法案成立で民間業者は廃業へ…激変する「生殖ビジネス」のいま

WEB女性自身 / 2014年5月21日 7時0分

「次の世代に命を繋いでいくために」「精子提供を無料で」。インターネットで「精子バンク」を調べると、こんなサイトが続々とヒットする。その数およそ40。その多くは無料や低料金を謳い、なかには年間20件以上の妊娠成功の実績を載せているところもある――。
 
知らずに見れば、精子バンクは市民権を得ているようだ。しかし、厚労省も産婦人科学会もこのように呼びかけている。「感染症のリスクもあり、倫理的な問題もある。利用しないことが望ましい」。そう、日本には精子バンクを規制する法律が存在しないのだ。メルマガ「日刊妊娠塾!」を主宰する池上文尋氏が警告する。
 
「不妊カップルやレズビアン、シングルマザーの望みをかなえたいという団体ももちろんあります。しかし、NPOなのに事務所の所在地の記述もない怪しげなサイトも多い。無料といいながら、さまざまな名目で料金を受け取ってドロンしたり、セックスすることだけが目的のような団体もあります」
 
法律がないのだから、値段設定も好き放題だ。生命倫理の専門家で『生殖医療はヒトを幸せにするのか』(光文社新書)著者・小林亜津子氏が指摘する。
 
「 90年代後半、日本初の精子バンクを名乗った民間会社の場合、インターネットで募ったドナー(精子提供者)に利用者が支払う精子の価格は300万円。高すぎて買い手がつかず、すぐに100万円台に値下げされたそうですが  」
 
 03年に厚労省が法整備を求める報告書を出したが、10年以上も手つかずのままだった。しかし今年4月、自民党が今国会で第三者からの精子・卵子の提供や、代理出産の一部を認める法案を提出すると報じられた。
 
「生まれた子供が精子の提供者を知る権利などは認められていませんが、それでも法案は画期的です。一部の専門医療機関では、夫が無精子症の夫婦は第三者の精子の提供を受けることができますが、事実婚や未婚の女性は対象外。やむをえず民間業者を利用するケースもあったのです」
 
法案では、精子や卵子の売買を禁止。取り扱う医療機関も厚労省の認定制となる予定だ。法案が成立すれば、民間の精子バンクは廃業になる。
 
日本がこれから歩む道は、不妊治療先進国の米国が参考になる。全米に160近くの精子バンクがあり、FDA(米国食品医薬品局)の管轄下にある。スタンフォード大客員研究員の仙波由加里氏が解説する。
 
「子供が産めないとわかったら、精子バンクを利用するというのがこちらでは普通に受け入れられているんです。精子の提供者に支払われる報酬は250〜300ドル(約2万5千〜3万円)程度。スタンフォードの4月15日付の校内紙で募集されていたケースは、精子提供者への1カ月の謝礼は1千200ドル(約12万円)でした」
 
不妊治療の理解や関心は高まっているが、費用面や法律はまだ未整備だ。だが、その困難を乗り越えたとき、授かる宝物は プライスレス に違いない。
 
(週刊FLASH 6月3日号)

女性自身

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