浮気した夫と10ヶ月の別居。妻が許した“きっかけ”に心温まる

女子SPA! / 2019年4月29日 15時47分

※写真はイメージです

 何らかの事情で一度関係の壊れかけた夫婦でも、思わぬきっかけで再生することがあります。男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、夫婦の“再生物語”をレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

◆モテる夫と結婚。協力して暮らしてきたが……

 夫は若いときから女性の影がいつもちらちらしている男だったと、イツコさん(45歳)は苦笑する。大学の同級生だった夫と結婚したのは27歳のとき。周りから早く結婚しろとせっつかれていたという。

「まあ、でも夫はまだ結婚したくなかったんじゃないかしら。ただ、妊娠してしまったのでようやく観念したんだと思います。調子がよくてへらへらした人なんです」

 言い換えれば明るくて前向きでもある夫。誰とでも仲良くなってしまうので、若いときから浮気疑惑は多々あった。

「夫は就職したんですが6年後に父親が急逝、家業を継いだんです。飲食をやっている小さな店ですが、夫はまったくネガティブ思考がない人なので、それなりに楽しそうでした」

 イツコさんは年子の2児を育てるために一時、専業主婦となるが、夫が店を継いだときに再就職を果たした。

「それからはごく普通の家庭生活でした。夫は車で10分くらいの店から夜10時くらいには帰ってきます。時間をやりくりしながら協力してがんばってきたという思いはありました」

◆よその女性との「エロいやりとり」

 4年前、夫が20代の若い女性とメッセージのやりとりをしていることが発覚。まだ会ったことはないようだったが、内容的にはかなりエロいやりとりだった。パソコンを閉じずに夫が出かけてしまったので、娘が見つけてイツコさんに知らせたのだという。

「うちの娘はどこか達観しているというか……。『まだ会ってはいないようだけど、おかあさん、気をつけたほうがいいよ。とっちめてやらないと』って冷静に言っていました(笑)」

 そのときは結局、娘が父親を問いつめ、家族の前で父親は母親に土下座することとなったそうだ。

「ただ、娘の言うとおりエスカレートはしていったようですね」

 もともと明るくてモテる男性ではあったらしい。イツコさんが写真を見せてくれたが、こんな明るい笑顔を見せられたら女性は惹きつけられるだろうというくらいステキな笑顔だ。そう言うと、「そうですかねえ」とイツコさんは不審そうな表情になる。身内と他人とでは印象が違うのはやむを得ない。

◆夫が女性といる姿を娘が目撃

 夫の浮気が発覚したのは1年ほど前。娘が偶然、繁華街で女性と腕を組んで歩く父親の姿を目撃してしまったのだという。

「娘は夫にいろいろ質問したそうです。離婚するつもりなのか、私たちの学費はどうするのか、と。そういう一連のことはあとから娘に聞いたんですけど、浮気されている妻の私はけっこうぼんやり生きていました(笑)」

 ただ、夫が外泊した日があり、浮気はバレた。下戸の夫が「商売仲間と飲みに行って酔いつぶれた」という言い訳をしたときに、あまりに嘘っぽいと思ったのだ。結婚してから一度もなかったことが、そう簡単に起こるわけもない。

◆ついに浮気を認めた夫。そのまま別居へ

「女の人がいるんでしょと言ったら、『なりゆきでつい』って。その女性が恋人にふられて慰めていたら迫られて、つい深い関係になってしまったということでした。

『抱きつかれて、何もせずに帰すことができなかった』と夫は言うんだけど、そこが夫の甘いところですよね。それで彼女がますます悩む結果になるかもしれないのに。さすがに私も、この人とは一緒に暮らしていけないと思って、今は顔を見たくない、店で暮らしてと追い出したんです」

 店の2階は狭いながらもひとりで暮らすには充分なスペースがある。夫は身の回りのものを車につめて出て行った。高校生の長女と長男は笑って見送ったという。なぜかこの一家、深刻にならないのだ。ただ、イツコさんは本気で離婚を考えていた。

「子どもたちはよく夫に会いに行っていたようですが、私は夫がいなくなったことで、実は自分が今までけっこう我慢してきたのかもしれないと気づいたんですよね。女性にヘラヘラする夫を野放しにしてきたし、そういう男だからしかたがないと思ってきたけど、案外、私はそれがいやだったんだ、と。心の奥底では、私だけを見つめてくれる人がほしいと若いころから思っていたのかもしれない」

 子どもたちからはときどき夫の様子を聞いていたが、イツコさんは会う気になれなかった。近いところにいるのに、夫とは心が離れたような気がしていた。

◆クリスマスイブ、プレゼントを持った夫と再会

 それから10ヶ月近くたった昨年のクリスマスイブのこと。夫が突然、自宅に現れた。

「子どもたちが算段したんですよ。だけど玄関で夫の姿を見たとき、なぜだかふっと若いころのことを思い出した。私はできちゃった婚だったと思い込んでいました。確かに妊娠したのはきっかけだったけど、他の女に取られたくない、彼と一緒になりたいという思いは確かに私の中にあった。こんなふうに突然、私のアパートに現れたことが何度もあったなと思い出したんです」

 つい家の中に夫を招き入れた。子どもたちはふたりでこっそり家を抜け出していたようだ。夫は「本当にごめんなさい」と言って妻を抱きしめた。夫が渡した小さな箱には指輪が入っていた。

「私たち、結婚指輪を買わなかったんですよ。子どもが生まれてくるのに指輪にお金を使いたくなかったから。結婚して18年たってもらった指輪に、ちょっと気持ちがほだされました」

 いつしか子どもたちが帰ってきていて、にこにこ見守っている。

「とりあえず許すか」

 イツコさんはそうつぶやいた。いや、そうつぶやくしかなかった。一度はほとんど夫から離れた気持ちが戻ったのを実感したという。

「ただ、次やったら離婚だからね。それだけは言ってあります。次はもう子どもたちも味方につかないと夫に宣言しているようですから」

―夫婦再生物語 Vol.5―

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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