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腸内環境を良くしたいなら、ヨーグルトを単品で食べてもダメ

WEB女性自身 / 2021年9月8日 15時50分

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「これまで“腸活”に励んできた方は、『善玉菌を増やす』ことを第一に考えていたと思います。ですが、その考えはもう古い! これからは『酵素』に注目です」

そう語るのは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所でセンター長を務める國澤純先生。先生によれば、腸内環境の研究から導き出した“新しい腸活”があるというのだ。

私たちがふつう考える腸活といえば、納豆やヨーグルト、食物繊維などを食べることだが……。

「それは間違いではありませんが、食べることは健康の入口にすぎません。健康のために本当に重要なのは善玉菌そのものではなく、善玉菌が作り出す“健康にいい物質”で、それを生み出すためには、酵素の働きが不可欠なのです。新しい腸活は、食べることから一歩進んで、健康にいい物質を生み出す『善玉酵素』に注目し、それらが最大限働ける腸内環境を作ることに意識を向けるものです。そして、そのカギを握るのは、食材や栄養素の“食べ合わせ”なのです」(國澤先生・以下同)

善玉菌より重要な善玉酵素とは? どう取り入れればいいの? 酵素の働きや健康効果を最大化するための食べ合わせについて教えてもらおう。

「健康にいい納豆やヨーグルトなどをいくら食べても、善玉酵素がなければ、期待するような健康効果は得られません」

それほど重要な酵素とは、いったいどんなものなのだろう。

「たとえば肉を食べたとき、胃や腸の中でその肉に含まれるタンパク質を分解するために、たくさんの酵素が分業体制で働きます。その結果、タンパク質はアミノ酸になり吸収されます。その後、アミノ酸は別の多くの酵素の働きで別のタンパク質へと変化し、体の一部として働きます。このように酵素には、食べたものを分解する『消化酵素』と、分解されたものを使って体に必要なものに組み立て直す『代謝酵素』の2種類があります」

分業体制とは、酵素には細かい役割分担があるということ?

「はい。酵素はそれぞれ、1つの働きだけを担当します。ある特定のタンパク質がまず酵素Aで分解されて形を変え、それを分解する酵素B、さらに酵素Cと引き継ぎながら、分解を進めます。それぞれの酵素が分解する標的は決まっていて、それ以外にはいっさい作用しません。これは代謝酵素も同じ。このように多種多様な仕事を1つずつ担うために、酵素には膨大な種類があるのです」

私たちの体内では、じつに膨大な種類の酵素が作られているそうだが、持っている酵素は人それぞれ違うこともあるという。

「アレルギー症状の改善効果があるといわれるアマニ油をマウスに与えてみるという実験があるのですが、与える量などは同じでも、アレルギー症状の改善効果に大きな差が出たのです。よく調べると、マウスが持つ酵素に違いがあることがわかりました。これは、改善効果の見られないマウスに酵素がなかったからではなく、もともと持っていた酵素のタイプが違ったからだと考えられます。このマウスは、アレルギーの改善効果があまりない物質を作る酵素を持っていたのでしょう。実は、これと同じことが人でもいえるのです。この種の善玉酵素を持たない人は、アマニ油を取っても、アレルギー改善効果は残念ながらあまり期待できません」



■腸内細菌と発酵食品の持つ酵素を取り入れよう

それでは、自分がもともと持っている酵素では期待する健康効果が得られない場合は、どうしたらいいのだろう。

「私たちの腸には約1,000種類、約100兆個もの腸内細菌がいます。そうした腸内細菌たちも独自の酵素を持っていますが、実は私たちは彼らが持つ酵素も使うことができるのです。また、納豆などの発酵食品には納豆菌などの微生物が含まれていますが、これらの微生物たちも酵素を持っており、私たちはこれらの酵素も活用できます。自分の体に特定の善玉酵素がない人だけでなく、そもそも人の酵素だけでは分解できないものもあります。ですから私たちはみんな、“人の作り出した酵素”ではない腸内細菌や発酵食品の持つ酵素の力を活用しているわけです」

