夫に裏切られ…絶望から救ってくれた、亡き愛猫・虎之助に教わったこと

女子SPA! / 2020年9月13日 15時46分

写真

子猫時代の虎之助くん

【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.19】

「この子を守るためにもしっかりしなきゃと思い、生きる気力が湧いてきました。がんや難病なども患いましたが、この子のおかげで病気に負けずに生きることができたんです」

 亡き愛猫・虎之助くん(享年15)の大切さを、そう振り返るみとらさん(@mi_tora)は、猫に救われた猫好きさん。

◆夫を迎えに行ったら1匹の子猫がいて…

 ある日、みとらさんは同僚の結婚式に出席した夫を迎えに式場へ。到着したとき、目に飛び込んできたのは、ボロ雑巾のような子猫と遊ぶ夫の姿でした。

「その頃、私は不妊治療中でしたが、なかなか子どもができなかったので義父の知り合い宅で子犬が産まれたら譲ってもらう予定でした」

 しかし、夫は偶然出会った子猫に夢中になり、飼いたいと言ってきたのだそう。その言葉を聞いたみとらさんの脳裏によぎったのは、彼が独身のころに飼っていた老犬を雪の降る中、外に出したまま亡くしたという過去。その彼が小さな命を本当に見守れるだろうか……。そんな想いを夫に告げると、最後まで責任を持つと言われたため、納得し、子猫を家族として迎えることにしました。

◆「離婚してほしい」と告げてきた夫の裏切りに涙

「虎之助」と名付けたその猫は、すくすくと成長。

 しかし、その一方でみとらさんの人生には暗雲が立ち込めていました。

「私は持病があるので、プロポーズされたときに迷惑がかかるからと一度断りました。それでも受け入れると言ってくれたことを嬉しく思い結婚したのですが、結局家にお金をあまり入れてくれなくて……」

 そして、夫はある日、突然「離婚してほしい」と告げてきたそう。

「持病が理由だと言われましたが、後に浮気していたことが分かったんです」

 夫の裏切りは、みとらさんの心に大きな傷を付けました。

「ショックでした。父にがんの手術の予定があったので、義母に相談し、別居しました。虎之助は連れていけなかった。離婚の話が成立するまでには数か月かかり、持病はさらに悪化。もう絶望しかありませんでした」

◆「この子を守るためにも、しっかりしなきゃ」

 しかし、その後、さらにみとらさんを苦しめる出来事が。それは元夫が考えている、虎之助くんの飼い方を耳にしたから。

「元夫は忙しくて虎之助をかまえていなくて。でも、最後まで面倒見ると約束したから実家のケージで飼おうと思っていると聞いて、いても立ってもいられなくなりました」

 今まで伸び伸び暮らしていた子をケージの中で飼うなんて……。我慢できなくなったみとらさんは虎之助くんを引き取ることに。

「再会したとき、私のことなんてもう覚えていないだろうなって思ってたんです。でも、虎ちゃんって呼んだら大きな声で鳴きながら、まっすぐ私のもとに走ってきて甘えてくれた。その瞬間、思いました。この子を守るためにも、しっかりしなきゃって」

 くっつき虫の虎之助くんは夏場はみとらさんの頭の近くで、その他の季節は腕枕をされながら眠るのが好きだったそう。

「料理中もそばにいて、魚だと虎視眈々と狙うことも…(笑)。自家製ヨーグルトに目がなく、自分で戸を開け、容器を倒して食べていたこともありました」

 ユニークな記憶の中でも特に印象に残っているのが、緊急入院をしなければならなかった日のこと。

「荷物を取りに家に帰ったとき、向き合って『あのね虎ちゃん、お話があってね。入院するんよ。ごめんね』と話した途端、羽毛布団に粗相をされたのは、今では笑える思い出です」

◆FIPの数値に絶望

 そんな虎之助くん、実は保護後、しばらくしてからFIP(猫伝染性腹膜炎)の数値が高いことが判明。

「お腹がぽこっと出てきて、元気がなくなったので病院で検査をしたら分かったんです」

 FIPは、致死率が高い病。獣医師さんから「覚悟をしてください」と言われた後は、車の中で虎之助くんを抱きしめ、泣いたのだそう。

「こんなかわいい子が、どうしてこんな目に遭わなければならないんだろうって。でも、泣いている私を不思議そうに見つめる虎之助を見て、腹をくくりました。この子が楽しく生きられるよう、毎日を大事にしながら育てようと」

 泣いたり悲しんだりすることをやめたみとらさんは自宅で、とにかく虎之助くんが楽しくてリラックスできるように努力。

「せっかく生き延びた命ですから、万が一の場合でも最後に『生きていてよかった』と思ってほしかった」

 そんな想いが通じたのか、3歳になるころにはなんとFIPの数値が正常に。虎之助くんはみとらさんに、「病に負けない強さ」を教えてくれたのです。

◆虎之助くんの最期…「生きることを教えてくれた」

 しかし、別れは突然やってきました。虎之助くんが13歳になったころ、心音が早くなったことに気づいたみとらさんは病院へ。2度の診察を経て判明したのは、「甲状腺機能亢進症」であるという事実。一時は強制給餌が必要なほどでしたが、治療食や薬のおかげで自力で食べられるまでに快復したのです。

 ところが、それからしばらくしたある日の夜、虎之助くんに異変が起きました。

「寝ている部屋に虎之助が来て鳴いていました。おやつかなと思い、差し出しましたが食べなくて。撫でると、私の顔をじっと見て鳴き、ベッドへ戻っていきました」

 その後、虎之助くんの体調は急変。みとらさんは心臓マッサージや人工呼吸をしながらタクシーで夜間病院へ向かいました。

「本当は気づいていました。病院へ向かう途中で、スっと最期の自発呼吸が出たこと。でも、病院に着くまで心臓マッサージや人工呼吸をやめることはできませんでした」

 愛猫の死という現実を受け止められたのは、獣医師から「人工的にしか呼吸できないよ。もう楽にさせてあげましょう」と言われたときでした。

◆新しい愛猫への想い

「もし、今、何か伝えられるとしたら、一緒にいてくれてありがとうって言いたい。虎ちゃんにはいろんなことを教えてもらいました。特に、“生きること”を学んだ。ずっと大好きです」

 時間をかけ、虎之助くんを失った悲しみを癒したみとらさんはその後、茶白の琥吉(たまき)くんを迎えました。

 さらに、1か月後にもともと決まっていた引越し先で兄弟だけ保護され、ひとりぼっちになっていたさくらちゃんを保護しました。

「私が猫と暮らせるのは、きっとこれが最後だと思い、殺処分対象だった赤ちゃんの琥吉の里親になったんです。強く生きてほしいという思いから、虎之助から“虎”の字を貰いました。さくらは虎之助と似たグリーンの瞳をしていて、琥吉に社会性を教えてくれました。」

 新しい愛猫と亡き家族の両方を愛し続ける、みとらさん。その深い猫愛はきっと、天国の虎之助くんにも届いているはず。みとらさんの心の根っこには今もなお、虎之助くんからもらった「強さ」があります。

<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング