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死にたいとすら思った…突然、顔が動かなくなる「顔面神経まひ」の恐ろしさ

女子SPA! / 2021年7月11日 15時47分

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発症から1週間後のようす。この頃が一番つらかった

 ある日、突然、顔が動かなくなる「顔面神経麻痺」は、大きなショックと苦痛を与える病気です。筆者は2021年3月、この病の怖さを痛感しました。

 そこで今回は、筆者の経験談を紹介します。早期発見・早期治療に役立ててもらえればと思います。あくまでもいち個人の体験談なので、少しでも「おかしいな」と感じたら、なるべく早く医師の診察を受け、主治医の指示に従いましょう。

◆「顔面神経麻痺」とはどんな病気?

 顔面神経麻痺は、顔の半分や一部が思うように動かせなくなる病気で、中枢性顔面神経まひと末梢性顔面神経まひの2種類があります。

 前者は脳梗塞などで脳そのものが障害されておこるもので、後者は外傷などで顔面神経が圧迫されて情報の伝達が障害されたり、顔面神経がウイルスに感染することによって神経が阻害されることでおこります。

 顔面神経麻痺のうちの大部分を占めるのが末梢性のもので、主に体に潜んだヘルペスウイルスの再活性化が原因と言われています。ストレスや不摂生な生活も関係しているとの説もあり、まだまだ謎が多いようです。

◆発症前に感じた顔の違和感

 異変が現れたのは、3月中旬。薄着で外出した翌日、右アゴの下に強い痛みが。同時に舌の右側先端が一部、削れたように赤くなっており、痛みもあることに気づきました。

 痛みは、次の日になっても消えず……。リンパ節が腫れているのではないかと考え、アゴ下に湿布を張り就寝。2日後にアゴ下の痛みがなくなると、舌の痛みが増し、歯磨きや食事が苦痛になりました。

 3日後、ようやく舌の痛みも消えたものの、その翌日、夜に突然、右の下まぶたが痙攣。朝起きると痙攣は治っていましたが、舌の右側に火傷した後のような違和感が。その日の就寝時には下唇の中央が痙攣していました。

◆発症。口に水が含めずパニックに!

 病気が発症したのは、翌3月24日。この日は仕事中にやたらと目が乾き、何度も点眼。相変わらず、舌の違和感もありました。

 日中、お茶を口に含みづらく感じたことが気になり、なんとなく夜ご飯の時に頬を膨らませてみることに。すると右頬が膨らまず、お茶を口に含むとこぼれてしまいました。

 そこで、急いでかかりつけ総合病院の救急外来へ。まったくだるさはないのに体温は37.2度ありました。診察室では手を動かし、脳に異常がないかチェック。きちんと動かすことができたので、医師からは「舌にできていた湿疹の後遺症。何かあれば総合内科へ」と言われました。

 しかし、帰宅後に歯磨きをしていると、より口に水が含めなくなっており、愕然としました。翌日、もう一度病院へ行こうと決意しました。

◆神経内科で「顔面神経麻痺」と診断

 翌日、総合内科に行くと神経内科と口腔外科へかかることに。この日も体温は37.2度と高め。まぶたが強く閉じにくい、口角が上げにくいなどの症状も現れてきました。

 MRIを撮ると、やはり脳に異常はなく、舌に腫瘍なども見られなかったため、顔面神経麻痺だと診断されました。ネットにはよく、抗ウイルス剤とステロイドを併用しながらの治療が効果的だと記されていますが、筆者は神経内科医から「舌の湿疹が帯状疱疹だったのならば、ステロイドの服用で症状が悪化する可能性がある」と言われ、抗ウイルス剤とビタミン剤(B12)を服用し、1週間後に来院することに。

 しかし、この1週間が地獄。発症して間もない頃はまばたきが若干しづらく、シワを寄せることはできていましたが、どんどん右の顔が固まっていき、笑ったり話したりすると顔が左に引っ張られるようになりました。

 小さく切らないと物が食べられなかったり、唇の裏側に入り込んだお米がとれなかったりともどかしいことが多くて、泣きながら食事をする日々。

 ネットで「顔を温めるのがいい」と目にした際には、少しでも病気の進行を抑えたいと思い、ネックウォーマーを鼻までかぶる、蒸しタオルを顔に当てるなどしていましたが、顔は日に日にこわばっていき、心はボロボロに。

 明日、自分の顔はどこまで歪んでいるのかと考えると眠るのが怖くなり、もし元通りにならなかったら死にたいとすら思っていました。

◆耳鼻科に行き、ステロイド治療を開始

 その後も、症状はどんどん悪化。瞬きの早さに左右差が生じ、コンタクトが着けられなくなり、ついには就寝時には「メパッチ」という角膜保護用テープで無理やり目を閉じなければならないほどに。

