夫が大病になり“検索の鬼”と化した妻が、心を救われたネットの言葉とは

女子SPA! / 2020年9月29日 15時46分

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写真はイメージです(以下同)

 筆跡アナリストで心理カウンセラーの関由佳です。脳梗塞に引き続き、夫に突然見つかった肺腺がん。診断が下り間もなく再入院し、最初の抗がん剤の治療が始まりました。それと並行して脳梗塞のリハビリも続き、あわただしい毎日が過ぎていきました。

 とはいえ、あまりに立て続けに夫を病魔が襲ったため、私の頭はすっかりマイナス思考に。まるでずっと悪夢の中にいるようで、なかなか眠りにつけず、少し寝てはすぐ病院からの連絡が来ていないかスマホを確認し、常に夫の無事を祈っていました。毎日毎日「もしかしたら今日突然死んでしまうかもしれない」という恐怖を抱えていたのを覚えています。

 さらにその当時“検索の鬼”と化していた私。夫の病気や症状について毎日事細かに検索をしまくっていました。しかしいくら検索しても前向きな答えは出ず、むしろどんどん絶望的になるばかり……。

 そんな闘病生活の始まりに気づいたことと、その後の心境の変化についてお話しします。

◆検索で見つける絶望的な現実……

 毎日朝から晩まで、仕事中や夫と会っている時間以外は病気について必死で検索していた私。おかげで病気自体についてはだいぶ詳しくなったものの、知りたくなかった情報も多大に手に入れる羽目になりました。例えば、ステージごとの余命や薬の重い副作用、闘病ブログの行く末など……。

 医師からは余命などは告げられておらず、まだそこまで考えなくてよかったはずでしたが、やはり情報として目に入ってしまうとショックは大きいものです。また、闘病ブログはだいたい途中で更新が止まっていたり、最後にご家族からの「ご報告」というタイトルで亡くなったことが告げられていたりということが多く、現実を突きつけられてより絶望する、というパターンが常でした。

◆“検索の鬼”が行きついた先は?

 検索した後はずっと「今使っている抗がん剤を最初にしない方がよかった?」「平均余命で数えると来年の今頃はもういない?」「あのブログも終わっていた……」などと考えて、また恐怖は募るばかり。「これからがんの治療が続く限り、ずっとこの恐怖を抱えるのかな」と思うと、現実から逃げだしたくなる日もありました。

 そんな検索ばかりしていたある日、某Q&Aサイトに私と同じような境遇の方の質問を見つけたのです。そこには「妻が乳がんになりました。彼女が死ぬのかと思うと毎日怖くてつらいです」といった内容が書いてあり、思わず共感してしまい回答へとスクロール。すると、目からうろこな言葉を発見したのです。

◆夫との今の時間を大切に

 ある1人の方の回答に「病気の奥様は今まだ生きていますし、必死で闘病をされています。まだ亡くなってもいないのに、あなたが絶望していたらその奥様はこの先どんな気持ちで治療を続ければいいのでしょうか」とありました。

 これを見て、私は雷に打たれたような衝撃を受けました。たしかに、まだ夫は生きています。それなのに私が勝手に絶望していたら、治療する夫は希望を持てずいたたまれなくなってしまうはず。一番つらいのは夫なのに……。

 こんな当たり前のことにも気づけなかった自分に失望しつつも、なんだか少しモヤが晴れたような気がしました。そう、まだ夫は現実に生きているのです!

 いずれにしても、人はいつか必ず死にます。病気でも病気でなくても、死に別れるときはいつか訪れます。明日事故に遭うかもしれないし、なんなら自分だっていつどうなるかなど何の保障もありません。だとしたら、毎日結論の出ない答え探しやネガティブな情報を拾い集めるよりも、今生きている夫との時間をより深く大切に過ごすことを考える方がよほど有意義だ、と思うようになったのです。

◆やりたかったことにチャレンジ!

 それからはすっかり検索をする気にならなくなり、必要以上にスマホを手にすることもやめました。そもそも、がんという病気は人によって異なり、同じがんだとしてもできる位置やその質によって、どの治療がいいのかなど素人にはとてもわかりません。ネットに落ちている一方通行の知識では何の意味もなく、ただ心を揺さぶるだけなのです。治療を進めるうちにそんなことにも気づき、より一層「検索をやめよう」といった考えに至りました。

 あとは残された時間に2人でやりたかったことをどんどんチャレンジしていくことに考えをシフト。元気になったタイミングで旅行に行ったり、会いたい人に会いに行ったりと、できるだけ悔いのないよう過ごしました。すると夫婦でのくだらない諍(いさか)いも減り、闘病中のつらい出来事も前向きに考えられるようになりました。残された時間が少ししかないかもしれないのに、イライラしたり悲しくなったりする時間なんてもったいない! 夫もそう思ったようで、お互いが穏やかになりました。

 とはいえ、メンタルは自分で切り替えることができても、現実的な部分は頭を抱えることもしばしば……。がんの闘病は、本当にお金がかかるのです。次回は、闘病中のお金の問題についてつづっていきたいと思います。

―シリーズ「私と夫の1063日」―

<文/関由佳>

【関由佳】

筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。

芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。

夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。

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