「老老介護・スラム化・おひとりさま国家」、あなたの老後を直撃する未来予想図

週刊女性PRIME / 2019年4月26日 8時0分

※写真はイメージです

 日本人の平均寿命はどんどん延びて、 '17年には女性が87・26歳、男性は81・09歳(厚生労働省調べ)に。「人生100年時代の到来!」と喜びたいところだが、話はそう簡単ではない。話題のベストセラー『未来の年表』の著者でジャーナリストの河合雅司さんに、日本の未来予想図を女性目線で描いてもらった。

介護問題に多くの人が直面する

日本は激変期に入っています。原因は少子高齢化。働き手であり、社会保障の担い手である現役世代の割合が減ることで、経済はもちろん、地域社会も家庭の中も、これまでのやり方が通用しなくなります。

 今後、日本に起きる変化を具体的にあげていくと、まず3年後の2022年には団塊の世代が75歳を越える。このころには、その子ども世代である団塊ジュニアも、50代を迎えるわけです」

 人口の多い世代が一斉に介護の問題に直面し始めているのだ。

「晩婚化の影響で、団塊ジュニアをはじめとする子ども世代は、40代から介護が始まる人や、育児と介護のWケアを余儀なくされている人も少なくありません」

 介護の担い手不足を介護保険で補えると考えてはいけない。社会全体で介護を、という理念で始まった介護保険制度だが、高齢者が増えたことで介護保険の財政はパンク状態。

 そのため、国は徐々に家族で介護するような政策に転換しつつある。

「働きながら介護をする人がその両立ができず仕事を辞めざるをえない介護離職は、すでに大きな社会問題になっていて、その数は年間10万人におよびます。40代以上の人は、親が要介護状態になったらどうするのか。公的な介護サービスは使えたとしても、それ以外の費用はどうするかなど、親が元気なうちからコミュニケーションをとっておくことが大切です

 日本経済全体でみても、高齢化の影響は大きい。

「消費の盛んな現役世代が減ることで、日本の国内マーケットが縮み、今までのような経済成長が見込めなくなります。また、消費者が高齢化すれば、好みが変わるし、消費量も変わります。ニーズが多様化することで、大量生産・大量消費という、これまで日本が得意としてきたビジネスモデルが通用しなくなるでしょう

人手不足が今後ずっと社会問題に

 高齢化と同様に問題となるのが少子化だ。

「子どもを何人出産するかという以前に、そもそも結婚しない人が多くなっています」

『厚生労働白書』によると、50歳時点で結婚したことのない人は、'15年で、男性は4人に1人、女性で7人に1人。これが'35年になると、男性で3人に1人、女性は5人に1人となると予測されている。

「'20年には女性の半数が50歳以上となって出産可能な女性が減るうえ、未婚率も上昇するわけですから、少子化にますます拍車がかかり、若い人がどんどん減っていきます。これから先、人手不足はずっと社会問題となっていくことでしょう」

 公的機関で人手が足りなくなれば、公的サービスが行き届くのかといったことも心配に。

「すでに、物流での人手不足は深刻化しつつあって、今までのような便利な社会を機能させることそのものが危うくなっています」

 人口減少とともに、店は統廃合されるようになり、ネットショッピングが頼みの綱となるが、それさえも物流が滞ると快適な利用は困難に。'20年には、食料品や日用品の調達に苦労する「買い物難民」が続出するかもしれない。

 また、意外なところでは、ガソリンスタンドも採算が合わず撤退する地域が増えて、車の給油や冬の灯油の調達にも困るケースが増えていくという。'25年には、冬の寒さに凍える灯油難民地帯が各地に広がる、と河合さんは予測する。

 少子高齢化で年金制度や医療制度を支える世代が減るとなると、自分たちの老後も心配。

 いつから、どんなふうに考えたらいいのだろう。

早めの対策が必要です。50代のうちから考えておきたいですね。1度、ライフプラン表(自分や家族の「未来の年表」)を書いてみることをおすすめします。何年に何歳になって、収入や支出がどのくらいになるか、予測しながら記入していくのです。

 それで、節約すればなんとかなるのか検討する。それでも足りないなら、夫婦でさらに働いて今から貯める、老後も働き続ける、といった覚悟が必要になります」

できることを売りに働き口の確保を

 すでに働いている人は今後、どういう働き方をしていけばいいのだろうか。

人手不足の進行とともに、働き方も変わっていきます。企業が新しい働き手を確保するのが難しくなっていますから、人材を確保するため、これまでのような“会社という建物に、決まった時間に正社員が集まる”という働き方にはこだわらなくなるでしょう。

 これからは、子育てや介護中の人も働きやすいよう、在宅などオフィス以外の場所で働くテレワークや、郊外や地方都市にサテライトオフィスを作ってそこに通うといった働き方が普及していきます。正社員にこだわらず、自分のスキルを登録してニーズに合わせてそのつど働くという方法も、すでにIT業界や若い人たちに広がりつつあります。いろいろな人が働きやすい社会になるし、そうならなければ日本経済は行き詰まってしまいます」

 新しい働き方を採用した、働きやすい職場を積極的に探したいところだ。一方で、これまでの終身雇用制がなくなるという話もある。

「同じ会社で働き続けることは難しくなり、入社すれば一生、安心ではなくなります。仕事では常に“何ができるか”が問われるようになるでしょうね。これからは男女問わず、自分のキャリアを証明できるような働き方をしていきたいところです」

 とはいえ、特別な技術や資格が必要というわけではないようだ。

「今まで働いていなかったとしても、例えば、料理が上手であるとか、PTAや町内会で長年、頑張ったというキャリアでもいい」

 できることを売りに働き口を見つければよい、と河合さん。

「今後、社会は大きく変わり、年金の受給額も増えることはないでしょう。その前提で、どうしたら長くなっていく自分たちの寿命に対応できるのかを考えた未来予想図を作っていきたいですね」


《PROFILE》
河合雅司さん ◎作家・ジャーナリスト。1963年生まれ。中央大学卒業。産経新聞社では論説委員など歴任。現在、高知大学客員教授、厚労省、農水省の有識者会議委員なども務める。主な著書に『未来の年表』(講談社現代新書)など

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