K-POP人気の裏で、なぜ韓国の芸能人は自殺を選んでしまうのか

女子SPA! / 2019年9月9日 15時46分

『スカーレットレター』 (画像:amazonより)

 K-POPアナリストの小野田衛です。

 輸出規制や経済報復合戦によって、日韓関係は過去最悪の状態を迎えています。しかし、「そんなことはどこ吹く風」とばかりにBTS(防弾少年団)やTWICEなどK-POP勢の人気は留まるところを知りません。BTSは昨年、メンバーのジミン(23)が原爆投下を肯定するようなTシャツを着ていたことで総バッシングを浴びるということがありました。もはや日本国内での活動は不可能とささやかれましたが、ふたを開けてみれば影響はほとんど皆無といえるでしょう。

 しかし、この「第3次韓流ブーム」と呼ばれる動きにも死角がないわけではありません。韓国芸能界には、かねてより影を落とし続けている重くて深い問題が存在します。それは「自殺」や「うつ病」にまつわるもの……。

◆“芸能サイボーグ”になりがちな韓国の芸能人

 今年5月に日本でも人気が高かったKARAの元メンバー、ク・ハラ(28)が自殺未遂を起こしましたが、一昨年はSHINeeのジョンヒョンさん(享年27歳)が練炭自殺をしてファンに大きなショックを与えました。一体、韓国の芸能人は何にそこまで追い詰められているのでしょうか?

「アイドルの場合、精神的に未成熟な部分が多いのではないか」と声を潜めるのは韓国在住の芸能事務所関係者です。

「よく知られているように、韓国のアイドルはデビュー前に何年も厳しいレッスン漬けの毎日を送ります。その間、歌やダンス以外の世界とは遮断状態。つまり普通だったら学校や軍隊で学ぶ人間関係のきびや社会性が身につかないんですね。いきなり仕事から人生が始まるようなものだから、おのずと社会人としてバランスが悪い“芸能サイボーグ”になりがちなのです」

 KARA内では一二を争う人気メンバーだったハラも、グループ活動休止後のソロ活動は鳴かず飛ばず。韓国国内では「あの人は今?」状態だった。かと思えば元恋人とのリベンジポルノ騒動で世間の大きな注目を集めてしまい、本人にしてみたら泣きっ面に蜂といったところでしょう。順風満帆に見えたSHINeeにしても、2017年8月にリーダーのオンユ(29)がセクハラ強制わいせつ容疑で逮捕されてから活動休止に。この件でメンバー間に大きな動揺が広がっていたのは想像にかたくありません。

 無我夢中で全力疾走しているとき、死ぬことを考える人は少ないはず。少し落ち着いて、自分の内面と向き合う時間ができたとき、死という概念が首をもたげてしまうのです。そういう意味では、ハラとジョンヒョンさんは類型的な自殺に至るパターンといえるかもしれません。

◆業界内で高い評価を得ていても…

「アイドル以外の俳優や歌手に目を向けると、自殺者の数は飛躍的に増えます。05年に亡くなった女優のイ・ウンジュさん(享年24歳)は、身長170cmの抜群の美貌と卓越した演技力で業界内でも高い評価を得ていました。ただ遺作となった『スカーレットレター』をはじめ、役の中で死ぬことが多かったんですよね。死ぬとは、どういうことなのか? そのことばかりイメージしているうちに、自身も死へ導かれたのではないかと噂されています」(前出・韓国芸能関係者)

  チェ・ジンシルさん(08年没・享年39歳)の死も物議を醸しました。彼女はネット上のアンケートで「1990年代最高の女優」に選ばれるなど、文字通りのトップ女優でした。読売ジャイアンツで活躍し、「コリアンエクスプレス」と呼ばれていた元プロ野球選手・趙成珉(チョ・ソンミン)さんが結婚していた相手といえばピンとくる人も多いかもしれません。 チェ・ジンシルさんと趙成珉さんの間には04年に離婚が成立していたものの、元妻の死に趙成珉さんは大きなショックを受けたといいます。

 そして13年、後を追うようにして趙成珉さんは首を吊って自殺(享年39歳)。なお チェ・ジンシルさんの実弟で俳優・歌手のチェ・ジニョンさんも、10年には自ら命を絶っています(享年39歳)。まさに悲劇の連鎖です。

 もっとも、自殺が多いのは芸能人に限りません。韓国はOECD加盟国※での自殺率が13年連続で1位という不名誉な記録を持っているのです。今年発表された最新のデータではリトアニア(新たにOECDに加入)に次いで2位になり、自殺者の数も若干減少傾向にあるものの、依然として自殺大国であることには変わりがありません。

 自殺にいたってしまう韓国人のメンタリティについては、後編として近日公開します。

※OECD:経済協力開発機構。加盟国は、アメリカ、カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国など36か国。

人口10万人あたりの自殺(=自殺率、2016年)は、韓国25.8人、日本16.6人、OECD平均11.6人。

<文/小野田 衛>

1974年神奈川県生まれ。青山学院大学経営学部卒。共同通信社勤務の父の転勤に伴い、1977年より幼少期を韓国・ソウルで過ごす。大学卒業後、桃園書房勤務を経て、竹書房に入社。男性誌や女性向け書籍の制作を行なうかたわら、韓流関連の単行本や雑誌に携わる。現在は電子書籍配信会社「ブックシェルパ」取締役を務める一方、フリーライターとして活動。K-POPアナリストとして雑誌媒体を中心に執筆活動を続けている。

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