創設検討「皇女」は“特別職の公務員”首相は任命拒否できる?
WEB女性自身 / 2020年11月25日 17時40分

「女性皇族の婚姻などによる皇族数の減少等については、皇族方のご年齢からしても、先延ばしすることはできない重要な課題だと認識しています」
11月24日、加藤勝信官房長官(65)は定例会見でこう明言した。女性皇族が結婚によって皇籍を離れた場合、「皇女」の尊称を贈り、公務への協力を委嘱する新制度の創設を政府が検討していることが判明した。
女性皇族の結婚による相次ぐ皇籍離脱や現役の皇族の高齢化で、皇室活動の担い手の不足は深刻な問題になっている。女系天皇の容認につながる可能性があるとして“男系維持派”からの反発が強い「女性宮家」の創設ではなく、民間人のまま一代限りの「皇女」とすることでこの問題を先送りしようという政権の意図がみえる。皇女は“特別職の国家公務員”となり、公務に参加することになるという。
だが、この報道には、ツイッター上でこんなツッコミが。
《「皇女は特別職の国家公務員」だとすると、総合的俯瞰的な観点から突然政府が任命拒否したりできるのかな?》
《皇女を特別職公務員にするということは学術会議会員の例にならうと、内閣総理大臣の考え一つで任免が可能になるということかね》
日本学術会議の会員も“特別職の国家公務員”。会員は学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命することが日本学術会議法で定められている。同法は任命拒否を想定しておらず、総理大臣による任命はあくまでも形式的な任命というのが、中曽根康弘元首相(故人)をはじめ、過去の政府がとってきた立場だった。しかし、菅義偉首相(71)はこう強弁した。
「憲法第15条第1項は公務員の選定は国民固有の権利と規定している。(国民を代表している内閣総理大臣は)日本学術会議の会員についても必ず推薦の通りに任命しなければならないわけではない」
公務員の選定罷免権が国民にあると定めた憲法15条を根拠に、菅首相は6人の候補者の任命拒否を正当化した。だが、なぜこの6人だったかという理由については「総合的、俯瞰的な観点」などとしか言わず、詳細な説明は“個別の人事に関わること”を理由に拒んできた。全国紙政治部記者が解説する。
「憲法15条はあくまでも公務員の選定罷免権が“国民”にあると定めたもので、“総理”にあると定めているわけではない。総理大臣といえども、国民の代表者である国会議員で組織される国会で定められた法律や、国会で確認された法解釈に反して任命権を行使することができるはずはありません。それを無視すれば、それこそ憲法15条に違反することになる。しかし、菅首相は与党・自民党の圧倒的な議席数を背景に、過去の法解釈を無視して任命拒否を正当化しているのです」
《皇女は特別公務員。特別公務員になれば日本学術会議会員と同じように、政権の介入になる》
《ついに皇族まで直接支配する意向を示してきているわけですか》
ツイッター上では「皇女」創設検討のニュースを見て、こんな懸念を漏らす人も多い。確かに、“任命拒否”も可能な実質的な任命権を時の政権が握ることになれば、皇籍離脱後の身分を懸念する女性皇族やその親族の皇族に対して、政権の影響力が増すことも考えられる。前出の政治部記者はこう指摘する。
「菅首相は憲法15条を根拠に、国民の代表者である内閣総理大臣は任命権を行使できるはずだとして、学術会議の会員の任命拒否を行いました。『皇女』も国家公務員になるとすれば、総理大臣によるのか、その他の国務大臣によるのか、内閣によるのかはわかりませんが、任命が行われなければなりません。菅首相のロジックでいえば、その任命権は、皇籍離脱した女性皇族であればだれでも自動的に任命されるような形式的なものではなく、“任命拒否”も可能である内実を伴った任命権でなければなりません。そうではなくては学術会議会員に関しての主張と矛盾することになります」
だが、実際に“任命拒否”のようなことが行われる可能性は低いと続ける。
「国民の反発も大きいでしょうから、任命拒否のようなことが行われることは考えづらい。実際には本人が辞退でもしない限り、皇籍離脱した女性皇族が自動的に皇女に任命されるような運用が行われることになると思います。ただ、国会で『皇女は任命拒否できるのかどうか?』と聞かれた場合、菅首相はどう答えるのでしょうか。『できる』と答えれば保守派から“不敬”と批判されるでしょう。『できない』と答えれば、学術会議の件との整合性を問われることになってしまいます。任命拒否もできないような形式的な任命権は憲法15条を根拠にダメだというのが菅首相の主張ですから。いずれにせよ、このような懸念は菅首相が自ら招いたことですから、ちゃんと答える必要がありますね」
小室圭さんとの結婚が取りざたされる眞子さまも「皇女」の候補者のおひとり。まさか、“任命拒否”なんてことはないと思うが……。
この記事に関連するニュース
-
眞子さま「ご公務激増」も?イギリス王室に学ぶ皇室存続策
WEB女性自身 / 2021年1月18日 6時0分
-
「お答え控える」80倍以上に 国会で説明拒否1970年比で、2018年は580回に
京都新聞 / 2021年1月4日 10時20分
-
政治と報道をめぐる2020年の論点。2021年、私たちが注視し続けるべきもの
HARBOR BUSINESS Online / 2020年12月31日 8時33分
-
「お答えは差し控える」のは「国民を冒涜する」ことではないのか? 10年前と今年の菅首相の言葉を読む
文春オンライン / 2020年12月30日 6時0分
-
news23菅首相インタビューを信号無視話法分析して痛感した、菅総理の「ズレ」
HARBOR BUSINESS Online / 2020年12月28日 8時32分
ランキング
-
1「『130歳の祖父』を死なせてあげました」60代男性、相続で初めて知った衝撃の血縁
弁護士ドットコムニュース / 2021年1月24日 9時15分
-
2自民党の人材不足、野党も共倒れで菅政権延命の「最悪シナリオ」も
NEWSポストセブン / 2021年1月24日 7時5分
-
3死亡後に陽性判明が2人、検査で2回も陰性だった90代男性も
読売新聞 / 2021年1月24日 11時27分
-
4笠松競馬の騎手ら3億円超の所得隠しが、コロナであぶり出された裏事情
日刊SPA! / 2021年1月24日 8時29分
-
5「だまされたふり作戦に協力して」…警察名乗る男ら80代女性から150万円だましとる
読売新聞 / 2021年1月24日 11時59分