1秒で料理上手になるには…出す時の「セリフ」で決まる/料理研究家リュウジさん

女子SPA! / 2019年5月13日 15時46分

サバ缶の即席あら汁

 Twitterから登場し、いまブレイク中の「料理のおにいさん」リュウジさん(1986年生まれ)。レシピを紹介するTwitterはフォロワー60万人、書籍『バズレシピ』シリーズ第3弾の『バズレシピ 太らないおかず編』(2019年1月刊)も発行部数5万部と好評です。

 リュウジさんインタビュー、最終回をお届けします。

◆出す時に「これ、めっちゃ美味しいから!」と断言しよう

――リュウジさんが他の料理研究家と違うのは、レシピに自分で「悪魔的にうまい!」とか書くところだと思うんです。

リュウジ「そうなんです(笑)。例えば、RedBullって栄養ドリンクのキャッチフレーズは『翼をさずける』なんです。でも、そんなわけないじゃないですか、翼なんか生えないですよね。

 僕の料理も同じです。自分で『涙が出るほどおいしい』とか書きますけど、実際おいしいんですけど、さすがに涙なんか出ない(笑)。でもそう言われると試したくなりませんか?」

――確かに!「イマイチだけどよかったら…」と言われるよりは、めちゃくちゃ試したくなります。その発想の元は?

リュウジ「ひとつは、僕がもともとサービスマンだったから。ホテルマンを4年やって、料理を運ぶこともあったんですけど、『こちらは××産のお野菜を使っています』とか、言うと言わないのでは、お客さんの反応が違うんです。味覚って、先入観で変わってくるんですよ」

――じゃあ、私たちも彼氏とかに料理を出す時、「むっちゃおいしいから」と言ったほうがいですね。

リュウジ「絶対そうです! それが、料理がうまくなったように見える、一番手っ取り早い方法です。

 例えば、『サバ缶の即席あら汁』というレシピがあるんです。出す時に『サバ缶を味噌汁に入れただけなんだけど…』とか言うより、『これが完璧に、あら汁なのよ!』と自信たっぷり出すほうが絶対いいです」

●レシピ:サバ缶の即席あら汁(『バズレシピ 太らないおかず編』より)

・材料(1人前)

サバ水煮缶 0.5缶(75g)

市販の「白だし」 大さじ0.5

水 170ml

みそ 大さじ0.5

長ネギ 3~4cm

・作り方

1.鍋にサバを缶汁ごと入れ、白だしと水を加えて中火にかける

2.沸騰直前にみそを溶いて火を止め、小口切りにした長ネギを散らす

◆37万いいね!された「無水油鍋」

――オーバーな表現に振り切ったきっかけはあるんですか?

リュウジ「数年前、Twitterでレシピを公開していたら、出版社から書籍化したいと連絡が来たんです。でも『フォロワーが足りない、10万は欲しい』と言われて。当時のフォロワーは1万。一度は無理だと思って落胆したんですが、だんだん怒りに変わっていったんですよね。

 向こうが言っているのは『将来的に発言力ができたらうちから出すよ』で、相手は何のリスクも負ってないし、何もしていない。だから僕は『フォロワー10万人にしてやる!』と決意したんです」

――確かにそれは腹が立つかも……。

「それでバズったレシピを集めてみたら、どれも売り文句があったんですね。『悲鳴を上げるほど美味しかった』とか、『何と何が美味しいから、勝利が約束されてる』とか。味覚ってそういうものですよね。『この人のお墨付きだから』と聞けば、美味しいと思える」

――最近で、すごくバズッたレシピはありますか?

リュウジ「去年11月の『無水油鍋』ですね(いいね!数は37万)。本当においしいんですが、『一滴も水を使わない、鍋の常識が変わるくらい旨かった』と書いたのがよかったんですかね。『じゃがアリゴ』の次にバズッったはこれです」

●レシピ:無水油鍋(リュウジさんtwitterより)

 ニンニク2片をごま油大さじ3で炒め、白菜250g、豚バラ200gを乗せる。

酒大さじ3、白だし大さじ1入れてフタをして、クタッとするまで弱火で煮るだけです。

「香りとコク、旨みが半端ない。ポン酢か塩で召し上がってください、マジで損はさせません」(リュウジさん)

◆僕が一番安い「食卓塩」を使う理由

――料理の味は、一定以上なら味覚の能力よりは、思い込みってことなんですかね。

リュウジ「僕は料理の論文とかを読むのも好きなんですが、前に読んだ論文で、こんな内容のものがありました。

『食卓塩』と岩塩の成分はほとんど同じで(※)、人間の舌は、岩塩に含まれるミネラルを感じ取れるほど正確じゃないっていうんです。

 これをツイートしたら、めちゃくちゃ炎上しました(笑)。

 岩塩と食卓塩をなめると味が全く違うんですが、論文によると、結晶の形が違うから舌に乗ると味の違いが出てくる。だからステーキに振りかけたりするには、岩塩は非常に有用だと。

 でも、スープに溶かしたら、岩塩も食卓塩も味が一緒なんです。僕もスープを作って飲み比べてみたんですけど、全く違いがわからならなかった。全く!です」

――だからリュウジさんのレシピ本は、一番安い食卓塩(瓶入り100g=91円+税)を使ってるんですね。

リュウジ「僕もかつては『アルペンザルツ』(ドイツアルプスの岩塩)をキロ単位で買ってた意識高い系だったんで、岩塩でパスタを茹でてたんですね。でも『俺は何をやってたんだ』と…。岩塩だから美味しい、っていうプラセボ効果みたいな」

※塩化ナトリウム比率は、「食卓塩」が99%以上、各国産の食用岩塩も98~99%とほぼ同じで、ミネラル等は残り1~2%の違いにすぎない。「岩塩には多量の鉱物を含むものがありますが、それは食用には販売されていません。食用とする岩塩ではミネラルはほとんどないといってよいでしょう」(サイト「塩の情報室」元日本塩工業会顧問、工学博士・尾方昇氏による)

 ただしブランド海塩の中には、ミネラルがたいへん豊富なものもある。

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 今までの料理家とはかなり違う、リュウジさんの料理思想。

「僕のレシピの『美味しい』基準はカップラーメンです。自分で作ってみて、カップラーメンくらい美味しいのができたら、それでいい」と言い切ります。

 料理は難しいと思って敬遠していた人は、「なんだそれでいいのか。やってみようかな」と思うのではないでしょうか。

<取材・文/和久井香菜子>

【和久井香菜子】

ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営

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