日本のワンオペ育児に、米国人は驚愕。「やらない勇気」を持って

女子SPA! / 2021年1月18日 8時46分

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※画像はイメージです(以下、同じ)

「いたしません」「任せました」を言えるママの潔さが「強い家族」を作る――。

『子育て後に「何もない私」にならない30のルール』の著者で、ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチのボーク重子さんが、家事や育児、仕事に追われる女性に“自分らしく生きていくためのヒント”を紹介します。

 ボーク重子さんは米国ワシントンDC在住で、娘が2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝したことでも知られています(以下、ボーク重子さんの寄稿)。

◆日本人女性の「ワンオペ育児」は米国でも物議

 2019年、「日本の女性は家事や育児をほとんど一人でこなしている」、いわゆる「ワンオペ育児」の状況を紹介する記事がニューヨーク・タイムズに掲載され、話題になったことがあります。

 夫と子どもの食事を作り、掃除も洗濯も全部やって、保育園から言われた手作りの人形を徹夜で作り、家族のそれぞれが出かける準備を手伝い、毎日の保育園のお迎えにも行く。そこで使われていた写真は、テレビを見ている子どもに母親が靴下を履かせているものや、芸術作品のようなお弁当、妻が子どもの朝ご飯の世話をしている間に夫はただ食べている、というものでした。

 何でもかんでも女性が一人でやっている姿にアメリカ人は驚嘆して「ホントにこんな状況なのか?」「これでは家庭内過労死する」「こんな異常な状況で、女性は何も言わないのか!」など、あっと言う間に600件を超えるコメントがつくほど大きな反響がありました。

◆育児参加する男性は増えたけど、まだ不十分

 多くの女性たちに話を聞いていると、「夫が手伝ってくれる」という家庭ももちろんたくさんあります。特に若い世代では家事や育児に参加する夫、男性も増えています。でも、私はまだまだ不十分だと思います。ママたちは本当にやることがありすぎて大変なのです。何とかしなければママは家族のお世話で疲れ切り、自分の人生を生きる時間とエネルギーを失ってしまう。

 そこで、二つの提案をしたいと思います。一つは当たり前ですが、夫の家事育児参加を増やすこと。もう一つは、ママたちが「やらない勇気」と「任せる勇気」を発揮することです。「いい妻・いい母」の呪縛に加えて、日本の女性はとても有能だからやろうと思えば全部でてしまいます。できることを「やらない」「任せる」のは勇気がいります。

 でも「いたしません!」「任せました!」って言っていいんです。そうすることで、ある大きなことが生まれるから。それを知ったら「やらない勇気」も「任せる勇気」も自然と出てくるでしょう。

◆「やらない勇気」と「任せる勇気」

「やらない勇気」を持つことで得られるのは、横つながりの強いチームです。夫と妻と子どもが家族というチームのメンバーであることは言うまでもありません。誰か一人がすべてをこなし、自分の人生を犠牲にするようなチームは弱いです。

 それは、一点が崩れるとその時点で成立しなくなる縦のつながりです。実はママがすべてやってしまう(やらされる)ことで、「やってもらって当たり前」「やるのが当たり前」「ママがいないとできない」という、縦つながりのチームができてしまいます。

 一方「やること」を分け合って助け合うチームには横のつながりが生まれます。横つながりのチームには、共感力・協働力・社会性・責任感・主体性、そして自己肯定感などの非認知能力を育む機会が溢れています。

 横つながりの強いチームを作る鍵がママにあるとしたら、「やらない勇気」も悪くないと思えませんか? 「やらない勇気」に加えてもう一つ大切なのは「任せる勇気」です。自分なら「もっとうまくやれる」「もっと早くやれる」「こういうふうにやって」というコントロールを外しましょう。

◆子どもができることは、自分でやらせる

 ママが全部やれば完璧で早いでしょう。みんなでやると下手だったり時間かかったり、思うような結果にならないこともあるでしょう。でもやっているうちに上手になりますし、早くなります。何より忘れなくなります。

 ここは強いチームを作るために「やらない勇気」に加えて「任せる勇気」を発揮するときです。たとえば、靴下くらい子どもが自分で履けばいいんです。年齢にもよりますが、できことは自分でやってもらう。

