DV男から逃げる気力を失う人たち。「暴力を愛情と感じてしまう」ケースも

女子SPA! / 2019年1月16日 15時47分

 スーパー銭湯で地道な営業活動を続けブレイクしたアイドルグループ「純烈」メンバーの友井雄亮が、女性へのDV、女性のお金の使い込み、不倫などの行為を『週刊文春』(1月17日号)で報じられ、グループ脱退と芸能界引退を発表しました。

「DVに使い込みとくれば、つきあう相手としては一発アウトと思うのが普通でしょう。でも、DV男から逃れられない女性もいるのです」と語るのは、不倫や男女事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さん。DVを“受け入れてしまう”ある女性のケースを、亀山さんがレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

◆それでも別れようと思わないのはなぜ?

 内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成29年度)によれば、身体的精神的にデートDV(*)を受けたことのある女性は21.4パーセント。実に2割の女性が恋人からのDVを受けたことがあるという結果になっている。DVは100パーセント、加害者が悪い。どうして逃げないのかと言われることもあるが、被害者はDVを受けると、逃げる気力さえ失っていくものなのだ。

(*)交際相手からの身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のいずれかの被害

参考 内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査 交際相手からの暴力の被害経験」(平成29年度調査)

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/h29_boryoku_cyousa.html

 ただ、逃げる気力を失う前に、被害者側が「DVされる連鎖」を抱えている場合もある。実際、DV被害を受けたことのあるルリさん(35歳)は、「暴力を働く男性としかつきあってこなかった」という。

 彼女はそもそも、口より先に手が出る親に育てられた。12歳のとき、その両親が事故で亡くなった。就職したばかりの6歳年上の兄とふたりで暮らすようになったのだが、その兄から継続的に暴力を受けた。

「親戚の家に逃げ込んで、そこで高校まで育ててもらいました。だけど兄はたまにやってきては、私を殴る蹴るして帰っていく。親戚も怖がって見て見ぬふりをしていた」

 高校を出ると、昼間は働きながら夜、大学へと通った。ようやく自立できてほっとしたころ、恋人ができた。同じ大学に通う3歳年上の男性だった。

「この彼が嫉妬深くて……。最初はうれしかったんです。私のことなど誰も気にかけてくれないと思っていたけど、好きだと言ってくれたから。だけどそのうち、同じクラスの男性と話しただけで文句を言われた。弁解しようとすると頬を張られて。そのときに、『ああ、やっぱり私は殴る人と一緒になる運命だったんだ』と妙に納得したんですよね」

 過去を否定することはできないと改めて感じたという。

◆ずっと苦しんで、今は思考回路を変えている途中

 その彼とは、大学卒業後に別れたが、次につきあった人も暴力的だった。理性では、暴力をふるわれたら逃げたほうがいいとルリさんはわかっている。このときは友だちの協力もあって、すぐに別れることができた。だが26歳でおとなしくてやさしい男性と知り合い、つきあうようになったとき、彼女は彼を試し続けたという。

「本当に私を好きなのか、どのくらい好きなのか。彼が言葉を尽くしても納得ができない。だから彼を試すんです。夜中に今すぐ来てと言ったり、私のことが好きなら会社を休んで一緒にいて、私も休むから、とか。一緒に死んでと言ったこともあります。彼は辛抱強く接してくれました。

 だけど彼が同僚と飲みに行くと言ったとき、その中に女性もいると知って私が激怒したんです。彼につかみかかって暴れて。そうしたら彼が、私を落ち着かせるために頬を軽く叩いたんですよ。すごくうれしかった。本当に私を好きなんだと思って、もっと殴ってと頼みました」

 彼は、一緒に病院に行こうと言った。ルリの考え方は歪んでいる、と。そう言われた彼女は激怒し、彼と連絡を絶った。

「その後も暴力男とばかりつきあっていましたが、4年前にとうとう骨折させられて。幼なじみの女友だちが、泣きながら『もうあんたを見ていられない』と私を女性センターに連れていってくれた。そこから紹介された病院で、ずっとカウンセリングを受けています」

 殴ることは愛情ではない。理屈としてわかっていたことを、彼女は体に染みこませるよう、自分の考え方を変えようとしている。

「全部、理性ではわかっているんです。だけど男性とつきあって暴力をふるわない人だと、私のことを本気で好きなわけではないんだと思ってしまう。小さいころから受けていた暴力を、成長過程で自分に納得させてしまったんでしょうね。だから暴力はいけないとわかっているのに、土壇場になると私を力づくで愛してほしいとなる」

 わかっていながら、最後には暴力に頼ってしまうのは、彼女自身が「自分を肯定できないから」だそう。ここから抜け出すのは大変だと彼女は言う。認識していることと実感することの間にギャップがありすぎるのだ。

「いつか穏やかな恋愛をしたい。今は一歩一歩、地道にがんばっていくしかないなと思っています」

 この4年間は、特に誰ともつきあっていない。体に傷がない人生は初めてかもしれない、と彼女は少し満足そうな笑みをたたえて自分の腕をさすった。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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