1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

「寂しいから」だけでペットを飼っていい? コロナで起きるペット問題

女子SPA! / 2021年4月9日 8時47分

写真

 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 新型コロナウイルスの流行により在宅時間や人と会えない時間が増え、寂しさからペットを欲しがる人が増えています。しかし同時に、安易に飼った結果、飼いきれなくなり飼育放棄をしてしまう飼い主もいると聞きます。

 今、ペット業界に何が起きているのか。今回はペットシッター会社「HONEY PETS」代表の北本友紀枝さんに話を聞きました。

◆コロナでペットブームと思いきや

 コロナ禍で増えたペット需要(※)。そのニーズに比例して、ペットショップは軒並み売上をあげ、価格も上昇傾向なのだとか。しかし、北本さんに言わせると、そもそもこの流れは新型コロナウイルスだけが理由ではないそうです。(※一般社団法人ペットフード協会 令和2年 全国犬猫飼育実態調査より)

「実のところ、1年程前からペットの飼育頭数は増える傾向にあります。1頭当たりの価格は、子犬(幼体)で10万円ほど値上がりしていて、もともと約30万だった販売価格が今は40万円程度で市場に出ています。

 ただ、このブームはコロナだけが要因ではありません。ペットブームはもともと数年単位で起きており、最初のスタートは2004年頃のチワワブームでした。ちょうどこの頃飼ったチワワが亡くなり、次はどうしようと考えた方が2017年頃から増えはじめ、犬より飼うのが楽な猫といった選択が取られているようです。

 猫は日本の住宅にマッチしていて、犬より飼いやすいです。2017年には犬の飼育頭数を猫が上回って、今は猫を飼う人の方が多いんです」(北本さん、以下同)

◆コロナで飼い始めたけど「飼いきれない」はまだ少数

 ニュースを見ていると、「コロナになってペットを飼う人が増え、その結果様々な問題が起きつつある」と思っていましたが、厳密にコロナだけが原因とは言えないようです。また、飼いきれない人も増えつつあるとはいえ、その数はまだ多くはないといいます。

「コロナ以降に飼い始めて、飼いきれなくなったケースは、まだ少数という印象です。コロナ禍でペットを飼い始めた人が『思っていたのと違った』などの理由から手放す事態が本格的に起きるのは、おそらく今年の後半以降ではないかと思います。

 というのも、ペット業界では犬猫が大人になったら飼えなくなったというケースがもともと問題としてあるんです。コロナで飼い始めた犬猫が大人になるのは、早くて今年の後半から来年です。それと比例して、飼いきれないと訴える方も増えると予想します。実際その動きを予想し、シェルターを増設し始めているボランティア団体もいます」

 さらに、コロナ当初は在宅時間が増えていたものの、日常生活にだんだんと戻っていった結果、飼いきれなくなるケースは今後増えると予想されます。

 すでに飼い始めた人は、生活リズムが変わっても自分とペットが幸せな生活を送れる努力をすること。これから飼う人は、今後大きな生活リズムの変化があっても、変わらずペットとの日常を楽しめるかどうかを自分に聞いてみることが大切です。

◆「寂しいから」だけで飼っていい?

 ペットを飼う動機として「寂しいから」といった声はよく耳にします。しかし同時に「安易に飼うのは良くない」といった意見もあります。飼ったからには生涯面倒を見続けることが大事ですが、飼うまでの準備として、気持ちの面や金銭面などどう考えるべきかを教えてもらいました。

「動物を飼う動機については、正直飼いきれるなら何でもいいんです。寂しいからでも、衝動的な買い物でも問題はありません。大事なのはその後のフォローをきちんと出来るかどうかです。1番はお金、続いて飼育スペースと時間の確保です。

 まずお金ですが、ペット保険大手の『アニコム』によると、愛玩動物への年間支出額は、2019年度の支出額で犬306,801円、猫は158,680円(1頭あたり)となっています。病気や怪我予防の治療費と、ご飯・おやつ代がメインです。月に換算すると、犬で約25,000円、猫で13,000円です。この金額が用意できるのか、きちんとエビデンスのある数字を知って、ご自身の経済状況を検討することが大切です」

◆ペットに使うお金を準備できるか?

 また、最近ではドッグランやドッグスパなど、様々な犬のレジャー施設が増えています。日本の住宅は犬にとってはストレスになることが多く、施設を利用してストレスを発散させてあげるためだそうです。しかし、当然そういった快適さを求めると、お金も時間もかかります。

 ペットを飼う際、一緒にこんな生活をおくりたい、こんなところへ行きたいと考える方も多いでしょう。その生活を自分が本当に叶えてあげられるのか、考える必要がありそうです。

◆お金だけじゃない!ペットを飼う上で必要な時間と家の広さ

「ペットを飼う上でお金は絶対に考えて欲しいですが、意外と知られていないのが、飼育スペースの問題です。動物行動学では、犬1頭と人間1人が衣食住を共にしてストレスを感じない広さは8畳と言われています。つまり、一人暮らしで犬を飼いたいのであれば、8畳以上で暮らすことが求められます。また多頭飼育であれば、1頭当たりプラス2畳。一人暮らしで2頭飼いなら10畳、3頭なら12畳といったイメージです。

 この数字は動物行動学では当たり前の情報です。しかし日本は国土が狭く広い物件があまりない関係上、ペット業界はこの情報をあまり公にしていません。ただ狭い住宅では人も動物もストレスになるので、新たに飼う方は意識する必要があります。

 また時間についても犬猫でそれぞれ異なります。犬だと朝晩の散歩とグルーミングで、約2時間の捻出が理想です。猫の場合は毎日30分ほどグルーミングやスキンシップの時間を取ってほしいです。ただ、猫の場合はテレビなど観ながらでも出来るので、ハードルは低いかもしれません」

◆万が一飼えなくなった場合を考える

 最後まで飼う心構えは大前提であり、正しい情報を元に自分が飼育可能かどうかを考える。「寂しいから」「かわいいから」と感情で動くことだからこそ、冷静に判断することが大事です。

「私個人の意見ですが、自分に万が一のことがあっても、ペットを路頭に迷わせない準備は何が出来るか、楽しい時ほど事前に知っておくべきだと思います。例えばある保険会社は、飼い主が亡くなった場合、次の飼い主を責任持って探してくれるプランがあります。

 また知人や親族に事前に声をかけておいたり、エンディングノートに記しておくのも良いかもしれません。飼い始めの段階では『飼えない』という想定は出来ないですが、限界まで自分が無理をして飼うよりも、ペットにとっての1番の幸せを適切に考え、行動できることが本当の優しさであり、重要なのではないでしょうか」

【取材協力】HONEY PETS/代表・北本友紀枝

動物福祉先進国のドイツで学んだ動物行動学・心理学を活かし、動物と動物を愛する人々の暮らしのサポートを目的にHoneyPetsを設立。ペットシッター、ペット介護士、グリーフケアアドバイザーとして活動する他、NPO法人日本ペットシッター協会にて養成講座の講師も務めている。

<取材・イラスト・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】

水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング