が発動されれば内閣不信任決議案を提出する方針だ。極左「不服従のフランス」の創設者で、次期大統領選への立候補を狙うジャン=リュック・メランション氏は17日、公共テレビ放送フランス3のインタビューで「バルニエ内閣は(上院での審議終了後)12月15日から(予算法案の成立期限の)12月21日の間に(内閣不信任案の可決を受けて)瓦解するだろう」と予告した。

極右「国民連合」を率いるマリーヌ・ルペン氏は25日、バルニエ首相との会談後に自身のX(旧Twitter)で「必要な歳出削減、特に移民に係わる措置が実施されていない中で、国民の購買力低下につながる(電気税などの増税)措置は受け入れられない」と不満を表明し、政府が現行の法案を成立させれば、不信任決議案に賛成票を投じる意向を示した。

また、ルペン氏は26日付「ル・フィガロ」紙に寄稿し、(政権崩壊により)予算法が成立しなくても、暫定政権が2024年の予算を継続する特別法を成立させれば、「シャットダウン」(公務員給与や債務利息の支払い停止)は起こらないと主張した。

バルニエ首相は不信任決議により政府が崩壊する可能性に触れ、審議を通じて予算法案を改善することを約束した。また、野党勢力には、政権崩壊が金融市場に深刻な混乱をもたらすことを考慮し、責任ある行動をとるよう訴えた。

(山崎あき)

(フランス)

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