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納得できない人事異動だと感じた時に被雇用者は何ができる?訴訟しかない?

JIJICO / 2018年3月1日 7時30分

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納得できない人事異動だと感じた時に被雇用者は何ができる?訴訟しかない?

不当な人事異動もパワーハラスメント(パワハラ)と評価される可能性がある

平成24年3月、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」にて「パワーハラスメント」(パワハラ)の概念が示されました。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。」

更にこれを6つの行為類型に示しています。
類型              具体的行為
(1)身体的な攻撃       暴行・傷害
(2)精神的な攻撃       脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
(3)人間関係からの切り離し  隔離・仲間外し・無視
(4)過大な要求        業務上明らかに不要なことなどを要求
(5)過小な要求        仕事を与えない等
(6)個の侵害         私的なことに過度に立ち入ること

先日話題になった「アリさんマークの引越社」の件は、ある従業員が外部の労働組合に加入したことで、営業職からシュレッダー係へ異動させました。これはパワハラの類型に当てはめれば(5)過小な要求(仕事を与えない:過小な仕事しか与えない)に該当し、明らかにパワハラと評価される可能性が高いと言えそうです。

公的なパワハラの解決機関・救済措置はまだ整備途上段階。今後の政府の対応にも期待

セクシャルハラスメント(セクハラ)については、男女雇用機会均等法に定義づけされていて、被雇用者が都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ相談し、行政指導をしてもらうことが可能です。

しかし、パワハラについては、有識者会議の中で定義づけはされたものの法律にはなっていません。そのため、今回のパワハラ問題のケースも民事裁判を起こして和解に持って行きました。都道府県労働局では、民事上の様々な分野の労働問題を対象とて「総合労働相談センター」を設けています。

ここで行政指導も出来るのですが、法律で定義づけされていないため、よほど企業側が折れない限りここでの解決はなかなか難しいようです。「総合労働相談センター」でのパワハラ相談数は、毎年増加していて、平成28年には70,917件にも上っています。5年連続で相談内容のトップとなっています。大きな社会問題です。

この状況については政府も理解はしていて、厚労省内の有識者会議で、昨年からパワハラ対策の議論を開始しました。今年(2018年)3月までに具体策を盛った報告書をまとめる予定にはなっています。民進党と希望の党は、政府の対応が遅いと批判していて、立憲民主党などにもパワハラ法案への賛同を呼びかけ、今国会での共同提出をめざすとしています。

このような動きもあるので、今後はパワハラについて法律が出来る可能性が高く、本人が裁判などを起こさなくても解決が出来るようになってくるかもしれません。

(影山 正伸/社会保険労務士)

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