ドラマ「来世ちゃん」の原作者いつまちゃんに聞く、性をこじらせた男女の攻防

女子SPA! / 2020年3月13日 15時46分

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第1巻の表紙は桃江

 内田理央主演で放映中のドラマ『来世ではちゃんとします』通称「来世ちゃん」(テレビ東京、水曜深夜1:35~)。原作は、ツイッターから始まり、『グランドジャンプ』(集英社)で連載中の同名漫画です。

 働く女性を中心に人気のこの漫画、魅力は「共感度」! 下請け映像プロダクション「スタジオデルタ」に勤める、性をこじらせた5人の男女が織りなす恋愛模様は、激しくうなずくことばかりです。

 どうしたら、こんなにリアルなネタを作り続けられるのでしょうか。作者の「いつまちゃん」に話を聞きました。

◆性をこじらせた5人のキャラ

――個性的なキャラばかりですが、モデルはいるのでしょうか。

「スタジオデルタの5人は、私の性格のいろいろな要素を5等分しているんです」(以下、いつまちゃんによるキャラ解説)

【大森桃江(27)】セフレが5人いる性依存系。本命に選ばれない虚しさもある。

「大森桃江は、美大生のころの自分。大学2年の前半で単位を取り終わってしまって、ヒマがたくさんあったので、いろいろな悪い男と遊んだりしてたんですね。その経験と、ちょっと悲しかった気持ちを反映しました」(いつまちゃん、以下同)

【高杉梅(27)】恋愛に興味がない。ボーイズラブが大好きで同人誌を作っている。

「高杉梅は、すごく美人なのに恋愛に全然興味なかった友人から着想を得ました。私自身も17歳まで全然恋愛に興味がなかったんです。本当に男の子みたいな性格で身なりもそんなに気を使わず、オタクでアニメのキャラクターとか俳優さんとかを崇拝する。でもリアルで男性からそういう感じに来られると『うっ』と思っちゃうような感じだったんです」

【松田健(26)】魔性のタラシ男。肉体関係を持った女性は情緒不安定になる、メンヘラ培養沼。

「性に奔放な大森桃江の鏡として、性に奔放な松田を描いています。性的な関係になると、女の子のほうが惚れてしまって、男の人は『もうヤッちゃったしいいや』と優位に立つことが多いと思うんです。フェミニズムの観点からはいろいろ解釈があるかもしれませんが。

 あと情緒不安定な女の子が夢中になっている男の子って、共通項があるなと感じます。その象徴が松田です」

【林勝(26)】過去の失恋から、処女しか愛せなくなった。体育会系のセカンド童貞。

「私が小学校2年生のころからずっと『2ちゃんねる(現:5ちゃん)』に潜って親しんでいた経験からできたキャラです。女性経験の少なさゆえに、性に奔放な女性を憎んでいる男性とか、処女を崇拝する男性――そういう2ちゃんの一部の住人の思想から、林ができました。純粋なのにどこか空回りして、『ネイルしてたらモテないぞ』とか言っちゃうデリカシーのなさを持ったキャラです」

【檜山トヲル(29)】風俗嬢に恋して、給料の大半を貢いでいる、マジメな働き者。

「檜山トヲルは、私がずっと片思いしていて弱者に回ってしまったときの経験を反映しました。あと、推しやアイドルを崇拝するときの気持ちも投影していますね。

 スタジオデルタの5人は大体私の内なるものからできていて、社外の人は身のまわりの人を参考に作っている感じですね。桃江のセフレたちも、そのままではないですけど、『あ、こんな人とお手合わせしたな』みたいな経験に着想を得ています」

◆アメスピ吸ってる男は性欲が強い?

