「同一労働同一賃金制度」で“賃金減”の未来を荻原博子が指摘

WEB女性自身 / 2019年12月13日 15時50分

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来年4月から「同一労働同一賃金」制度が始まる(中小企業は’21年4月〜)。これは同じ会社で働く正社員と非正規社員の不平等解消を目指したものだ。現在、非正規社員は2,189万人で、雇用者の約4割を占める(’19年11月・総務省)。正社員との格差は給料だけでなく、手当や福利厚生にも広がっているが、今後、どう変わるのだろうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

■正社員や非正規社員は賃金が下がることも

まず給料は、同じ会社で同じ仕事内容なら正社員でも非正規社員でも、同じ給料の「均等待遇」になります。仕事内容が違う場合は、違いに応じた「均衡待遇」です。

たとえば同じ会社の正社員店長とパート店長は、仕事内容が同じなら、今後は同じ給料になります。ただ、正社員店長には転勤があり、パート店長は転勤しないなど違いがあれば、違いに応じた給料です。

次に手当は、これまで非正規社員にはほとんどありませんでしたが、今後は、仕事内容と関係なく支給される家族手当や通勤手当などが受けられるようになります。さらに福利厚生面でも、「非正規社員は社員食堂が使えない」などの“差別”が解消されるはずです。

これらを見ると、来年度は非正規社員の給料アップ、待遇改善が期待できると思いますよね。でも、真逆に動く企業があるのです。

日本郵政は、同一労働同一賃金を達成するため、’18年から段階的に手当などを変更しています。

たとえば正社員だけに支給していた住居手当は、最高月2万7,000円でしたが、段階的に廃止します。正社員の年末・年始勤務手当は、年末手当を廃止し、年始手当だけに縮小。アソシエイト社員と呼ばれる正社員以外の方には、4,000円の年始手当を新設します。

配偶者手当は、正社員は月1万2,000円から半減。フルタイムのアソシエイト社員には月4,800円で新設といった具合です。

非正規社員の待遇を引き上げるのではなく、正社員の待遇を下げてそろえるなんて、働くほうはたまったものじゃない。ですが、こうした改悪に追随する企業が、ほかにも出てくるかもしれません。

いっぽう、非正規社員の待遇も改善とはいえない状況があります。

東京新聞によると、人材派遣会社のパソナは’18年6月から、月1万円まで交通費の支給を始めました。ただし、交通費をもらった分、時給を60円減らすというのです。交通費として月1万円増えても、時給が減ることで月収が減ってしまうケースもあるようです。

また、来年度から採用制度が変わる非正規公務員はボーナスの支給が始まりますが、その代わり、月給が減らされる方向に進みます。結果、年収はほぼかわらないか、下がる方もいるといいます。

このままでは、同一労働同一賃金は“形だけ”になりかねません。それどころか、日本全体の給料が下がっていく異常事態が起こることも考えられます。給料を底上げしないと景気もよくならないし、暮らしは苦しくなるいっぽうです。

来年の春闘では、同一労働同一賃金も争点です。注目しましょう。

「女性自身」2019年12月24日号 掲載

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