これほど大切な酵素が、もしなかったらどうなるのだろう。

「たとえばデンプンは、酵素がなければ塩酸などの劇物を使い、高熱をかけないと分解できません。また、酵素なしでは1000年以上かかる分解時間が、酵素があるとわずか1時間ほどで済むこともあります。体にやさしい仕組みで素早く分解できるのは、まさに酵素のおかげなのです」

ただし、酵素には少々わがままな面があり、特定のビタミンやミネラルなどがある、自分好みの環境でないと働いてくれないこともあるという。

「ですから、善玉酵素がよく働く環境を作るために何を食べればいいのか、酵素と食事成分の食べ合わせが大切になってくるのです」

従来の腸活ではヨーグルトを食べればそれでいいと思っていたが、どうやらそれだけでは足りないということらしい。

「ヨーグルトが体にいい理由のひとつは、食物繊維を分解するステップで必要となる、乳酸菌やビフィズス菌を持っているからです。食物繊維は私たちが持つ消化酵素では分解できず、腸内細菌や発酵食品が持つ酵素を活用して分解し、短鎖脂肪酸を作ります。そして、短鎖脂肪酸は腸のエネルギー源になることで腸を元気にし、さらに腸内を悪玉菌や病原体が嫌う酸素の少ない状態にしてくれます。このとき、もともと腸内にいる乳酸菌やビフィズス菌にも働いてもらえば、効果はさらに上がるでしょう。そのために、彼らのエサとなる『発酵性食物繊維』を食べ合わせることが大切なのです」

発酵性食物繊維とは、腸内細菌の酵素によって発酵されやすい食物繊維を指す。最近注目を集めるもち麦や小麦ブラン、オートミールなどがその代表だ。

「発酵性食物繊維を含むオートミールと、乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトの食べ合わせが、腸内環境の改善にはピッタリ。腸内環境が整うと、脳にもよい影響があることがわかっていますから、ぜひ食べ合わせを意識した“新しい腸活”に励んでみてください」


■酵素の働きやすい環境を整えるのが新しい腸活

とはいえ「そんな食べ合わせを考えるのは面倒くさい」、という人には、酵素サプリや酵素ドリンクなどもあるが……。

「酵素は外から補っても、体内で働くことはありません。酵素もタンパク質でできていますから、いくら食べても消化吸収の過程で分解されてしまいます。また、市販の酵素ドリンクなどには、酵素そのものではなく、発酵によってできた物質、たとえば乳酸菌が作った乳酸などが含まれるものが多いようです。ですから、一定の健康効果はあると思いますが、ダイレクトに酵素が取れているわけではありません」

いっぽう、同じように外から取る発酵食品の場合は微生物が生きたまま腸に届くと、私たちはそれらの微生物が持つ酵素を活用できるという。

酵素が大切なことはわかったが、酵素ならなんでもいいのか?

「実は、体によくない影響をもたらす悪玉酵素もいます。人類が飢えと闘っていた時代だと、たとえば脂肪や糖を効率的に取り込める酵素は“善玉”だったでしょう。ところが、飽食の現代では、脂肪や糖をため込み、太りすぎるのは困りものなので、そうした状態を作る酵素は“悪玉”と呼ばれてしまいます。何が善玉で何が悪玉なのかは、前提となる価値観が変われば逆転することもあるのです」

ちなみに、こうした悪玉酵素の働きも、やはり腸内の環境に左右されるので、悪玉酵素が働きづらい環境を作るような食材の食べ合わせも意識したい。

「善玉酵素の働きを促進するにせよ、悪玉酵素の働きを抑制するにせよ、その目的が決まれば、目指すべき腸内環境がわかり、そのための食べ合わせも見えてくる。これこそが新しい腸活です」

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