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働き方改革で増える「残業禁止」はジタハラの弊害も発生

JIJICO / 2018年3月31日 7時30分

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働き方改革で増える「残業禁止」はジタハラの弊害も発生

残業禁止の具体策が無いまま行えばジタハラになりかねない

政府の働き方改革のもと、残業が多い会社はブラック企業とのレッテルを貼られてしまう、人手不足の中、新卒の採用が難しくなる、との思いから定時に会社の電気を消してしまう、出入り口を閉めてしまう等、強制的に退社させ残業削減をする企業もあるようです。一見、効果があり、悪いことではないのでは?とも思えます。

もちろん、長時間労働の是正は企業として行わなければならない課題ですが、残業削減のため何が問題になっていて、どのようにすべきかその方策を講じずに強制的に退社させるようなことを行うと、結局持ち帰り残業(サービス残業)が増えるだけ、ということになりかねません。現に起こっている企業もあるようです。これを「時短ハラスメント」(ジタハラ)と言います。

まっすぐ家に帰らない「フラリーマン」も増えている?

定時退社の企業が徐々に増えるなか、すぐに帰宅せず、飲食店、家電量販店、娯楽施設などで時間つぶしをしてから帰宅する「フラリーマン」が増加しているとの報道もありました。

折角定時に退社できるのに、なぜ時間つぶしをするのかの理由については、これまで残業で家事をしてこず共働きの妻の家事を邪魔したくない、仕事で疲れていて子育てよりマイペースになれる時間が欲しいなどが上げられています。

当然、妻達からは怒りの声が上がっています。本来、政府の働き方改革は、ワークライフバランスを確保し、女性の社会進出、少子化対策という目的も含まれています。フラリーマンが増加していては、これらの目的を達成することは出来ません。これは、企業ばかりの責任ではありませんが、今まで長時間労働をすることが評価されてきたため、育児・家事は妻に任せるという悪しき習慣が影響してしまっています。

残業禁止は収入の減少も伴う

定時退社で残業禁止にすると、当然、残業代が減少します。政府が3%の賃上げを求めても、残業代減少による効果がそれを相殺してしまいまいます。所得減少により、子供を産むことを諦めてしまえば、本末転倒です。

時間のみにとらわれず、生産性を上げて多様な働き方を認める社会に

労働生産性の向上も伴って残業を削減しなければ、残業で減少した労働力を外注したり、新たな人材を確保するなどしなければなりません。

これでは、既存の従業員所得が減少するだけです。残業代が減少した分を、生産性向上により労働者の賃金に反映させることが企業には求められます。また、生活のためお金を稼ぎたい、という方もおられるでしょう。

このような方には残業削減で余った時間に副業を認めることも必要です。少子高齢化の推進により、介護のため一切残業が出来ない、残業どころか時短をしたい、という方もおられるでしょう。このような方にも、介護離職などされないよう希望を叶えられるような働き方をしてもらう必要もあるでしょう。

多種多様な働き方を認める社会にならなければなりません。労働者個人としても、フラリーマン化せず、家事や育児に積極的に参加するよう考え方を改めなければならないという方も多いはずです。

(影山 正伸/社会保険労務士)

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