子供ができない40歳妻。不倫相手と駆け落ち寸前に知った、夫の本心とは

女子SPA! / 2019年8月26日 8時47分

 何らかの事情で一度関係の壊れかけた夫婦でも、思わぬきっかけで再生することがあります。男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、夫婦の“再生物語”をレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

 結婚して10年、子どものいない夫婦に訪れた危機。エリカさん(40歳)は、何もかも捨てて不倫相手と一緒に海外に行こうとしていた。だが、そこで夫のとった行動とは。

◆夫の子ども好きを知っていたからこそ

 30歳のとき3歳年上の男性と結婚したエリカさん。すぐに子どもができるものだと思っていたが3年たってもできない。夫婦で受診すると、エリカさんに問題があることがわかった。

「不妊治療をしても可能性は低いと。そのときの夫のがっかりした顔が忘れられないんです。彼はものすごく子どもをほしがっていたので。夫の気持ちがわかるからこそ、私は申し訳ない気持ちでいっぱいで、それ以来、どこか夫婦関係はぎくしゃくしていたような気がします。ぎくしゃくというか、お互いにどこか遠慮ばかりするようになっていた」

 それぞれが仕事を優先したので、時間的なすれ違いも大きかった。エリカさんは週末も習いごとやジムに通い、あまり夫と一緒にいないようにすることもあった。

「夫のほうも浮気していたんじゃないかなと思うフシがあります。出張といって週末いなかったりね。出張なんてほとんどない仕事なのに」

◆運命の人は一回り年上の画家

 相手に無関心になったわけではないのに、関心があることを表現してはいけないような雰囲気になっていった。あたりさわりのない会話と、表面的な思いやりだけがふたりを支配していく。

「つらかったですね、あのころは。さびしかったし。一緒にいると、ひとりでいるより孤独なんです。そこから逃げ出しくて、独身の女友だちと遊んでいました」

 37歳のときだった。一回り年上の「運命の人」に出会った。たまたま立ち寄った画廊にいた画家と知り合ったのだ。

「美術の教師をしながら絵を描いている人で、ひとこと交わしただけで恋に落ちていました。そんなことが自分に起こるなんて考えられなかった」

 彼に誘われるままにカフェに行ったが、エリカさんは「脳みそが沸騰したような状態になっていて、何を話したかも覚えていない」そうだ。

「話の途中でもう我慢ができなくなり、『私、あなたを抱きたい』とつぶやいてしまったんです。なぜか抱かれたいではなく、“抱きたい”だった。彼は落ち着いた口調で『同じことを考えていた』って。彼、地方から絵の出品のために上京していたんです。だから彼の泊まっているホテルにそのまま行ってしまいました」

 激しい時間を共有したあと、「もぬけの殻になって家路に着いた」そうだ。

◆彼の海外旅行に同行しようと

 彼は既婚でふたりの子どもがいた。だが妻は実父の経営する会社の専務としてバリバリ働いており経済的には余裕があったため、それ以来、ときおり上京するようになった。

「それでも1ヶ月に1回、会えればいいほうだった。彼に会えないと身体がガクガクすることがあるんです。自分の身体が自分のものでないような。彼と時間を過ごすと、また身体感覚が戻ってくる。とにかく彼と会っていないと心も体も不安定でどうしようもないんです」

 出会ってから半年後、彼が絵の勉強も兼ねてフランスに旅行をするから一緒に来ないかと言ってくれた。「もう帰ってこなくてもいいんだ」と彼はつぶやいて、じっと彼女の目を見つめた。ふたりで何もかも捨てて、新しい世界へと旅立つ。彼とならそれもいいかもしれない。

「考えに考えて、私も覚悟を決めました。久々に実家へ行って両親と過ごし、心の中で親にお別れもした。夫には連休と有休を使って、女友だちと旅行すると言ってありました。夫は『いいなあ。楽しんでおいで』と言ってくれていたんです」

◆空港にはいるはずのない夫が

 当日、スーツケースを引きながら家を出たときの気持ちを、エリカさんは昨日のことのように思い出す。もう帰ってこないかもしれない。夫に心の中で手を合わせた。

「成田で彼と待ち合わせていました。彼の姿が見えてそちらに足早に向かっていったとき、横からすっと現れたのが、会社に行ったはずの夫。『行くな』『やり直そう』と夫が叫んだんです。目の前の夫の向こうに彼が見える。夫を突き飛ばして彼のもとへ行くこともできました。そうしようかと夫を見たとき、夫の目から大粒の涙がぼろぼろこぼれ落ちているのが見えて……」

 ちょっと待ってと彼女は深呼吸した。ここで情にほだされたら後悔する、と彼女は急に冷静になった。自分はどうしたいのか、誰を愛しているのか、誰と一緒にいたいのか。

「『子どもなんてどうでもいいよ。オレはエリカが好きなんだ、エリカと一緒に生きていきたいんだ』と彼は大声で言いました。あ、私が聞きたかったのはこの言葉なんだと思った。スーツケースを放り出して夫に抱きつきました。ふと見ると、彼が搭乗口のほうに向かってひとりで歩いていくところだった。申し訳ない気持ちはあったけど、私は夫に抱きついたままだった。離れたくなかったんです」

◆ただ一緒に生きてほしい

 夫は妻が駆け落ちのように海外へ行くことを悟ったのか、あるいは彼女の携帯電話でも見たのか。それについてエリカさんは夫に尋ねてはいない。夫も何も言わない。

 ただ、それ以来、夫婦関係は激変した。子犬を飼ってふたりでめんどうを見ながら、時間さえあれば一緒にいる。子どものいる友だち夫婦と一緒に出かけることもある。

「子どものいない夫婦だからこそ、友人の子どもたちの逃げ場になってあげられる。自分たちの時間を楽しみながら一生懸命働いて、いつか困っている子どもたちのために何かできればいいねと話し合っています」

 今は、お互いの気持ちを言葉にすることを躊躇しなくなった。何でも話せるようになったのだ。遠慮をせずに本心を吐露する重要性を、エリカさんと夫は心の底から感じているのだろう。

―夫婦再生物語―

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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