 子どもが自分で履いたら、たしかに下手くそだったり、左右が反対だったりすることもあるでしょう。でも、それでいいんです。自分の靴下は自分で履く。それがチームとして家庭生活を成り立たせるための、子どもの仕事、役割です。そして自分でできたことに達成感を感じます。

◆任せたことは、やり直さない

 そこで大事なのは「やり直さないこと」。信じて任せたのだから結果に文句は言わない。母親としてみれば、自分で履いてくれたらやっぱり助かるんです。「○○ちゃん、あがとうね」と言って、自分で履いたことを褒めて、ありがとうを言うべきところです。

 それに、小さな手で一生懸命靴下を履いてる姿を見るだけで誇らしくなってきますよね。そんなママの感情を子どもはちゃんと感じているので、そこからまた自己肯定感が上がるはずです。本当にいいことづくめ!

 私の娘は小さい頃からバレエを習っていたのですが、私が忙しくて、髪のセットができないときも多く、自分でやってもらっていました。他の子はママにやってもらっていたので、きちっとしたお団子ヘアーになっているんですが、ウチの娘は自分でやっているので、どうしたって下手なんです。

 でも、そんなふうに自分でやって、家庭生活に協力してくれているのは、ものすごくありがたいことですし、何度も何度も自分でやっていれば、どんどん上達していきます。靴下を履くのだって、洋服のボタンを留めるのだって、バレエの髪型をセットするのだって、年齢的に可能なことであればやっているうちにうまくなります。

 そうやって子どももチームの一員として、家庭の運営に協力してもらいましょう。やったことを褒めたり、「ありがとうね」とお礼を言ったりすれば、子どもだって達成感を感じます。そして子どもの自己肯定感も確実にアップします。何より大事なのは、役割を果たしてもらうこと。そして、やり直さないことです。

◆「ウチはこういうやり方なの!」

 夫に対してもそれは同じで、食事の当番のとき、コンビニ弁当で済ましてしまうことも、任せたのだから絶対に文句を言わない。実際、それで食事の用意をしなくて済めば、それはそれで助かるのです。夫が自分の役割を果たしてくれているのですから。「病気のとき、夫に育児を丸投げしたらそれなりにできてた」というママがいました。

 完全に任せられたら意外とできるのかもしれません。日本の女性は本当に優秀です。何でもハイレベルでこなせてしまいます。ですからチーワークで家族を運営していくことが遠回りに思えることもあるでしょう。

 そういうときは周りの子がどうとか、世間がどう思うかではなくて「自分なりのものさし」で「自分の正解」を見つけていくことが大切です。

 ウチはこうやってみんなで、チームで家庭生活を運営していくの。

 ウチの娘は、自分でやって、どんどん自立した子どもになっていくの。

 がんばって自分でやってくれる子のことを、私は精一杯褒めて、「ありがとうね」と伝えていくの。

 やっているうちに上手になるよ。それが私のやり方なの。

◆罪悪感を感じないで

 こうした一つ一つの瞬間でも「ママが髪の毛をセットしてあげられなくて、ごめんね」「自分が食事を準備しなかったばっかりに、コンビニ弁当になってしまって申し訳ない」「母親失格だ」と罪悪感を感じている人もたくさんいます。

 でも、そんな必要はありません。「ママ、できたよ!」と言うときの我が子の笑顔を思い出してください。時間がかかっても、苦労しても、下手でも、子どもは自分でできたときに大きな笑顔になりますよね。できた自分が誇らしいのです。任せられたことをやり遂げたわけですから。だから、あなたは横のつながりで最強のチームを作る素敵なママです。家族を信頼して任せることができる格好いいママです。

 目指すは「見た目完璧チーム」ではなく、強いチームです。その鍵を握るのが「やらない勇気」と「任せる勇気」を発揮するママです。「いたしません」も「任せた!」も言っているうちに自分も周りも慣れて、それが普通になるから大丈夫。大変なのは最初だけです。

 そうした「自分なりのものさし」をぜひとも持って、自分を受け入れ自信を持って日々の暮らしに向き合って欲しいと思います。

<文/ライフコーチ ボーク重子>

【ボーク重子】

Shigeko Bork BYBSコーチング代表。ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチ。ワシントンDC在住。娘スカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝。現在は日米での講演会に加え「ボーク重子の非認知能力を育む子育てコーチング」を主宰。

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