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ドーナツに南蛮丼…「ヘルシーなジャンクフード」って?専門店CEOに聞く

女子SPA! / 2021年4月15日 8時45分

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このジャンクな見た目でヘルシーとは…

 コロナ禍での苦境が続く飲食業界。その中でも明るい兆しを放つカフェがあります。その名は、2021年4月15日に渋谷ロフトにオープンした「2foods(トゥーフーズ)」。“ヘルシージャンクフード”をコンセプトにしたカフェレストランです。

 世界的に健康志向が高まる中で、確かにヘルシーフード市場は急成長しています。ところが、華々しく登場しても数年で姿を消すものが多く、「健康メシはやっぱりマズい」と感じてしまう商品・サービスは少なくありません。

 そこで今回は、ヘルシーとジャンクの融合とは? どんなメニューを提供するのか? その思いとは? 運営を行う株式会社TWO・東義和CEOと、商品開発の統括責任者・及川圭司さんに話を聞きました。

◆代替肉、代用卵メニューのお味はいかに…

――お店のイチオシメニューって何ですか?

東:あえて選ぶとすれば「まるでたまごなドーナツサンド」(518円。テイクアウト税込価格、以下同じ)です。サンドイッチのようなパンではなく、ドーナツで挟むことで2foodsを象徴するようなメニューとして考案しました。ドーナツの新たな楽しみ方を提案することで、ドーナツの市民権を上げたいとも考えています。メニューはすべて私自身が心から納得したもののみを厳選しています。

及川:“まるでたまご”の名の通り、卵を一切使用していないので、卵ならではのおいしさをどうにか工夫して作ろうと苦労しました。材料にはかぼちゃや豆腐を使用しています。また、たまご特有の独特の香りに近づけるため、特殊なスパイスを配合しています。ビジュアル的には見た目のおいしさだけでなく、オシャレさという視点も大切にしています。

◆ドーナツで一番大事にしたのは、“おいしさ”

――(筆者も試食してみて)確かに卵サンドの味がちゃんとします。でもこのメニューには小麦が使われていますよね? 卵は捨てて、小麦は残した理由はありますか?

東:一番重要視していることは「おいしさ」です。おいしさを追求するなかで、もしヘルシー要素が満点ではなくなる場合は、時としておいしさを優先します。ヘルシードーナツを作ろうとして、小麦を使わないグルテンフリードーナツも施策しましたが、正直なところ納得のいくレベルにはなりませんでした。グルテンフリーの観点も理解していますが、食の楽しみやおいしさのバランスを考慮した結果、小麦は一部使用することに決めました。卵はプラントベースドフードの概念に反するので使用していません。

――ソイチキン南蛮丼(950円)に感激しました。大豆ミートは正直、美味しくないイメージがありましたが、とても美味しくて驚きました。

東:そうですね。フェイクミートのイメージを払拭してもらえたらと願っています。

――サステナビリティや健康面での観点で注目されている「ミートフリー(肉を食べない習慣のこと)」ではなく、肉への尊重や憧れが伴う「フェイクミート」という概念の方を重視しているということですね?

東:はい、そうです。やはり肉は多くの人が喜ぶ食材です。今後もホンモノの肉を我慢するという感情を抱かないくらいおいしいフェイクミートを追求していきたいですね。エンターテイメント性を大切に、肉への挑戦、卵への挑戦は続けていきたいです。

◆ヘルシーとジャンクって両立するの?

――東CEOが考える「ヘルシー」の概念とは?

東:原材料にこだわるということが、一番わかりやすいかもしれません。栄養的に健康に寄与すること、安全で品質の良いものを使うということです。そのために、プラントベースドフード(植物由来の原材料を使用した食品)を使用することと、ヴィーガンメニューを提供することから始めました。私としては、真のヘルシーとは「人が“能動的に”楽しみながら健康的な食生活を送れること」だと思うので、それを実現するためには、やはり「ジャンク」の要素が必要だと感じます。実は私自身、凄くグルメなわけでもなく、日頃からファーストフードやコンビニも愛用しています。「ジャンク」の持つ魅力をヘルシーフードに詰め込んだときに、非常に大きな価値が生まれるのではと考えました。

――もう一方の「ジャンク」の概念とは?

東:ハンバーガーから想起するような、五感に強く訴える魅力を持った食べ物です。見ただけで食欲をそそるようなビジュアル、スパイシーな香り、かぶりついた時の肉汁があふれる体験は、高級料理とは別次元の魅力がありますよね。また、ロケーション(立地)という点で、手軽に手に入るという側面も併せ持つ必要があります。リーズナブルな価格であることもジャンクが持つ条件だと考えています。

◆高くないこともジャンクの条件

――健康的なカレーや丼ものが950円。スイーツ類はワンコインの価格。たしかに、従来のヘルシーフードに比べるとやや安い感じがします。値付けには戦略がありますか?

東:はい、リーズナブルであることを軽視すると、結局は限られたお客様に提供するものになってしまいます。フードもスイーツも、ドリンク付きのセットメニューで700~1000円前後で設定しています。この価格帯で味も気に入ってもらいながら、週に2~3回通ってもらえるようなお店を目指していきたいです。

◆コロナ禍の今、なぜ飲食なのか?

――確かにヘルシーフード市場は成長していますが、コロナ禍の今、なぜあえて新参者として飲食業界にチャレンジするのでしょうか?

東:いまの飲食業界は苦境ではなくむしろチャンスだと考えています。市場が大きく、劇的なイノベーションが起きていないからです。私は24歳でPR会社を起業したのですが、その頃から「その時代ごとの“社会的に大きな意義があること”をしたい」という思いがあります。TWOの事業に入浴剤「BARTH」がありますが、これまで湯船に入らずシャワーのみで済ませていたような方に、入浴の価値転換を図るコミュニケーションをしてきました。同じく価値転換を図るという点と、さらに大きな市場という点で、人々の健康に深くフォーカスできるフード事業にたどり着きました。

――一等地に店舗を持つ怖さはないのでしょうか?

東:お店をやるという感覚ではなく、新しい“食ブランド”を提案していきたいと考えています。例えば、グランドオープンに先駆けて試験的に先行オープンしているアークヒルズ店では2席のみでテイクアウト重視の設計をしていますし、イートインに依存するつもりはありません。Uber Eatsなどのデリバリーとの連携、ECの強化なども整備しつつ、お客様に身近に手軽に感じてもらう施策もおこないます。店舗運営ベースでサービスを考えないことで、コロナ禍でも強いブランドは創れると考えています。

◆今後は全国・海外展開も視野に

――今後の目標は?

東:一言で言えば、“プラントベースドフード業界のスタバ”を目指したい。スターバックスはグローバルを代表するコーヒーショップブランドとして、サステナビリティを重視する点でも、そして何よりカルチャーを持っている素晴らしい存在です。さらに、プラントベースドフード市場の中で“尖った存在”として成長を続けていきながら、グローバル規模で受け入れてもらえるようになっていきたいです。

◆◆◆◆◆◆◆◆

 東CEOと話して感じたのは、まだまだ伸びしろがありそうだということ。インタビューをする前に私が期待していた「ジャンク」は、もっとガツンと不健康そうなメニューだったため、実際にメニューを見て「あれ、ジャンク度足りなくない?」と感じたのは正直なところです。

 ホンモノ肉への挑戦はもちろんのこと、都合が良すぎるジャンクフードの登場を心から期待しています!

<文・撮影/スギアカツキ>

【スギアカツキ】

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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