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大谷翔平選手がくれた「希望」故郷・奥州市の子供たちに夢を!

WEB女性自身 / 2021年9月23日 11時0分

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岩手県の南部に位置する奥州市は、米メジャーリーグ(MLB)エンゼルスの大谷翔平選手(27)の生まれ故郷だ。

入団4年目にして、野球の神様ベーブ・ルース以来とされる投打の“二刀流”で、幾多のメジャー記録を塗り替えようとしている大谷選手。9月に入り、シーズンも残り3週間を切ったなか、ホームラン王やMVP獲得の行方を、世界中が固唾をのんで見守っている。

現在の活躍に先立ち、奥州市が「大谷翔平選手ふるさと応援団」を結成したのが、エンゼルス入団後の18年8月。当初、農協や商工会など10団体からスタートしたが、今では180以上の団体や企業などのサポーターが参加している。

応援団会長の奥州市の小沢昌記市長(63)は、

「翔平君をダシに何かしようという気持ちは、まさしく0%。彼自身が遠いアメリカでふとした瞬間に、いいときも悪いときも、『ふるさとには支えてくれる人がいるなぁ』と安心してもらえるようにと、そんな無償の気持ちで勝手連的に応援しています」

ところが、見ている人は見ているものだ。

《オオタニのファンは、南カリフォルニアにとどまらず、MLBのファン層以外にもいるが、最も熱心なファンがいるのは、故郷である奥州市》

と、8月17日(現地時間)に公式ページで報じたのが、ほかでもないMLB。この記事を機に、奥州市の名は瞬時に世界中に拡散した。

ならば、そのMLBお墨付きの世界一の応援ぶりを見てみたい。早速、取材班は現地へと向かった。



■「エンゼルスの本拠地アナハイムまで行ける旅費はもうたまっています」

西を奥羽山脈、東を北上山地に挟まれた奥州市。なかでも、大谷選手の出身校のある姉体地区を訪れると、一面の田んぼの緑が夏の太陽を浴びて目にまぶしいほどだ。

姉体小学校を訪れると、校舎の一角には大きな横断幕が。

《頑張れ! 大谷先輩 僕らの希望 二刀流大谷選手の母校》

同小のグラウンドで練習しているのが、姉体スポーツ少年団。代表の及川菊雄さん(67)には、幼き日の大谷選手との忘れられない思い出があるという。

「彼のお兄さんがうちの少年団にいたので、お母さんが幼い就学前の翔平君をよくグラウンドに連れてきていたんです。あれは、たしか盛岡の大会でのことでした。昼の休憩に、保護者たちが小さな子供らに、『うちの少年団に入ってね』と言いながらお菓子を配ったんです。そしたら翔平君は、『僕、いらない』と。入団するかどうかわからないからという理由でしたが、もう入りたいチームが決まってたのかも。そのときは、まあ、正直、生意気なこと言うなと思いましたけどね(笑)。逆に、その後の彼の人生の選択を思うと、あの幼さで、もう強い意志を持っていたと感心するんです」

プロで、ましてメジャーで投打の二刀流なんてありえない。記録更新を狙うなら、どちらかに専念するべきだ。そんな周囲の声をはねかえし、自らの意志を貫き、現在、有無を言わせぬ二刀流での活躍を楽しげに続けている。そんな“大谷先輩”は、少年団の子供たちの憧れだ。

「今は女子を入れて21人。実は去年、子供たちのユニホームをデザインも色もエンゼルス風に変えました。胸には『ANGELS』ならぬ『ANETAI OSHU』です。これは、ただまねたというだけでなく、“ふるさと姉体みんなが大谷選手を応援してます”というメッセージを込めています」

同じく姉体地区で出会った主婦の遠藤陽子さん(71)は、大谷選手は「生きがい」と言った。

「彼が中学時代からのファンです。毎日、地元の岩手日報や全スポーツ紙で活躍をチェックするところから一日が始まります。もちろんテレビのスポーツニュースやBSでの試合も。記事を切り抜いたスクラップブックは、もう22冊。昨日までふさぎ込んでいても、翌朝にホームランが出たと知ると、イヤなことを忘れさせてくれる。それが、最大の魅力。

あるとき、私が勤務するコンビニに、どちらも背のスラーッとした女性が見えて、それが大谷選手のお母さんとお姉さんでした。改めて、大谷選手は本当に私の地元から出たスターなんだと思って、ますます彼に関するものはなんでも知りたい、集めたいとなって。これ、見てください」

小1のときの児童センターの文集が差し出された。直筆の大谷選手のページには、“大好きなスポーツ「やきゅう」、よく見るテレビ番組は「ワンピース」、どんな大人になりたいか「ふつうの人」、あなたの夢は「やきゅうのせんしゅ」”

