月給15万のシングルマザー、親への仕送り月5万も。“2世代貧困”の苦しさ

女子SPA! / 2020年9月27日 8時47分

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川名さん親子が暮らすアパート

 昨年、大きな話題となった「老後2000万円問題」。「夫婦が95歳まで生きのびるのに、年金では約2000万円足りない」と、金融庁が報告書に記したのです。

 実際に、老後の生活費が厳しいという高齢者世帯は多く、子供が親に仕送りをしているケースもあります。10年前の少し古いデータですが、内閣府『平成22年度 高齢者の現状及び今後の動向分析についての調査報告書』によると、別居している親に仕送りをしている人の割合は1.4%で、その平均金額は月に6万4000円。普通の家計なら、親に毎月これだけのお金を送るのは、かなりの負担です。

◆月給15万。手当5万円分は、親への仕送りで消える

「けど、親に泣きつかれてしまった以上、いくら生活が厳しくても『そんな余裕ない!』と見捨てるわけにもいきません。なんだかんだいって私の親ですから……」

 苦しい胸の内を明かしてくれたのは、コールセンターで働く川名秀美さん(仮名・36歳)。小学5年生になる男の子を育てているシングルマザーです。

「別れた夫は高校卒業後に勤めていたカー用品店の同僚でした。けど、結婚後に私に隠れて数百万円の借金を抱えていたことを知って、そのことを問い詰めると暴力を振るうようにもなって……。家にもお金をほとんど入れてくれなくて、子供を産んだ翌年に離婚しました」

◆元夫の消息はわからず、養育費もなし

 元夫からの養育費は現在まったく振り込まれておらず、消息すらわからない状態。彼の実家に問い合わせても連絡先を知らなかったそうで、「もともと実のご両親との仲はあまり良くなかったので……」と完全に諦めているとか。

 そのため、収入はコールセンターの給料が手取りで約15万2000円。それと子供手当をはじめ、ひとり親家庭などを対象とした自治体の児童扶養手当や児童手当、児童育成手当といった諸手当が1か月あたり5万1850円。合わせて20万3850円になりますが、これだけあればシングルマザーでも子供ひとりを育てることは可能です。

「ただ、ここから毎月5万円を実家に仕送りしているので、15万円弱で生活しなきゃなりません。もっと給料が多ければいいのですが、20万円のうち4分の1が仕送りで消えるので本当にしんどい。国や自治体からの手当てがなければ、うちはもう生活していけないです」

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●秀美さんの1か月の収支

収入

15万2000円(コールセンターの月収)

5万1850円(国・自治体からの諸手当)

支出

5万円(実家への仕送り)

4万3000円(家賃)

1万6000円(光熱通信費)

3万円(食費)

4万2000円(子供の教育費など)

1万8000円(雑費)

収支

+4850円

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◆23歳のときに父が病死して歯車が狂った

 しかし、普通の親であればシングルマザーの娘に援助をしても逆に仕送りを求めたりはしないはず。実家はなぜここまで困窮しているのでしょうか?

「もともと、実家は特に裕福ではなかったけど貧しいわけでもなく、ごく普通の家庭だったんです。私はそんなに勉強は得意ではなかったですけど、志望していた専門学校の学費はちゃんと親が払ってくれました。でも、私が23歳のときに父が病気で亡くなり、それから歯車が狂っていったんです」

 父親の遺産や保険金はそれなりの額があり、それがあれば本来なら母親ひとりでも老後の生活に困ることはありませんでした。ところが、何を思ったのか母親はそのお金を計画的に使おうとはしませんでした。1500万円ほどあったお金は、父親が亡くなって7年ほどできれいさっぱりなくなってしまったというのです。

◆父の遺産をすべて使い果たし、借金がある母

「当時、私は30歳になったばかりで子供を保育園に預けて働きに出ていたのですが、母から仕送りをしてほしいと連絡があって、聞いたら『お父さんの遺産はもうないの……』って言うじゃないですか。実家に戻って通帳を見たら本当にお金がないし、それどころか実家を担保に約600万円の借金を抱えていて、その返済も滞納していたんです。

 あまりのショックで目の前が真っ暗になりました。実は、私もこのときにはじめて知ったのですが、母はお金の管理が苦手で毎月必要な分だけ父が渡していたそうなんです。そのことを知っていれば私が管理していたのですが、父はある日突然倒れてそのまま逝ってしまったので……」

 秀美さんは一人っ子なので母親と同額の遺産を相続したそうですが、別れた夫は結婚中に彼女を勝手に連帯保証人にして借金。その返済と離婚後、子供がまだ幼かったので働きに出られず、生活費に充てていたため、母親の借金を知った時点で自身の遺産も半分も残っていなかったそうです。

「母の借金を代わりに支払って、私が相続した遺産もほぼ使い切ってしまいました。母親は月々の生活費にすら困っているのでパートに出てもらいましたけど、持病を抱えていて、そこまで無理はさせられません。生活保護の申請は母に強く拒否されてしまったこともありますが、それ以前に、調べてみたらウチは条件を満たしていなかった。だから私が援助するしかなかったんです」

◆息子がワガママも言わないことが逆に申し訳ない

 そんな中でも子供の将来のために毎月貯金しているのは立派ですが、その金額も4000~5000円がやっと。子供がほしいモノもほとんど買ってあげられず、遊びに行きたい場所に連れていくことできず、「小さいころから子供に我慢ばかりさせてしまい、私はダメな母親です」と自分を責めます。

「息子も幼いなりに自分の家の状況を感じ取っているのか、ワガママも言って私を困らせるようなことはほとんどありません。正直、助かると思う反面、幼心にワガママを言ってはならないと思わせてしまっているなら母親として本当に申し訳ないなって」

◆再婚のチャンスはあったが…

 秀美さんはまだ36歳。実年齢よりも若く見え、まだまだ再婚のチャンスはいくらでもありそうです。実際、中学時代の同級生から再婚を前提とした交際を申し込まれたそうですが、仕送りの問題などもあったことから断ってしまったといいます。

「すごくうれしかったですし、彼のことは昔から知っているので一緒になれば幸せになれるかなとは思いました。それでも実家のことできっと迷惑をかけることになるだろうし、子供も11歳でこれから父親になるのは大変です。そんな風にマイナスなことばかり考えてしまったら、やっぱりお受けすることはできなくて……」

 そう話す秀美さんですが、やはり未練があるようです。再婚も簡単に決めることはできないと思いますが、現在の厳しい生活を変えるきっかけにはなるのではないかと思います。

 これまで散々苦労してきたわけですし、子供のためだけでなく自身のためにぜひ幸せをつかんでほしいと願うばかりです。

<文/トシタカマサ>

【トシタカマサ】

一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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