自殺の実態を知り語ることの意義 自殺予防のためにできること
JIJICO / 2017年4月15日 9時0分
自殺の実態を知り語ることの意義 自殺予防のためにできること
自殺行動は不明な部分も多い
昨年2016年中に自殺した人で原因・動機が特定できた人のうち、3人に2人が「健康問題」が原因・動機となる一方、「経済・生活問題」や「家庭問題」は2割程度というとの報道がありました。(警察庁の自殺統計に基づく厚生労働省の発表)。
ただし、この統計は、全体の自殺者の4分の1についてはその動機・原因が特定できないとしており、自殺の行動については不明の部分が多いのも事実です。
また遺書などで特定できた場合でも、複数の動機・原因が考えられる場合は重複計上されており、単純でないことがうかがわれます。
統計の注釈では、「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。」と述べています。
自殺の研究者も、自殺に至る行動は複雑であり複合的であると述べています。
自殺予防策について(社会ができること、個人ができること)
以上のことを踏まえてどうすれば自殺を予防あるいは少なくできるでしょうか。
種々の研究によれば、次のことが挙げられています。
1.社会のレベル
・手段を奪うこと(駅ホームや橋に防護柵設置など)
・自殺報道を考え直す(自殺の取り上げ方を考える)
具体的には鉄道の駅のホームに防護柵の設置は徐々に進んでいますし、また新聞等の報道も、いわゆる「後追い自殺」を防ぐために有名人の自殺を殊更センセーショナルに取りあげなくなり、また自殺の手段についても詳細には伝えない姿勢になっていると感じます。
2.個人のレベル
・相手の気持ち・話をそのまま聴く姿勢(生きる意義について講義したり議論するのではなく)
・自殺や心の病気についてオープンに話す。
自殺の意図について相手にオープンに聞くことは自殺を誘発することにはつながらず、逆に相手の正直な気持ちを引き出すきっかけになるというのは、多くの自殺研究者が述べているところです。
自殺について知り、語ることの意義
先に述べたように報道機関が自殺報道について抑制的になったことは評価できます。
しかしその一方で、自殺について正しく知り、語ること自体がタブー化している懸念も抱きます。
自殺者の数は近年減少傾向にあるとはいえ、それでも昨年2016年でも、自殺者数(21,897人)は交通事故死者数(3,904人)と比べればなお5倍以上です。
それなのに、自殺について交通事故死以上に語られているか疑問に思います。
この自殺の話題がタブー視化されていることは、日本財団が昨年実施した大規模な「自殺意識調査」の結果、自殺念慮・未遂者の半数以上が「自殺のことで相談しない」と回答していることにもうかがわれます。
また、実際自殺を試みたけれども生還した人の多くは、「自分の辛さを誰も理解してくれないと思った」との思いを語っています。
更に、先に述べた昨年の自殺統計で、4分の1もの人が遺書などを残さず原因・動機が特定できないということにも、それでは何故彼らは何も言わずに逝ったかとの疑念が残ります。
「言っても誰も理解してくれない」との思いもあったかと、私なりに推察します。
したがって今必要なのは、まず自殺についてもっと知り、語ることではないでしょうか。
確かに自殺についてオープンに話すのは何かためらわれる気がするのは否めないでしょう。
でも、自殺を考えている人が、その気持ちを理解してもらえたことで思いとどまったとすることもその当事者が述べています。
私は、できる限り当事者の気持ちや考えを理解しようとすることが真の自殺予防策だと考えます。
そのためまず自殺について正しい知識を持つのが先決と思います。
それにはNPO法人自殺対策支援センター ライフリンクが一つの参考になると思います。
(村田 晃/心理学博士・臨床心理士)
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