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受け取る順番と受け取り方で税金が0に!賢い退職金のもらい方

WEB女性自身 / 2021年9月30日 15時50分

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「毎日、家計のやりくりに苦労していたので、退職金という大きなお金を手にした途端、舞い上がって、衝動買いをしてしまったという話をよく聞きます。旅行や買い物など自分たちへの“ごほうび”は最低限にして、将来、介護や病気になったときや、年金の不足分を補うために備えておかないと、老後貧乏に陥ってしまいます。年金はいつからいくら受け取り、退職金はいつもらい、それらをどう取り崩し、その間、どのような働き方をするかといった、トータルなライフプランを決めておくことをおすすめします」

そう語るのは、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さん。

会社では退職前にセミナーなどで教えてくれるかもしれないが、税金や年金の制度に関して、個人のケースに応じて、どんな受け取り方をすると損か得か、ということまでは教えてくれない。

特に、会社員は「3階建て」とされる日本の年金制度の3階部分にあたる「企業年金」に加入している人が多く、この企業年金の受け取り方や受け取る時期を間違えると、思わぬ損失につながる。

「企業年金は一時金、年金払いと受け取り方法が2通りあり、年金払いで受け取った場合には、その所得を雑所得として公的年金と合算して税金の計算をします。公的年金や企業年金については、公的年金等控除枠があり、これを超えた分が課税対象となります」(山中さん・以下同)

64歳までは年間60万円まで、65歳以降は110万円までが非課税になる。さらに、国民健康保険料の計算に影響するので、国保や介護保険料の負担も大きくなる。

「年金形式ではなく、一括で受け取ると退職金の扱いになり、税金の負担を軽減するための大きな控除が使えます。計算式がややこしいのですが、退職前に、退職金や企業年金を一時金で受け取ると、税金はいくらになるのか、計算しておくことをおすすめします」

■まずは、退職所得控除の計算から始めよう!

それが、次の退職所得控除額の計算式。

〈退職所得の計算方法〉

退職所得の金額=(退職収入金額−退職所得控除額)×1/2

〈退職所得控除額の計算方法〉

勤続年数20年以下・退職所得控除額:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)

勤続年数20年超・退職所得控除額:800万円+70万円×(勤続年数−20年)

※勤続年数が1年未満の端数は切り上げる

たとえば、勤続年数が38年の人は800万円+70万円×(勤続年数−20年)で、2,060万円が退職所得控除額になる。勤続年数が20年以下の人は、勤続年数に40万円をかけた金額が、退職所得控除額となる。退職金が控除額以下であれば、税負担はないが、それを上回ると税金がかかる。

そして、問題はここから。

「企業年金には、確定給付企業年金(DB)や企業型の確定拠出年金(DC)があり、時期をずらして受け取ると、退職所得控除が使えなくなるケースが。その分、多くの税金を支払う恐れが出てきます」

そこで、山中さんに〈退職金・企業年金の受け取るときのベストプラン〉を教えてもらった。

夫婦の間で、退職金のもらい方について話をする機会はなかなかないと思うが「知らなかった!」では済まされない。今から、しっかりと確認しておこう。



【ケース1】確定給付企業年金と公的年金の受け取り期間がかぶる場合におすすめの受け取り方は?

確定給付企業年金を受け取る期間は、公的年金の受給開始を可能な範囲で繰り下げる。

退職一時金と企業年金をあわせても「退職所得控除額」の範囲内であれば、一括で受け取ってもいいが、控除額を超えてしまうと、税金の支払いが発生する。

企業年金のうち、確定給付企業年金(DB)は、会社が資金を運用して退職金を準備する制度。運用がうまくいかなかったとしても、約束した金額は支払われるが、受け取り方により総額が変わる。

「退職一時金は退職時に一括で受け取り、DBは退職時に一時金として一括で受け取るか、60歳から5年、10年など年金払いで受け取るかを選択できるのが一般的です。勤続年数が38年の人は2,060万円が退職所得控除額になりますが、退職一時金とDBを一括で受け取ってしまうと、控除額を超えてしまうことがあります。そこで、退職一時金を一括で受け取り、DBは60歳から5年間の『5年確定』、あるいは10年間受け取る『10年確定』を選択し、非課税の範囲内で年金額を設定すると納める税金はありません」

