夫のスマホをチェック、割りばしの大量持ち帰りは違法?菊間千乃弁護士がズバリ

女子SPA! / 2020年10月16日 15時46分

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菊間千乃弁護士

 最近、どうも夫や恋人の言動があやしい。こっそりスマホを覗いてみよう…なんて経験、ありませんか?

 でも、実はそれ、れっきとした法律違反。プライバシー侵害で損害賠償なんて事態にもなりかねません。「これくらいいよね?」が、大きな問題に発展しかねないのです。

 そこで、私たちがいま知っておくべきコンプライアンスについて、元フジテレビアナウンサーで、今は弁護士として活躍中の菊間千乃さんに解説してもらいましょう。菊間さんの近著『いまはそれアウトです! 社会人のための身近なコンプライアンス入門』によると、ついやりがちな行為が、実は違法で逮捕された例もあったりして驚きます。

 もちろん、あなたが被害者になったときのためにも法律の知識は必須です。(以下、菊間弁護士による解説)

◆夫や恋人のスマホチェック。浮気の証拠が見つかったとしても?

 最近コンプライアンスという言葉をビジネスシーンでよく耳にしませんか。

 要は「法律を守ろう」ということなのですが、仕事だけでなく、日常の様々な場面にも、実は法律が関わっていることってたくさんあるんです。とくにSNSが普及した現代は、このくらい平気でしょ、と思ってした行動が、あっという間に拡散され、大騒ぎになるケースも。

 だからこそ、自分の常識と社会のルールとの齟齬を確認してみることは、とても大切だと思います。

 たとえば、最初に例として挙げた「スマホの覗き見」。

 もしあなたが疑った通りに、浮気の証拠が見つかったとしたら?

 その場合でも、責めを負うのはあなたです。

 スマホに保存されているメールや写真などは、持ち主のプライバシー情報に該当します。それを許可無く覗くことは、プライバシー侵害に該当し、万が一にも相手があなたを訴えれば、不法行為に基づく損害賠償請求が認められる可能性があります。

 また、その際にIDやパスワードを勝手に入力してログインすれば、「不正アクセス行為」(不正アクセス禁止法2条4項)として、罪に問われることも。この場合は3年以下の懲役、または100万円以下の罰金ですから、決して軽くはありません。

 もちろん、あなたが無断でスマホを覗かれた場合は、相手が同じ罪に問われる可能性があります。そのようなことにならないよう、普段からパートナーと信頼できる関係性を築くことが大切ですね。

◆その投稿、プライバシー権や肖像権の侵害では? 家族でもアウトです!

 今やSNSは生活の一部。撮影した写真や身の回りに起きた出来事を、手軽に大勢の人と共有できるだけに、注意が必要です。

 もっとも最近は、友人であってもむやみにプライベート情報を載せる人は少ないかもしれません。では、家族の場合はいかがでしょうか?

 たとえば、子どもが初めて彼氏や彼女を家に連れてきた話や、成績が悪かった話などをSNSに投稿することは、子どものプライバシー権の侵害にあたる可能性がありますよ。

 プライバシー権は、いまだ公開されていない私生活上の事実で、通常、公開してほしくないと考えるであろう事実が公表された場合に侵害されたと考えられます。

◆著作権の侵害が認められる可能性も

 もしその投稿に本人の写真を添付した場合は肖像権の侵害、あるいは子どもの作文が面白いなどとして勝手に投稿すれば、著作権の侵害が認められる可能性だってあります。

 仮にあなたのご両親やご兄弟が、あなたのプライベートな情報や写真を勝手に投稿していたら、内容次第ではいやな気持ちになることもあるでしょう。

 家族間であっても、無断で情報を公開されたくないという権利は認められますので、事前に了解は取りましょうね。

◆無料の大量お持ち帰りは窃盗罪に

 7月から、レジ袋が有料化されましたね。その弊害として、スーパーなどで無料で提供されている、小分け用のビニール袋の減りが早くなったという記事を目にしました。

 割り箸や、プラスチックのスプーンやフォーク、お手拭きなどなど、無料でお持ち帰りできる他のものも同じかもしれません。

「無料なんだから、いくら持って帰ってもいいのでは」と思いますか?

 無料といっても限度があります。「一人どれくらい」との掲示がなくても、お店は常識的な数量を想定していますから、無料と言えども、お店が想定した以上に、大量に持ち帰る行為は、窃盗罪に該当する可能性があります(刑法235条)。

 過去には、茨城県内のスーパーで、店内に設置された無料の「製氷機」から氷14キロを持ち帰ろうとした男性が現行犯逮捕されたことがありました。

 このケースは、男性がそれまでに複数回注意を受け、「大量の持ち帰り禁止」「備え付けの袋2つ分まで」という注意書きがあったにもかかわらず、注意書きを無視した行動を取ったというものなので、実際には、大量に持ち帰ったからといって、すぐに通報や逮捕されることはないでしょう。

 でも、だからこそ、節度ある態度が求められます。必要な量だけ持ち帰るようにしましょうね。

(以上、菊間弁護士による解説)

◆法律の知識を人への思いやりに

 ここで紹介した3つの例だけでなく、パワハラ、セクハラ、SNSの誹謗中傷など、「これくらいいいだろう」「バレなければいい」と思ってやっていることが、あなたや家族の人生を狂わせてしまうことだってあります。

 とくにハラスメント等で被害者になりやすい女性にとっては、法律の知識は欠かせません。実際に裁判所や会社に訴えるような事態にはならずとも、いざとなれば、自分の権利を回復できる手段を知っておくだけで、あなたの切り札やお守りになります。法律は、知っておいて損はありません。

 菊間弁護士は、前出の著書『いまはそれアウトです! 社会人のための身近なコンプライアンス入門』の中で、このように書いています。

「私がアナウンサーになったのは、『その人が動き出すきっかけになるような番組を作りたい』という想いからでした。同じ事実でも、見せ方・伝え方によって、受け手の心に響かせることができるはず。その気づきが、その人が行動するきっかけになってくれたらうれしいと思っていました。

その想いは、弁護士になったいまも変わりません。

 特にこのコロナ禍においては、自分の頭で考え、行動することが大切だなと思うことがたくさんありました。(中略)みんなで知恵を出しあって、自立的な共存を目指していくべきなのではないかなと思います」

 知った法律の知識を人への思いやりに変え、自分自身の行動に反映させていくといいかもしれませんね。

【菊間千乃(きくまゆきの)】

弁護士法人松尾綜合法律事務所 弁護士。1995年、フジテレビ入社。アナウンサーとしてバラエティーや情報・スポーツなど数多くの番組を担当。2005年、大宮法科大学院大学(夜間主)入学。07年、フジテレビ退社後に弁護士となり、紛争解決、一般企業法務、コーポレートガバナンスなどの分野を中心に幅広く手がけている。近著は『いまはそれアウトです! 社会人のための身近なコンプライアンス入門』 Instagram:@kikuma_yukino

<文/女子SPA!編集部>

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