戸田恵梨香『スカーレット』に朝ドラファンが喜ぶ3つのポイント

女子SPA! / 2019年10月10日 8時45分

ヒロインは、滋賀・信楽の陶芸家・川原喜美子(戸田恵梨香)

 9月30日にスタートした、戸田恵梨香主演のNHK連続テレビ小説『スカーレット』。

 何かと話題性に事欠かなかった前作『なつぞら』と比較し、視聴率の低下ばかりを取り上げる記事が多いことに、「ちょっと待て」と感じている視聴者は多いのではないでしょうか。

 なぜなら『スカーレット』には、朝ドラファンが「こういう作品が見たかった」と思う要素がたくさん詰まっているからです。

◆1)名作『カーネーション』を彷彿とさせる

 1つは、朝ドラ史上最高傑作と評する人も多い『カーネーション』(2011年、主演:尾野真千子)を彷彿とさせること。

「幼い頃から貧乏一家を支えようと頑張る、働き者の長女」

「好きなモノへの情熱(本作では今のところ、絵がそれ)」

「お転婆で男と取っ組み合いのケンカをして怒られること」

「見栄っ張りで亭主関白だが、お人好しで憎めないダメ父」

「駆け落ち同然で結婚したお嬢様で、おっとり穏やかだけど、芯は強い母」

「主人公が『女』であるだけで認めようとせず、初期には一番の壁となって立ちはだかる父」

などなど、キャラクター造形の安心感は抜群。

 おまけに、信楽で何かと世話をしてくれる財前直見は『カーネーション』の洋裁の先生、『カーネーション』で近所のおばちゃんを演じていたBK朝ドラの常連さん・三林京子も登場します。

 朝ドラ最高傑作と言われるものは、この『カーネーション』のほかに、『ちりとてちん』『あまちゃん』などいくつかあり、それぞれのファンは少しずつかぶる部分と、相容れない部分とがあります。しかし、『カーネーション』はドラマとしてのクオリティの一つの頂点として、「次のカーネーション」を求め続けている朝ドラファンは一定層いるのです。

◆2)NHKの名ドラマとリンクするスタッフ陣

 そして、もう一つは、近年のNHKドラマで「朝ドラでこそ、こういうのをやってほしい」という声が多かった作品とのリンクです。

 本作の制作統括の内田ゆきプロデューサーと、演出の中島由貴、音楽の冬野ユミといえば、熱狂的ファンを多数獲得した黒島結菜×伊藤健太郎の土曜時代ドラマ『アシガール』(2017年)の面々。

 同作は、番組終了後も公式サイトの掲示板やSNSが大いに盛り上がり、単発スペシャルの続編も作られた人気作でした。端役一人ひとりに至るまで愛着たっぷりに描かれた魅力的なキャラクターの数々や、その爽快感や疾走感には「こういう作品こそ朝ドラで観たかった」という声が多数あったのです。

 また、本作の脚本を手掛ける水橋文美江の近年のNHKドラマといえば、高橋一生×永作博美の『みかづき』(2019年1~2月)があります。学習塾業界を舞台に、親子3世代にわたって奮闘する家族の物語を描いた作品でした。これもまた非常に秀逸なドラマとして高評価を得たものの、惜しいのはたった5回の放送だったこと。

 そのため、「もっとじっくり見たかった」「こういう作品こそ朝ドラでやれば良いのに」という声が多かったのです。

◆3)佐藤隆太が演じる「草間さん」の存在感

 現時点でもう一つの見どころは、佐藤隆太が演じる「草間(宗一郎)さん」の存在。

 佐藤隆太というと、どうしても思い出さずにいられないのが、広末涼子と内田有紀W主演の『ナオミとカナコ』(2016年)で演じた2役。

 内田有紀のDV夫と、DV夫を殺害した後に二人が見つけた瓜二つの「身代わり」要員・中国人の林さんの2役を演じましたが、林さんが特に愛らしく魅力的だったことから、いまだにネット民の間では佐藤隆太が登場するたび「林さん」と言われています。

 話がだいぶそれましたが、そんな佐藤隆太が今回演じているのは、「少女時代のヒロインに影響を与える、心に傷を抱えた謎の旅人」役。

 どこかしらネット民の大好物「林さん」的な憂いを帯びているうえに、このポジションは、朝ドラでは非常に重要な役割を担っています。

 例えば、『おしん』で生涯支え続けてくれた理解者・渡瀬恒彦や、『はね駒』で男女平等を教えてくれた沢田研二、『あさが来た』で「ファーストペンギン」とたとえて、あさの進べき道を照らし、支え続けてくれたディーン・フジオカなど……。

 とはいえ、要素をひたすら並べていくと、「二番煎じではないか」などと不安に思う人もいるでしょう。しかし、『スカーレット』の一番の魅力は、こうした要素や話題性を前面に押し出すわけでなく、あくまでストーリーを丁寧に描いていること。

 「本役」の戸田恵梨香がほとんど登場していない現時点で十分に楽しい本作。一人一人のキャラの掘り下げ方や小さな言動の一貫性、丁寧なストーリー運びを見るにつけ、「子役時代が一番良かった」という“朝ドラあるある”に、今回は当てはまらない予感・期待でいっぱいです。

<文/田幸和歌子 場面写真/(C)NHK>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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