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花粉症や高血圧の薬も出荷調整に…薬局から消えた処方薬リストとその対処法

WEB女性自身 / 2021年12月25日 11時0分

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「『何軒も調剤薬局を回っているのに、ここにもないんですか? ジェネリック医薬品(後発薬)がないなら先発薬でもいいのに。取り寄せもできないのはなぜですか?』。お客さまから、そんなふうに詰め寄られることもあり、ほんとうに申し訳なくて……」

そう胸のうちを明かすのは、大手薬局チェーンに勤務する薬剤師のAさんだ。

じつは今、患者が処方箋を持って調剤薬局を訪れても、該当の薬が手に入りにくい、という異常事態が起きている。

日本製薬団体連合会が調査したところ、8月末時点で流通している医薬品1万5,444品目のうち、2割にあたる3,143品目が「欠品・出荷停止」か、欠品を避けるために、常連の取引先を中心に一定数ずつ卸す「出荷調整」の状態になっていることがわかった。うち9割がジェネリックだという。

「出荷調整になると、過去にその薬を仕入れた実績のある薬局しか仕入れができません。入荷がない場合は、そのつど医師と相談して、『こっちがないなら、あっちの薬』と、まるで綱渡り……」(Aさん)

厚労省に対策を求める声明を出した神奈川県保険医協会の副理事で、章平クリニック院長の湯浅章平さんは、原因をこう解説する。

「医療費を抑制したい厚労省は、これまで、価格の安いジェネリック薬品の普及を推進してきました。その結果’05年には32.5%のシェアだったジェネリックが、’20年には約2.4倍の78.3%に急拡大しています。増産を求められるジェネリックメーカーは『なんとか安定供給を維持しなければ』というプレッシャーのせいか、製造工程で不備や不正が横行していたんです」

昨年12月、ジェネリック医薬品メーカーの小林化工が製造した経口水虫薬を服用した患者ら数百人が体調不良を訴え、70代の女性が死亡した。この事件を受け、ほかの後発医薬品メーカーの査察が行われた結果、業界最大手の日医工ほか、多数のメーカーで製造工程の不備が発覚。これにより業務停止が相次いだため、ジェネリック医薬品が供給不足に陥ったのだ。



■新規患者には薬を処方できないことも

さらに、ジェネリックの不足により、同じ成分の先発薬まで品薄になってしまっているという。

先発薬を製造する大手製薬会社の広報担当は、本誌の取材に対し「ジェネリックの供給不足で予想以上に先発薬の需要が高まり、製造が追いついていない」と語る。

そのうえ、11月末に複数の製薬会社が薬を保管する大阪の大規模倉庫で火災が発生。品薄に拍車をかけそうだ。

「命に関わるような薬も足りない」と、前出のAさんは続ける。

「たとえば、てんかんを抑える“デパケン”という薬。この薬は、後発薬も含めもう半年くらい納品がありません。また、初期の心不全の患者さんが、症状を悪化させないために服用する“メインテート”という心臓病の薬も入荷しません」

つい先日も、こんなことがあった。

「腰の曲がった80代の女性がメインテートを探して、もう8軒も調剤薬局を回っていると言ってうちの薬局に来られたんです。体調の悪い旦那さんに代わって探していたようで……。定期的に来られる患者さんの分だけはギリギリ薬を確保していたので、その女性には、別の患者さんの確保分からお出しすることにしました」

本来、患者が必要としている薬を薬剤師が調剤しない行為は、薬剤師法で禁止されている。しかし、薬が枯渇する現状では、どこの薬局も、定期診療の患者分を確保することで精いっぱいなのだ。

本記事の末尾には、使用者が多いと思われる薬で出荷調整などになっているものと、今後需要がひっ迫しそうなものを一部掲載した。すでに降圧薬や胃腸薬、骨粗しょう症の薬など、供給不足の薬の種類は多岐にわたっている。

「いまはなんとか足りている花粉症やアレルギーなどの先発薬も、春にかけて需要が高まれば、いつ不足するかわかりません」



■薬剤師が教える薬不足への対処法

こうした事態に、「患者の経済状況によって“医療格差”が生まれてしまう」と、憂慮するのは、インターパーク倉持呼吸器内科クリニック院長の倉持仁さんだ。

「うちにはリウマチの患者さんもいらっしゃるのですが、リウマチの注射薬は高額で、ジェネリック(エタネルセプト)でも1回約1万5,000円します。この注射を1カ月に4本打つ必要があり、3割負担でも約2万円かかる。先発薬(エンブレル)は、さらに高く1回約2万4,000円。そのため、できるだけジェネリックを使用したいのですが、現在はどちらも入荷しにくい状況です。代わりの薬はより高価になるため、経済状況によっては薬を出すかどうか、という話になってしまいます」

今回の問題の背景には「薬価の極端な引き下げ」があると倉持さん。

「薬価も二極化していて、リウマチ薬のように薬価の高い薬がある一方で、よく処方される解熱剤のアセトアミノフェンのように、一錠わずか7円という極端に安いジェネリックも多いのです。しかし厚労省は、医療費削減のため、年々、ただでさえ安い薬価をさらに引き下げています。すると、薄利多売に陥ったメーカーは少しでも製造コストを削減しようとして無理をする。その結果、今回のような事態が起こったのではないでしょうか」

こうした供給不足は、果たしていつまで続くのか。

「厚労省は正常化までに少なくともあと2年かかると発表しています。先日、大手ジェネリックメーカーの沢井製薬が問題を起こした小林化工の工場と従業員を引き継ぎ、’23年の春に出荷を開始する見込みだと発表しましたが……」(Aさん)

まだまだ安定供給までの道のりは遠そうだ。

患者として、なにか備えられることはあるのだろうか。Aさんがアドバイスしてくれた。

【薬不足への対処法】

〈1〉かかりつけ薬局をつくる
定期的に処方されている薬があることを薬局側が把握していれば、その分だけは最低限確保してくれる場合がある。

〈2〉受診1週間前に薬局と電話で相談する
事前に電話などで処方薬があるかを確認しておけば、来局日までに薬を用意してくれる場合がある。

〈3〉健康診断や検査の結果を薬剤師に伝える
本来使いたい薬が在庫切れで、代わりとなる薬を提案してもらう際に、薬が合わないリスクを減らすことができる。

「かかりつけの調剤薬局を持ちましょう。いつも処方されている薬がある方は、事前にかかりつけ薬局に『次の診療はいつです』と伝えておくと、そのときまでに薬を確保してくれる可能性が高まります」(Aさん)

くれぐれも、「薬がなくなる!」と慌てずに、落ち着いて備えたい。



■すでにない・今後不足する可能性がある処方薬リスト

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