痛みを芸に…アルコール依存性患者のパフォーマンス

WEB女性自身 / 2014年11月5日 8時0分

「アルコール依存症で、よかった!頭がハゲて、よかった!」と叫んで、かぶっていた帽子をポーンと投げる。ツルツルの頭があらわになり、会場の人たちは爆笑ーー。
 
10月4日、横浜で開催された第36回日本アルコール関連問題学会内でのこと。医療関係者や関連団体の講演が続くなか、ひときわ注目を集めたのは、アルコール依存症当事者・月乃光司さん(49)の詩の朗読パフォーマンスだった。
 
 02年に、統合失調症や脳性まひなど、心身障害者によるパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」を立ち上げた月乃さん。同じ痛みを持つ仲間の存在が依存症の回復に欠かせないが、月乃さんは依存症という枠を越え、病いやコンプレックスを抱える仲間とつながりを広げた。そして、その痛みを 芸 に昇華させたのだ。
 
「かつての私は、アルコールが生きるつえでした。でもそれが仲間に変わって、ようやく、酒をやめられたんです」と語る月乃さんの病歴は「孤独な自己治療」そのものだ。いじめ被害を経て対人恐怖症と醜形恐怖症(自身の容姿が醜いと、極端に気にしてしまう症状)に陥り、不安を払拭しようと、酒に手を出した。
 
「失恋と仕事のプレッシャーからひきこもり、大量服薬と過量飲酒で自殺未遂をしたのが25歳のとき。閉鎖病棟に強制入院させられましたが、退院後も再び酒に手を出して、2度目の入院。そして、その後も断酒に失敗しています。依存症は、脳がその快感を記憶してしまっているので、一滴でも飲んだら終わりです。さらなる快感を求めて、あっという間に元のもくあみ。断酒しか回復の道はないのですが、私は生きることが下手でした。27年間、何かあれば酒を飲んでいたんです」(月乃さん・以下同)
 
3度目の入院をしたときに初めて断酒を決意。そんな月乃さんを支えてくれたのが、仲間の存在だった。
 
「とにかく自助グループのミーティングには通いました。最初のころは週5回。1人でいると酒に逃げてしまうので、自助グループに行くことで飲む時間をなくしたのです。悩みがあるときも、酒を飲む代わりにグループのメンバーに話をしました。対人関係が乏しかった私にとって、心の痛みを他人と共感・共有できたのは、これが人生で初めてのことでした」
 
そうして、酒を断ってもう20年。自助グループでの経験を生かして生まれたのが「こわれ者の祭典」だ。出会いはさらに広がり、3年前には、月乃さんが出演するイベントを見に来た女性と結婚。現在、平日は会社員としても働いている。

女性自身

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