たとえば、退職一時金を2,000万円だとします。DBが300万円なら、60歳からの5年間受け取る「5年確定」の設定だと、1年間で60万円なので「非課税枠」で収まる。

60歳から70歳までの10年間受け取るように設定すると、老齢厚生年金や老齢基礎年金の受け取り開始と重なり、未来の自分の手取りが増える場合がある。

その場合には、公的年金の受け取り開始を「繰下げ」で先延ばしして、将来受け取る年金を増やすこともできる。

「年金の受給開始を繰下げてしまったために、生活が苦しくなったというようでは本末転倒です。年金の繰下げをするときには必ず家計の見直しをしましょう。公的年金や企業年金などトータルで、収支が見合うのかシミュレーションしてから決めましょう」

【ケース2】退職一時金と確定拠出年金を一気に受け取る場合、課税される! どうしたらいい?

60歳で退職一時金と確定拠出年金の一部を受け取り残りは分割。

確定拠出年金(DC)は「会社が掛金を出し運用は自分自身で行う企業型」と「自分で掛金を出す個人型(iDeCo)」がある。

受け取る時期は、60歳から70歳までの間で決めることができ(’22年4月からは75歳までに引き上げ予定)、受け取り方も、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類があり、自分で選択できる。注意したいのは、掛金、運用益は非課税だが、受け取り方によっては税金がかかってしまうこと。

「確定拠出年金のうち、企業型DCとiDeCoを一括で受け取ると退職所得控除の対象に。その場合、掛金を納めていた加入期間を勤続年数とみなし計算します。勤続年数が38年の人が、2,000万円の退職一時金とは別に、企業型DCに15年加入して500万円受け取れるとします。60歳で両方を一緒にもらうと合算され、2,500万円の退職金と認識されます。一方退職所得控除は、勤続年数の長いほうの2,060万円が適用され、440万円の2分の1,220万円が退職所得となり、そこに税率がかかります。そこで、退職所得控除額の範囲内で企業型DCの一部を一時金で受け取り、残りを年金払いで受け取る『年金と一時金の組み合わせ』を選ぶと、税負担がなくなります」

たとえば、先ほどのケースでは、企業型DCの500万円のうち60万円のみを60歳で一時金、残り440万円を年金で受け取る。

440万円を60歳から10年間の年金受け取りと設定すると、1年間44万円となり、非課税の範囲内。65歳からは公的年金の繰下げといった選択肢もできる。

「確定拠出年金は、会社を退職していなくとも60歳になれば受給が可能で、かつ有利な税制での受け取り方を選べます。早めに受け取り方の計画を立てることをおすすめします」

【ケース3】退職一時金と企業型DC、iDeCoを一括で受け取りたい場合は?

60歳で確定拠出年金を受け取り、65歳で退職一時金を受け取る。

確定拠出年金(DC)と退職一時金を、時期をずらして一括で受け取る場合は、「受け取る時期」が問題になってくる。

「退職一時金と企業型DC、iDeCoを一括で受け取りたいときは、受け取る順番が大切です。たとえば、65歳で定年、38年勤続年数がある人が、15年間加入した企業型DCがあるときは、60歳で企業型DCを先に受け取るとすると、退職所得控除が使えます。企業型DCの退職所得控除額は40万円×拠出年数15年なので、600万円。企業型DCが500万円だとすると、税金はゼロ。さらに、65歳で退職一時金を受け取るときは、DCの受け取りから4年以上あけていますから、再度退職所得控除(今回は2,060万円)が使えます。つまり退職一時金も非課税で受け取れることになります」

ただし注意が必要なのは、退職一時金をもらった後に確定拠出年金を受け取ろうとするとき。

確定拠出年金は、受け取る前の14年の間で、退職一時金を受け取っていると「重複期間部分の退職所得控除が相殺される」というルールがある。

このケースでは、企業型DCの加入期間15年が勤続年数と相殺されるが、退職所得控除額は最低80万円とできるので、退職所得は420万円の2分の1、210万円となる。

「計算がちょっと難しいかも……」と思うかもしれないが、そんなときは、定年後のライフプランも含めて、じっくり専門家に相談してみよう。

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