空港で超過料金をしぶる男性客、見ず知らずの女性を巻き込み言い逃れ

女子SPA! / 2019年11月20日 8時46分

 こんにちは。ライターの高木沙織です。

 かつてグラホ(グランドホステスの略、現在のグランドスタッフ)として6年間勤務していた私。みなさんも空港で接する、航空会社の地上職員です。

 前回は、「飛行機を定刻で出発させる」というグラホの仕事をこなすため、タイマーをセットするほど分刻みのスケジュールに追われていたお話をしました。今でも当時の悪夢を見て飛び起きることがあります…。

 短期の海外旅行であればそこまで心配する必要がないのが受託手荷物の重量。しかし、渡航の目的や期間の長さによっては荷物が増えて超過料金の支払いが必要になってしまうことも。

 今回の15話は、超過料金の支払いをめぐってある男性客が繰り広げたお芝居の話をします。

◆どう見ても重量オーバーの荷持を持つイケメン

 これは、私がチェックインカウンターにて新人教育を担当していた日の話し。Tシャツにデニム、こんがりと日焼けをした、どことなく『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)時代の竹野内豊さんを彷彿とさせる雰囲気柔らかイケメンがチェックインに現れました。

 新人も「お? イケメン」と思ったのか頬がゆるんだ様子を見せたのもほんの束の間。彼は2個の大きなスーツケースを転がしているではありませんか。しかも、見るからに重量オーバーしているであろう大物です……。

 この瞬間って、緊張感が高まりギュッと表情が硬くなるんですよね。いくらチェックインには慣れてきても、受託手荷物の超過料金の計算やお客様とのやり取りというのは慎重になるところだから。

 そもそも重量に関しては決められたルールがあると言っても、実際に支払いが発生するとなると眉をひそめるお客様も少なくないんです。もちろん、ルールを守って快く支払いをしてくださる人がほとんどなのですが。

◆荷物を計ろうとしたら態度が急変

 さぁ、いよいよ新人の接客が始まります。まずは挨拶、「ご出発は1名様ですか?」、それに対して彼も優しい口調で「そうです」、と返答。続けて口を開いたのは彼で、「ちょっと荷物が多くなっちゃって。重さはどうかな」とはにかみながらの先制攻撃。

 いつものチェックインのペースが乱れたのか新人は急に弱気な声色で、「重さを計らせてください」と。それを感じ取った彼は、なんとまさかの拒否! そして、ネームプレート上に付けられた新人バッヂを見ると人が変わったかのように、「いや、見た感じでわかるでしょ? このスーツケースは5kg以下だし、中身は洋服だから合計10kg! 2つ合わせて20kgだからオーバーしてないよ」と声を荒げたのです。

 ちなみにもしそれが本当だとしても、重量を計らずにバゲージクレームタグを発行して検査に通すなんてのはあり得ない話。そんなことをしていたら、飛行機の安全運航のためのウエイトバランス(燃料計算や貨物搭載位置など)にも関わります。ここは、いかにスムーズかつ穏便にお客様に納得して重さを計らせてもらうか、グラホの腕の見せどころ。

 新人、頑張りました。安全運航のための協力という趣旨も説明し、重さを計る許可を得ると……。自己申告をはるかに上回る20kg分の超過を確認。行き先にもよりますが、20kgの超過料金は結構高額になるので、スーツケースは1個だけ預け、もう1個は自宅に送り返すとのことで手続きは完了。

◆再び現れた男性客、その目的は?

 ほとんどのお客様のチェックインが済み、カウンターが落ち着いてきた頃、「さっきのお客様、ご協力してくださり安心しました」なんて会話をしていると……。

 いくつか離れた先のカウンターに見覚えのある姿が。先ほどのお客様です。おや、お連れの女性がいた……の? かと思いよくよく話し声を聞いてみると、「俺はチェックイン終わっているけど、彼女がまだでさ。荷物はこれね」ん? さっき持って帰ったスーツケースだよね。

 それに彼は1名で出発のはず。これは見逃せません。他人の荷物を預かるというのは保安上絶対にNG。「それくらい大丈夫」と簡単に預かってしまい、そのなかに危険物や違法な物が入っていたら? 知りませんでは済まないのです。

◆女性客に事情を聞くと衝撃の事実が

 すぐさまお客様のところへ向かい、「お荷物の件、わたくしが伺います」と声をかけると驚いた顔で、「実は彼女と一緒だったんですよ」なんて言うから、女性のほうに質問。

「ご予約は1名様で取られていますが、こちらの方とご一緒でよろしいでしょうか? 座席に空きがありますので、お隣をご用意しましょうか?」と言うと、「すみません、私1人です。頼まれて断れなくて」と。

 目線を男性客に移すと、しまったという表情。なんでも、数人の女性客に荷物を預かってもらえないかと声をかけていたそうです。カウンター責任者も含めた話し合いの結果、搭乗開始時刻も迫っていたこともあり荷物は郵送できず、高額な超過料金を支払うことで決着。素直に郵送を選べば費用も抑えられたのに、あとの祭りです。

 みなさん、このようなシーンに出くわしても荷物は断固預からないこと。それがどんなイケメンでもですよ、冗談では済まない身を滅ぼす恋になってしまうかもしれないのだから。

<文/高木沙織>

【高木沙織】

美容ライター/ヨガインストラクター/ビューティーフードアドバイザー/スーパーフードマイスター。多角的に美容・健康をサポートする活動を行っている。過去には『AneCan』『Oggi』の読者モデル、ファッションモデル、ナレーター等も経験。Blog、Instagram:@saori_takagi

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