米中貿易戦争、激化する本当の理由と日本に及ぼす影響について

JIJICO / 2019年6月16日 7時30分

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米中貿易戦争、激化する本当の理由と日本に及ぼす影響について

米中貿易戦争のこれまでの流れの整理

アメリカ政府が、中国の通信機器大手ファーウェイへ政府の許可なく電子部品などの販売を禁止したことで、日本の携帯電話会社がファーウェイ製のスマートフォンの新規販売を見合わせる決定をしました。これをきっかけにして、これまで対岸の火事だと思い興味が薄かった米中貿易戦争を身近な問題だと感じた人が多いはずです。

米中貿易戦争は2018年初頭に米国側の動きで始まり、今日に至るまで解決をみないまま膠着状態になっています。

2018年2月 米政府がセーフガード(緊急輸入制限)発動。太陽光パネルに30%、洗濯機に20%以上の追加関税。
2018年7月 中国向け第1弾の追加関税=818品目340億ドル分に25% > 中国も即報復
2018年8月 中国向け第2弾の追加関税=279品目160億ドル分に25% > 中国も即報復
2018年9月 中国向け第3弾の追加関税=5745品目2000億ドル分に当初10%、2019年から25% > 中国も即小幅な報復

直近の動きとしては、6月10日にトランプ大統領はG20大阪サミットにあわせて米中首脳会談を開きたい考えを表明しましたが、中国が首脳会談開催に応じない場合、直ちに制裁関税第4弾(残る全品目2500億ドル分に25%)を発動するとしています。

米中貿易戦争は二国間の経済問題では収まらない

米中貿易戦争を出来事だけで捉えると、米国と中国が相手国からの輸入品に対して関税を掛け合っているように見えます。なぜこのような一見すると泥仕合としか言いようがないことを大国同士がやり合っているのでしょうか? この背景を適切に理解することで、日本の経済界や企業が採るべき道が自ずと見えてくるはずです。

国と国との間の貿易に対して国境関税がかけられる場合、大きく分けて2つの目的があります。一つ目は税収を目的とした租税としての関税で、二つ目は自国内の産業や市場を守るための保護関税です。今回、米国が中国からの輸入品に追加関税を課す目的は、財政収入ではないことは明らかなので、二つ目の保護関税ということになります。

実際のところ、米商務省が発表した2017年の貿易統計によると、モノの貿易赤字は7926億ドル(約86兆8千億円)で前年比8.1%増加し、2008年以来9年ぶりの額に膨れ上がっています。そのうちの半分を対中国赤字が占めています。

そこで、「取引上、米国が損をしている」と考えられる国や協定に対しては、再交渉や離脱を主張する方針を貫いているビジネスマン出身のトランプ大統領が、「米中の間では、米国の方が中国より2倍も多く買い物をしているのは不公平だ」という損得勘定で追加関税をかけているという見立てが出てきます。つまり、米中貿易戦争とは経済問題なのだというとらえ方です。

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