事実婚に不安はある?交際20年でも「いつか出ていけと言われたら…」

女子SPA! / 2019年8月4日 8時47分

写真はイメージです(以下同じ)

 さまざまな家族の形が出てきている今、婚姻届を出さないカップルもいます。事実婚を選ぶ理由は何なのか? 不安はないのでしょうか?

 アキさん(48歳)は、パートナーとつきあって20年。最初は単なる同棲、その後、子どもができたら婚姻届を出そうと彼が言って事実婚状態となったものの、子どもができることはありませんでした。彼女が親の介護のため別居状態になると「仕送り婚」、そして現在は再び同居して「内縁」関係に。

 なんとも興味深い関係を続けているアキさんに、男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが話を聞きました。(以下、亀山さんの寄稿)

◆上司と部下…浮気から始まった関係

 内縁と事実婚は、夫婦という認識はあっても婚姻届を出していないという点では同じだ。ただ、内縁が明治時代の民法によって「戸主の同意が得られない」ために正式な結婚ができないなどの理由により生じたものであることに対し、事実婚は別姓を重んじたり家意識への抵抗など自分たちの主体的理由で婚姻届を出さないことによる。

「そうすると私の場合は内縁なのか、事実婚なのか……」

 悩むアキさんだが、そもそも彼とは上司と部下の関係だった。彼女が転職した28歳のころ、元上司となる彼から食事に誘われた。10歳年上でバツイチの彼は彼女の恋愛対象外だった。当時、アキさんには恋人もいたのだ。

「ただ、食事して飲んでいるうちに終電を逃しちゃったんですよね。彼が『ウチのほうが近いから泊まれば』と。そこから関係が始まったんです」

 いつしか彼の家に泊まる回数が増え、恋人とは疎遠になっていく。そして彼女の借りていたマンションの更新時期が近づき、「越してくれば?」と彼が言ったのを機に同棲生活が始まった。

「結婚という言葉は出なかったんですが、私も若かったのであまり気にしていなかった。でも30代に入ったころ、ずっとこのままなのかなと呟いてみたことがあるんです。彼は『子どもができたら考えないとな』と言ったので、そうなったら結婚するんだなと思っていました。もともと上司と部下という関係だったこともあって、肝心なところだけは踏み込めなかったんです」

 彼の家だったこともあるのか、最初から家事はほとんど彼がやっている。夕食も彼が帰ってきてから作ってくれる。それが習慣となった。

◆セックスレス、それでも一緒にいるしかない

 仕事をしていたアキさんだが、持病を悪化させて入院し、働けなくなった時期がある。彼は熱心に見舞いに来るわけでもなく、さりとて完全放置するわけでもなく、たまに来てはさらりと帰っていった。

「退院が決まったとき連絡したら『わかった。行けないけどひとりで帰ってきて』と。あ、私が帰ってもいいんだと思いました」

 その後はアルバイトをしながら同居生活を続けてきた。彼女が浮気したこともあるが、彼はまったく気づいていないようすだった。

「いつのまにかレス状態でしたしね。彼は私を女として見ていない。それでも一緒にいるしかないことを恨むような気持ちになった時期もあります」

◆私がいなくても相手は全く困らない

 40歳になったころからは、彼女の両親の具合が悪くなり、ほぼ実家で過ごすことが多くなった。彼はこの間、毎月、生活費として10万円を仕送りしてくれていた。

「その期間を私は仕送り婚と呼んでいるんですが、私が彼のところに帰るのは月に1、2回。それでも彼はもともと家事を全部やっているくらいだから、私がいなくても物理的にはまったく困らないんですよね。帰ると、なんとはなしに話をして私の愚痴なんかも聞いてくれて」

 そして両親を相次いで見送り、ここ数年はまた一緒に暮らしている。今、仕事を探している彼女に対して、彼は親身になって相談に乗ってくれている。

「履歴書を書くとき、既婚未婚のところをどうしようと言ったら、『事実婚だと言えばいいじゃん』と。彼の中では事実婚という認識なのかと初めて知ったんですよね(笑)」

 今までは、婚姻届はどちらでもいいとアキさんも思っていた。だからそれほど重視していなかったのだが、年齢が上がるにつれ、法的にまったく守られていないことが不安につながるようになっている。

◆いつどうなるか分からない不安

「あるとき突然、もう一緒にいたくないから出て行ってと言われたら、私は行くところがないんですよ。そんな冷たいことはしないだろうと信じてはいるけど、いつどうなるかわかりませんしね。お互いに保険の受取人にもなれないし、どちらかが手術となっても同意書すら書けない場合が多いらしいんです」

 日本ではまだまだ事実婚のデメリットが大きい。パートナーシップ制度が同性間だけでなく、異性間にも広がっていく必要があると個人的には思う。

 家計も家事もすべて彼が仕切っているので、彼女は基本的にはなんら心配なく日常生活を送っている。ただ、だからこそ「単なる居候」なのではないかと不安にもなるのかもしれない。

「でも私が戻ってきてから、月に数回、一緒に外食するようになったんです。以前は皆無だったんですけどね。おいしいものをふたりでゆっくり食べて、また来ようねと言う瞬間はやはりうれしいですね」

 恋愛感情はもはやほとんどない。だが彼と一緒にいる安心感はある。正式な結婚制度に則っていないので、どこか緊張感も残っている。こういう関係も悪くはないのではないだろうか。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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