『靴の日』に逮捕された2つの靴窃盗事件、上履き300足男 VS 長靴フェチ男

週刊女性PRIME / 2019年4月4日 5時0分

千葉県警松戸署で公開された光澤容疑者宅から押収された上履き(千葉県警提供)

 一体全体、犯行動機は何なのか? 何が犯人を犯行へと突き動かしているのか? シャーロック・ホームズでも金田一耕助でも首をかしげたくなる“春の珍事件”が同時期に2件、発覚した。

家の中に300足以上の上履き

 3月15日、幼稚園・保育園・小学校に侵入したとして建造物侵入及び窃盗の疑いで千葉県警松戸署に逮捕されたのは、同県市川市の無職・光澤昇聴容疑者(38)だ。

 金目のものに手をつけることはなく、ただひたすら盗んだのは、子どもたちがはいているあの「上履き」である。

 千葉県警の捜査関係者はこう話す。

「昨年12月17日から21日にかけ、鹿児島、山口、静岡の各県内の小学校に侵入し、被害品を窃取した。鹿児島の小学校の被害は上履き13足、山口の小学校の被害は8足、静岡の小学校の被害は8足でした」

 光澤容疑者が同容疑で逮捕されるのは、実は今回が4回目。最初の逮捕は今年1月7日で、千葉県松戸市の幼稚園から上履き6足を盗んだとして逮捕された。

 家宅捜索をした捜査員を驚かせたのは、家の中に保管されていた300足以上の大量の「上履き」だった。

「昨年11月2日の時点で、警察は事件のことは認知していました。まず昨年10月末、松戸市の幼稚園から被害届が提出され、防犯カメラの映像などを手がかりに捜査を続けていました。すると市川市でも同様の事件が発生しており、捜査線上に容疑者が浮上しました。

 押収された上履きには名前が書いてあり、押収品と被害者が結びついたものは逮捕につながりました。すると鹿児島県などからも被害届が出てきたので、他県での犯行も発覚しました」(前出・捜査関係者)

 2回目の逮捕は1月25日、市川市内の幼稚園と東京都内の幼稚園で上履き各3足ずつを盗んだ疑い。

 3回目の逮捕は2月14日、鹿児島県・山口県・大阪府・静岡県の小学校・幼稚園・保育園などで計63足を盗んだ疑い。

 一切ぶれることなく、狙いは「上履き」オンリー。コソ泥ならぬ「上履き泥」だ。しかもガソリン代をかけ、千葉からわざわざ鹿児島などへ車で遠征して、犯行現場に忍び込んでいる。そのワケは?

「家族名義の車で移動しながら、立ち寄った先で犯行に及んだとみられます。しかし、最初の逮捕から否認を続けているので、なぜ集めたかなど事件に関することは供述しておらず、わかっていません」

 と前出・捜査関係者も心底あきれ顔。約300足のうち、

「被害者が判明したのが約100足。残り約200足は不明です。男女の比率は女の子6割、男の子4割で、中学生以上とみられるサイズの上履きは見つかっていません」

 容疑者宅は、JR総武線市川駅から徒歩5分ほどの住宅地。両親と兄弟と暮らしていた。近隣の80代の女性は、

「どちらかといえば細身。ただ見かけるのはいつも夕方ごろや夜遅くにどこかへ出かけていくところでした」

 近所に容疑者と付き合いのある住民はほとんどおらず、その素顔はわかっていない。

「頻繁に宅配便が来ていました。そんなに届けてもらうものがあるのかって不思議でした」(前出・女性)

 インターネット上には使用ずみの上履きを売買する書き込みやネットオークションがあり、光澤容疑者が盗みのほかこうしたサイトを利用していたとしても不思議はない。「上履きがなくなって、いたずらされている、いじめられていると思って傷ついた子もいたのでは」(容疑者宅近くの主婦)という可能性もあるだけに、気味が悪い事件の動機が知りたいところだ。

働く男の長靴

 さて、もう1件の事件は、東京・足立区で発生した。

 警視庁竹の塚署は3月15日、足立区の自称会社員、神尾寛幸容疑者(53)を、建造物侵入及び窃盗などの疑いで緊急逮捕した。「上履き泥」の4度目の逮捕日と、奇妙なことに同じ日だ。

「容疑者は食品加工会社に侵入し、同社所有の長靴2足を盗んだものです」

 と警視庁の捜査関係者。実はこの日の犯行が初めてではなく、神尾容疑者は常習的に同社に忍び込んでいたという。

「昨年暮れくらいですかね、なくなり始めたのは。最初は従業員同士のいたずらか、業者さんが間違えてはいて帰ったのかなとも考えました」

 そう振り返るのは同社の社長だ。その後、2度3度と長靴がなくなることがあり、

「これはおかしいと思い、靴置き場に防犯カメラを設置しました。2月に長靴がなくなったとき、防犯カメラを見たら全然知らない男が映っていて“誰だこれ?”って。警察に相談していたので、巡回中の捜査員が犯人を捕まえてくれて、緊急逮捕になりました」

 逮捕の決め手になった犯行の一部始終は、防犯カメラに残されていた。そこには、

《3月15日朝4時13分に従業員が出社。その後、同18分に、青いマスクで顔面をすっぽり覆った神尾容疑者が、周囲を何度も見渡しながら、長靴の置いてある従業員玄関口に侵入。長靴をとっかえひっかえ手に取り、においをかぐようなそぶりで吟味し、2足の長靴を盗み出て行く─

 という犯行の全貌が鮮明に映っていた。

8回侵入し、計14足盗んだ

 冒頭の「上履き泥」同様、金目のものには一切手をつけず、ただ一途に狙ったのは長靴だけ。

「とにかくびっくりですよ。長靴を何に使うんだ、と。何がいいのか。最初は女性ものの長靴が盗まれたので、そういう趣味なのかな、と思いましたけど、供述では“働く男の長靴が好きだった”とか言ってるみたい」(前出・社長)

 昨年12月以降、神尾容疑者は同社に8回にわたり侵入し、計14足を盗んだ。

 逮捕前、神尾容疑者らしき不審人物を見かけた従業員がいた。

「早番の従業員が出勤前に工場の近くのコインパーキングで自転車にまたがっている中年男をたびたび目撃していました。その男が現れた後に盗難が起きていたので、“あいつなんじゃないか”って話していたんです」(同)

 突然、長靴がなくなったことは同社の業務にも響いた。

「一応ストックはありますがサイズが合わない場合もある。代替えの長靴が用意できず靴店が開くまで仕事ができなくて困っていた従業員もいます。長靴は私たちの仕事には欠かせないものなんです」(同)

 さらに人間関係にも影響が。

「長靴が盗まれた従業員は“嫌われているんじゃないか”と不安に思っていたそうです。いろいろ探しても出てこないし、職場の中でギスギスした雰囲気になったこともありました」

 と解決に安堵の表情を見せながらも、心配そうな表情で振り返る同社社長。

 14足の長靴は現在、証拠として警察に保管されている。

「神尾容疑者の自宅からはうちの長靴のほか、築地などで盗んだとみられる長靴や作業靴が出てきたみたい。うちの長靴の返却はまだですが、いりませんよ。何に使ったかわからないし返されても困る

 と、社長は本音を吐露する。

 冒頭の上履きも、それこそ容疑者が何に使っていたのかわからないため、返却されても困るのが本音だろう。

 靴フェチなのか、足のにおいフェチなのか。同時期に起きた、マニアックすぎる2件の窃盗事件。くしくも2人が逮捕された3月15日は日本靴連盟が定めた『靴の日』だった。模倣犯だけはごめんこうむりたいものだ。

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