 1週間後の通院時、現状を神経内科で話すと、耳鼻科で診てもらえることに。実は顔面神経麻痺は耳鼻科の専門領域だったのです。

 耳鼻科医いわく、顔面神経麻痺は治療を開始しても1週間程度は症状が悪化し、その後ゆっくりと神経が回復していくそう。大きな音を聞いたときに耳を守るアブミ骨筋神経も麻痺してしまうため、聴覚過敏のような症状が現れることもあるのだと教えてもらいました。

 筆者の場合は、まさにこの時がピーク。顔の動きを診断する柳原法では40点中14点でしたが、聴力検査でアブミ骨筋神経の動きを調べてもらうと、少しだけ動いていることが分かり、回復してきているのかもしれないと言われました。

 この日から9日間、ステロイド剤を飲むことに。抗ウイルス剤はなくなり、他には血管拡張剤、胃薬、ビタミン剤(B12)が処方されました。筆者はネットで、顔面神経麻痺の治療はステロイド剤の早期投与が大切だと目にしていたので、担当医に発症後すぐに服用できなかった不安を伝えると、「抗ウイルス剤を早期に飲むほうが大事」と言ってもらえ、安堵しました。

 なお、顔を温めるのは回復が早まる可能性があるため良いことだと言われましたが、「マッサージは神経が回復してきたときに変なくっつき方をしてしまう恐れがあるので禁止」とのこと。よく食べ、よく眠り、ストレスを感じにくい生活を送るようにと言われました。

◆ステロイド剤を飲み始めてから現れた変化

 ステロイド剤を飲み始めると、心なしか顔のこわばりが少し解消されたような気がしました。

 しかし、服薬後の眠気に悩まされたり、食欲が止まらなかったりと副作用のような症状が。左側も麻痺したらどうしよう……という不安にとりつかれ、精神的にも苦しい日々でした。

 この時期は聴覚過敏がひどく、玄関のカギを閉める音すら苦痛だったのでノイズキャンセリング機能のあるイヤホンが大活躍。相変わらず、食事のときや笑うときなどには顔が左に引っ張られていましたが、ステロイド剤を飲み始めて3日ほど経つと、右の額に数本シワが寄せられるようになりました。

 そして1週間後、麻痺側の神経がどれだけ残っているのかを調べ、予後が分かる「誘発筋電図検査(ENoG)」を受けることに。顔に電気を流すこの検査は、輪ゴムで弾かれているかのような痛みがありました。

 担当医によれば、この検査で麻痺側の値が50%以下だと予後が厳しいそうですが、筆者の場合は口元が63%、目元が80%という結果。医師から1か月以内に完治するのではないかと言ってもらえ、病気になってから初めて希望が持てました。

◆発症から3週間後、コンタクトを着けられるように

 検査後、精神面はかなり楽に。目元が何度かピクピクと痙攣し始めた後、瞬きの速度がそろい始めてきました。

 久しぶりにコンタクトを着けられた1週間後の通院時、教えてもらったのは病的共同運動の防ぎ方。これは、回復期に神経の回路が誤って繋がることで現れる後遺症。目や口が連動して動くのを避けるため、自宅では鏡を見ながら口だけ、目だけを動かすようリハビリしました。

 目元に比べ、口元は治りが遅く、実は今でも疲れたときなどには上唇が痙攣したり、動きが悪くなったりします。しかし、担当医には発症から2か月ほど経った5月下旬に「ほぼ完治」と言ってもらえ、普通の日常生活を送れるようになりました。

◆心の支えになってくれた愛猫たち

 この病気を患い、筆者は普段当たり前だと思っていることの尊さを痛感。自力で目が閉じられることや普通に笑えることは、とても幸せなことなのだと実感しました。それと共に闘病中、自身が周囲の視線に苦しんだからこそ、より多くの人がこの病気への理解を深め、頑張って闘っている人たちに優しい眼差しが向けらえる社会になってほしいと強く思うようになりました。

 つらい日々の中、心の支えになってくれたのは崩れていく顔を気にせず、いつも通り寄り添ってくれた愛猫たちの存在。

 愛猫がふみふみマッサージをしてくれたときには、つい泣きそうになりました。

 顔というどうしても目に入る部位に症状が現れてしまう顔面神経麻痺は、心にも大きなダメージを与える病です。まだまだ謎が多い病気であるからこそ、頑張りすぎないよう自分にブレーキをかけたり、些細な異変ときちんと向き合ったりして、自分の顔を守ってみてください。

<文/古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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