長時間労働による被害・過労死はどうやって防ぐ?労災認定基準も解説

JIJICO / 2018年8月22日 7時30分

これは、9時~18時勤務の場合、毎日22時30分まで残業している、ということを意味します。「過労死ライン」と言われる月80時間の時間外労働でも、1日平均にすると約3.7時間になります。

「100時間(または80時間)までは時間外労働しても良い」というわけではない

なお、過労死ライン未満の時間外労働であってもそのほかに心理的負荷となる事情の有無や、長時間労働が一時的かどうかなど、種々の事情を考慮して労災の判断がなされます。過労死ラインは「100時間(または80時間)までは時間外で働かせて良い」ということを意味しませんので、注意が必要です。

もし自分の仕事が過労死ラインを超えている場合、あるいは恒常的な長時間労働がある場合には、直ぐに弁護士に相談されるべきです。

長時間労働の立証は困難な場合がある

仮に長時間労働で体調を崩した、あるいは不幸な結果が生じた場合、まずは労災認定がなされるかが問題となりますが、長時間労働の立証において困難を極めることがあります。

タイムカードとは別に自分の勤務時間を記録しておくことが重要

長時間労働の立証は通常はタイムカードや出勤簿で行いますが、タイムカード上は残業時間がないように見せかけている場合も少なくありません。この場合には、労働者自らが勤務時間を記録しておくことが重要になります。冒頭の事例では、スマートフォンの位置情報が話題になりましたが、実際の認定では「会社にいたことは分かるが、その間仕事していたかどうか不明である」とされ、それだけでは証拠とはならなかったと聞いています。

業務内容・時間を事細かに記録しておく

例えば「何時から何時まで、どのような仕事をした」というメモや、自分宛に会社からその日の仕事の内容を送ったメール、出退勤時刻が分かる写真、あるいは同僚の証言などから労働時間を認定していくことも有効と言われていますので、まずは仕事の時間と内容を事細かに記録していくことが重要だと思われます。

「仕事に殺されない」ためにはまず労働者自らが身を守ることが必要

「ブラック企業」が社会問題になって久しいですが、長時間労働の問題は改善の兆しがありません。今般成立した「働き方改革法」では「長時間労働の是正」が謳われていますが、その規定の内容からは、残念ながら長時間労働による過労死や過労被害を防ぐことはできないと思われます。「仕事に殺される」被害に遭わないためには、当面は労働者自らが自分の身を守っていく必要があると言わざるを得ません。

もし「自分の会社がおかしい」と思った場合、まずは自分の命を一番に考えてください。そのうえで、弁護士などの専門家に相談して、最善の対策をされることをお勧めします。

(半田 望/弁護士)

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