「1年生くらいでも、野球のことばかり。このときから、道は決まっていたのね。野球と同じで、字もバランスがいい(笑)。今は私、もっと近くに行きたいと思って、ホームラン貯金もしてます。メジャーに行ってからだけど、大谷選手のホームランが1本出るごとに1万円を近所の信金に入れるんです。つまり『大谷貯金』。いつの間にか主人も貯金を始めちゃって、もうエンゼルスの本拠地アナハイムへの旅行費はたまってるんです。本当は去年、行くつもりが、コロナで断念。そうしてるうちに、私も、という人も次々出てきて。大谷選手は、姉体住民の長寿のもとなんです」



■「奥州市の子供たちが『どこにいても世界とつながれるんだ』と思うようになって」

「翔平君のピンチだからこそ、アメリカまで激励に行こう」

18年10月、エンゼルス入団からわずか半年ほどで、右肘のトミー・ジョン手術を受けた大谷選手。投手生命を懸けての決断は、衝撃的なニュースとして報じられた。もちろん地元の姉体でも、みんなが不安を口にした。姉体町振興会元理事の佐藤教樹さん(77)もその一人だった。

「今、駅前商店街を見ても、多くがシャッターを閉めていたりするなど経済も停滞するなか、どれだけ町や市全体が、翔平君から元気をもらってきたか。そんな彼の大手術と聞いて、すぐに町民から応援メッセージを集め始めましたが、問題は、さて、どうやって本人に届けるか(笑)。会員のなかには翔平君の実家のすぐ近所の人もいますが、ふるさと応援団の一つのルールが、“大谷さんファミリーにはご迷惑をかけない”ということ。だったら、思い切ってアメリカに届けに行こう。手術後は回復に2年ほどかかると記事にもありましたから、こちらも1年計画で準備しようとなったんです」

こうして“プロジェクトA(姉体)”が動き始めた。

「まず、エンゼルスのファンクラブに加入した。続いて、お金がないので、大手旅行会社には頼めずに、パソコンで安いチケットや宿を取りました。年寄りばかりですから、パソコン操作に四苦八苦しながら。向こうでタクシーも使えませんから、この年で国際免許も取って。そうこうするうちに、メールを通じてエンゼルスの広報の方と奇跡的に知り合うことができたんです。思えば通じるものなんですね」

19年9月23日、佐藤さんら姉体町振興会の4人は、アナハイムのスタジアムに立っていた。

「25日のアスレチックス戦の前に、バックネット裏で、広報の女性に『大谷選手のホームタウンから来ました』と、町民や母校の姉体小学校、水沢南中学校の生徒たちのメッセージなどを手渡せました。大谷選手からの返事ですか? それはありません。でも、いいんです。見返りは求めないというのも、われわれ応援団の一つの暗黙の了解になってますから」

その後も、大谷選手への月2回のメールによる「ふるさとメッセージ」は継続中で、シーズンが終わるまで続けられるという。

取材の最後に訪れたのが、水沢区にある美容室ヘア・アンド・スパ シームスのオーナーの菅野広宣さん(60)。

まず入口前に設置されているのが、「大谷メーター」。試合ごとに更新されるホームランや投手としての勝利数などが掲示されている。これも市役所から始まり、今ではあらゆる場所で見られる。

店内に足を踏み入れると迎えてくれるのが、膨大な「大谷グッズ」。

「花巻東、日ハム、オールジャパン、エンゼルスと各時代のユニホーム、すべてサイン入り。首を振るボブルヘッド人形など、レアな非売品も多いです。このアシックスの大谷モデルのバットは30本限定で、ネットオークションでは240万円の値がついたり。まもなく、オールスターのときのサインボールもアメリカから届きます」

子供のころは、大谷選手と同じ野球少年だったという菅野さん。

「奥州市では数年をかけて、静かに応援するというスタイルを作ってきました。私も大谷選手のお父さんとは顔見知りですが、『今日もホームラン出ましたね』『どうもどうも』といった感じのスタンスでのやり取りです。とはいえ、ここ数カ月は大谷選手の“聖地巡礼”で、グラウンドなどから、うちの店まで来られる方も。日本中はもちろん、先日は外国の方もいらっしゃいました」

孫もいるという菅野さん。大谷選手への最大の感謝は、子供たちに夢を与えたことだという。

「大谷選手の活躍を通じて、ここ奥州市の子供たちが、『どこにいても世界とつながれるんだ』と思うようになっているのが、何よりうれしいですね」

野球でもどんなジャンルでも、子供たちみんなに等しく無限の可能性があることを、大谷選手は身をもって伝えてくれている。

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