スーパーの食品は手前から取る?食べ物を捨てないためにできること

女子SPA! / 2019年7月8日 15時45分

 食べ物を捨てるなんてもったいない――。

 当たり前のことに思えますが、実は日本の食品ロス(まだ食べられるのに捨てられた食品)はなんと年間643万トン。そのうち291万トンが家庭から出ています(※環境省、平成28年度推計値)。あまりの事態に、5月24日、食品ロス削減法が成立しました。

 食べ物をムダにしないために、私たちが日々できることは何でしょうか?

『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』の著者で、食品ロス問題に長年取り組んでいる井出留美さんに取材しました。

◆①冷蔵庫は7割まで。いっぱいになるほど買わない

――メーカーとお店の問題は根深そうですが、一方、家庭では「腐らせよう」と思って腐らせているわけではなくて、なぜかムダになっちゃう。なんで、こんなにロスが出ちゃんでしょう?

井出:冷蔵庫が一つの肝(キモ)だと思うんです。本来、食品を日持ちさせるための冷蔵庫なのに、冷蔵庫で腐らせている人って結構いるんですよね。

 企業の在庫管理と一緒で、何がどれくらいあって、いつに期限が切れるのかがわかっているとロスが出ない。余分なお金も使わなくて済みます。

 冷蔵庫がいっぱいじゃないと不安、という人もいますが、奥まで入っていると管理できないし、3割くらいスペースに余裕があったほうが冷気が循環してよく冷えるし電気代も安いんですよ。

 そして家庭の冷凍庫は、冷凍したものを1か月で食べきるのがいいと言われているんです。

 つまり「冷蔵庫いっぱいになるほど食品を買わない」ことが基本です。

◆②お店では手前の商品から買う

――食品を買う時に気を付けるべきことはありますか。

井出:簡単ですぐにできることがあります。それは、スーパーやコンビニで商品を買うときは、すぐ食べるなら手前に並んでるものから買うことです。

――奥のほうが新しいから、つい奥から取ってしまいます……。

井出:手前から取ることで、ロスから救えるんです。

 小売店では、賞味期限まで商品を店頭に置くことはありません。賞味期間を3分の1ずつに区切り、最初の3分の1までを「納品期限」、次の3分の1までを「販売期限」としています。この「販売期限」を過ぎてしまうと、店頭から撤去され、廃棄処分になってしまうんですよ。

――いちばん手前にある物でも、十分、賞味期限は残っているわけですね。

井出:また、小売店の中には「日付後退品」の納品を拒否する場合があります。これもおかしな商慣習なのですが、例えば、賞味期限2020年4月30日のペットボトルをひとたび納品すると、その翌日には、賞味期限2020年4月29日のものは納品できないんです。

――まだ1年以上あるのに。しかも、たった1日の違いで…。

◆③「大サイズ=割安」という考えを捨てる

井出:あと、買い物では大量に買わないこと。使い切れる量を買う。

 キャベツ1個使えないなら、4分の1や2分の1を選ぶ。仕事が忙しい時はカット野菜だっていい。牛乳だって、1リットルを飲みきれないのなら、小さいサイズにすればいい。「小サイズだと割高になる」と言う人がいますが、捨ててしまったらもっと割高です。

――なるほど。確かにそうです。

井出:調味料も結構捨てますよね。たとえばマヨネーズをあまり使わない家なら、お弁当用の小袋でいいと思うんです。毎回開封して新鮮なものが使えます。余りがちなエスニック調味料は、他の料理に使えばいい。ナンプラーだってチャーハンに加えたり、味噌汁に数滴入るとコクも出ます。

――食材を多く買って冷凍保存するのはどうでしょうか?

井出:冷凍保存をマメにできる人ならいいですけど、マメじゃない人にはできないですよね。私自身が無理。だったら、使い切れる量だけを買うほうがいいと思います。

◆④食品をムダにしない企業を選ぶ

――食品ロスに前向きに取り組んでいるお店やメーカーを選ぶのも、プラスになるのではないでしょうか。

井出:そうですね。例えば、北海道を中心とした『セイコーマート』は、早くから見切り商品の安売りなどをしているし、昨年、北海道地震が起こったときの対応は見事でした。車のバッテリーから電気をつないで早々に営業をスタートさせ、カツ丼にする予定のご飯を塩むすびに変えて販売した。カツ丼だと一人しか食べられないけど、塩むすびだと2人分以上になりますから。

――柔軟ですね。

井出:その一方で、被災地近くの某コンビニチェーンの場合、お弁当を捨てていたんです。理由は、幕の内弁当の食材はあるのに漬物がなく、本部の指示する規格が守れないから、商品として出せなかったと。

 被災者のみなさんは食べる物がなくて大変な思いをしているのに…と、お弁当納入業者の社長さんが泣きながら取材を受けていました。

――そのほか、注目の小売店はありますか?

井出:福岡県柳川の「スーパーまるまつ」は、社長さんが自分で美味しいと思うものをお客様に売るという商売の基本を大切にしていて、欠品を許容しているんです。海がシケていたら魚は取れないんだから、売り場を埋めるために鮮度の落ちた魚は置かない。そう言われたら、その通り!だと思いますよね。

 その他、コストのかかる折り込みチラシをやめてポイントで還元し、ある金額以上を買ったお客さんには家まで車で送るといったサービスもしています。市内に競合他社も多いなか、シェア15~20%あるそうで、そう思うと、「欠品NG」って、一体誰のためのものなんだろうって思いますよね。

――少なくとも、お客様のため、だけではないですよね。

井出:お客様のためと言っているけれど、本部が自社の売り上げを失いたくないためだけの言い訳だと思っちゃいますよね。

 あと、メーカーでいうと、キユーピーは食品ロス削減に力を入れています。賞味期限を長くするよう製法を新開発したり、マヨネーズが最後まで使い切れる容器を開発したり。フードバンク活動への協力も積極的です。

 そのほか、飲食店では廃棄が出やすい「回転」をやめて、注文を受けて作る「回らない回転すし」屋さんもあります。

◆⑤「もったいない」を思い出す

――私たち消費者も、それこそ恵方巻きブームに飛びつくとか、買いすぎるとか、ロスにつながる行動がたくさんありますね。

井出:スーパーなどの小売で働く方にとって「お客様は神様」で、お客様が求めてもいない気を使い、メーカーと小売のヒエラルキー(上下関係)の中で、たくさんのロスが生まれている。

 一方で、その“お客様”が権利ばかり主張しすぎな気がするんです。お客様――消費者には権利だけでなく責任もある。ちゃんと環境のことを考える責務があるんです。

― 食べ物を捨てすぎる私たち vol.3 ―

【井出留美さんプロフィール】

博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊、日本ケロッグ等に勤務。3.11食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託された。著書に『賞味期限のウソ』(幻冬舎新書)、Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

<文/鈴木靖子>

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