――スタジオデルタのお仕事の様子が、すごくリアルですね。

「私の前職が3DCGのスタジオだったんです。数名しかいない下請けの会社で、忙しくなると夜も帰れず2連泊する、みたいな。レンダリングっていう、作業が終わって出力している間は数分~2時間くらいパソコン使えない時間ができるんですよ。その間におしゃべりしたり、外でたばこをプカプカ吸ったりしてたのは、漫画の通りですね。すごくいい会社でした」

――今どきの漫画には珍しく、スタジオデルタの5人は全員喫煙者で銘柄も描かれてますね。いつまさんも喫煙者ですか?

「私は、たばこがないと生きていけないってくらい吸っていますね。今は加熱式たばこを吸ってます。加熱式たばこは、煙でなく水蒸気が出るもので、匂いや汚れもつきにくい。最初は『わ、なんか変な味だな』って思うんですけど、慣れるとこれしか吸えないっていう人、私以外にも多いですね」

――そういえば、以前、いつまさんがツイートした“タバコ占い”がすごくバズっていました。

「アメスピ(アメリカンスピリット)吸ってる男はみんな性欲強い」「ホープを吸ってる男は淡泊だけど2回戦できる」「セッター(セブンスター)吸ってる男はヤッてる時はオラオラなのに賢者モードがエグい」などなど。

「アメスピ吸ってる人は、経験上、性欲強い人が多かったんですが、あとは私の独断と偏見ですね。でも私の偏見、当たるので合っていると思います、たぶん(笑)。冗談半分ですけどね!」

――「ウィンストンはロマンチストだけどバックでフィニッシュする」と。

「偏見ですけど、ウィンストンは匂いがきつくないから、シュッとして意識高い系というか。口説くときはいい感じのバーに誘っていい感じの口説き文句をくれるけど、ヤッってしまったらスッと冷めて、あとが雑な人が多いかなっていう(笑)。

 バックでフィニッシュが雑なわけじゃないですけどね。でも『めちゃくちゃ彼女が好き!』っていう人は、正常位でキスをしながらフィニッシュしがちだと思うんですよ」

――「これを吸っている男は好み」とかありますか?

「好みでいうと、珍しい銘柄を吸ってる人とは、話が合わないかな。『アーク・ロイヤル』とか、甘いバニラの匂いの『ブラックデビル』とかを吸っている人は、少しこだわりが強くて情緒の起伏が激しいような気がします。私が加熱式の前に好んで吸っていたので。

 たばこに一時期すごくハマって『全種類を吸ってみよう』みたいな頃があったんです。だから、たぶん珍しいたばこを吸う人って私に似ているんですよ。同族嫌悪が強いので自分に似ている人は苦手なんです。

 あ! ここまでのタバコの話は全て私の偏見ですので! 全員がそうとは限りませんよ」

――面白すぎて話が脇道にいってしまいました(笑)。

◆女をメンヘラにする、松田という沼

――5人のうち、人気のキャラは誰ですか?

「桃江と松田が2トップで人気です。自分の経験に重ね合わせて好きと言ってくださる方もいますし、共感はできないけどキャラクターとして好きという方もいて理由は様々です。松田に関しては、悪い男って魅力的じゃないですか」

――松田は、言ってほしいことを言ってくれますよね。

「すごく気が使えて、相手を肯定しかしないんです。誰に対しても『かわいい』『きれい』って心から言うし、悲しそうな女の子には優しい言葉をかける。でも、ヤッた後に相手からLINEがガンガン来ると、スルーして『どうして女はすぐ重くなるんだろう?』と。

…もう沼ですね、女心の一番柔らかいとこを甘やかすだけ甘やかして急に素っ気なくなる男は」

――少女漫画発想で言うと、「彼を本気にさせるのは私だ!」と女に思わせちゃう男。

「それ『テニスの王子様』の跡部景吾みたいですね。『おもしれー女じゃねーの!』みたいな(笑)」

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 デビュー作である「来世ちゃん」、実は、いつまちゃんの失恋と絶望から誕生したそう。次回インタビューでは、その裏話に迫ります。

<文/和久井香菜子 文字起こし/ブラインドライターズ 撮影/坂本陽>

【和久井香菜子】

ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営

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