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2024年の米小売市場の返品総額は8,900億ドルに達する見通し、新型コロナ感染拡大前の2倍以上に拡大(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月9日 11時50分

全米小売業協会(NRF)と小売業者の返品代行サービスを手掛ける米ハッピー・リターンズが12月5日に「小売業界での消費者の返品事情」と題したレポート(注)を公開した。同レポートによると、2024年の米国小売市場の返品総額は8,900億ドルに達すると推計され、小売売上高全体の16.9%に相当する。年間返品率は、新型コロナウイルス禍前の2019年の8.1%から2倍以上に増加しており、小売業界にとって返品は深刻な問題となっている。

新型コロナ感染拡大以降、消費者の購買行動でオンライン比率は年々高まり、これと比例するかたちで、電子商取引(EC)サイトで購入した商品の返品率も増加傾向にある。国際ショッピングセンター協会によると、実店舗で購入された商品の返品率は約5%程度にとどまる一方、ECで購入された商品の返品率は3倍の約15.2%の高い水準と推定している。

NRFは2024年の年末商戦期間の小売売上高が最大9,890億ドルになると見込むが(2024年10月17日記事参照)、小売業者は、この期間に販売される商品の返品率が年間返品率を上回る平均17%になると予想している。ホリデー期間中の返品処理に対応するため、小売企業の34%は返品処理を行う専属スタッフを増員するほか、40%は第三者の物流企業に業務委託するなど、さまざまな対応策を講じている。

米国の消費者にとって、購入後に商品が期待どおりでない場合に備えた返品の利便性は、顧客体験を向上する極めて重要な要素となっている。今回のレポートでは、76%が「オンラインで買い物をする際、無料返品は重要な考慮事項」と回答しており、半数近く(46%)は「小売店の返品方法が便利ではなかったので、購入しなかった」と答えており、返品制度は消費者の購買行動に強い影響を与えている。

ただし、不正返品も急増している。小売業者の大多数(93%)が、小売り詐欺やそのほかの搾取的行為は自社ビジネスにとって深刻な問題と回答しており、返品問題は重大かつコストのかかる深刻な課題となっている。衣料品を購入する際に、一部を返品することを前提として複数の商品を購入する「ブラケティング」は、全世代、特に若年層の間で広まっており、18~27歳のZ世代では51%がブラケティングに関与したと回答するなど、この問題に拍車をかけている。

返品問題での最大の課題は、返品にかかる物流管理コストの上昇で、企業の間では返品手数料の徴収や返品規定を見直す動きが出ている。過去1年間で66%の小売企業がコストを相殺するため、1つ、または複数の返品方法に手数料を課すようになったと回答した。アマゾンは返品頻度の高い商品に対して、返品手数料を上乗せするようになったほか、ターゲットは不正が疑われる返品の返金拒否できる権利を設けるなど、各社の対応が進んでいる(ABCニュース11月7日)。

(注)調査は、過去1年以内に少なくとも1回、ECで購入した商品を返品したことのある米国の消費者2,007人を対象に実施された。また、企業向けの調査は、米国の大手小売企業(売上高5億ドル以上)のECと財務の専門家249人を対象にした、返品率や返品処理で直面する業務上の課題に関するヒアリングに基づく。

(樫葉さくら)

(米国)

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