能町みね子とサムソン高橋夫婦(仮)の、恋愛感情ゼロな “ニュータイプ婚”

週刊女性PRIME / 2019年6月15日 21時0分

(左から)能町みね子、サムソン高橋 撮影/矢島泰輔

 人気コラムニスト・イラストレーターの能町みね子さん(40)と、世界のゲイスポットを巡った原作マンガが人気のゲイライター・サムソン高橋さん(51)。ふたりはサムソンさんが購入した一軒家での共同生活を営んでいる。
 当初は「結婚前提」で同居を始め、約2年が経過。出生時に判断された性別にとらわれない生き方をするトランスジェンダーで、現在は女性として暮らす「妻」と、ゲイ男性の「夫」という組み合わせの「夫婦(仮)」でもある。そんなふたりの“恋愛感情の伴わない”ニュータイプな結婚(仮)生活について話を聞いてみた!

サムソン高橋(以下、サムソン):アキラ(サムソン高橋のファーストネーム)、みね子って呼び合ってます。今回ニュータイプ女子って企画でしょ、だから私たちふたりがニュータイプ女子って企画なのかと思ってた。私たちって何? 同居人? 姉妹? ……金ヅル?(笑)

能町みね子(以下、みね子):なんでしょうね。一緒に住む前は結婚を前提にしていましたが、一緒に住んでしまったので、今のところ進展はないですね。

 きっかけはSNS「ツイッター」だったという。サムソンさんが能町さんをフォローする形で、ふたりの関係は始まった。

『ツイッターの狂犬』能町みね子との出会い

サムソン:そもそも一方的に私が「能町みね子」という作家のファンだったの。でも、最初にオカマの本(『オカマだけどOLやってます』)出したとき「またLGBTブームに乗った本を出しおって。あざとい!」と思った。

みね子:あのころは全然ブームじゃなかったですよ。

サムソン:でも読んだらすごく視点が近しいというか、間違ったことは言わないし、文章が上手だなって。それでツイッターはフォローしたのね。で、友人つながりのイベントに出ると知って“あら『ツイッターの狂犬』と呼ばれた能町みね子に会ってみたいわ”って。

みね子:狂犬……否定はできない。でも、そのときはあいさつ程度でしたよね。

 以降、たまにリプライ(返事)を送り合うようになったふたり。関係が一気に進展したのは能町さんの「結婚キャンペーン」だった。

みね子:私、3年くらい前に「結婚キャンペーン」やってたんですよ。そもそも恋愛というものに向いてないから、恋愛にならないゲイと結婚しようという結論になり……サムソンさんは趣味合うし、テイストも似たものを感じるなと。しかもたぶんモテてないし(笑)。

サムソン:いやいやいやいや。

みね子:いけんじゃないかと思いましたね(笑)。それをツイッターに書いたら、本人から“よかったら”って返信きて。

サムソン:「人生に煮詰まったらどうですか?」って。私はそのとき100%冗談。そんなこと夢にも思わなかった。

みね子:それを見て私が爆走したんですよね。

サムソン:アキラ、基本的に受け身なので。セックスの話じゃないよ。人との付き合いは来る者拒まず去る者追わずなの、あんまり来る人いないんだけど。その中で久々に来たのがみね子。すごい珍魚が来た! って思ったわ(笑)

 そこから共通の知人の飲み会の帰り「結婚を前提にお付き合い」することにしたふたり。主にDIYで改装を続けていたサムソンさんの新居で会っていたそう。

みね子:そのころはまるで付き合ってるかのように週1くらいでここに来てた。でも、この家には風呂……あるけど、お湯が出ない。

サムソン:だから「お湯が出るように改装してくれたら一緒に住んでもいい」って。

 その「改装」は能町さんの意向もあり、間取りを大幅に変える、かなり大規模なものになった。当初の見積もりでは、家の購入価格を超えたという。業者の改装後も、サムソンさんがDIYを続け、北欧や地中海の雰囲気が漂う現在のような空間に。

お互いの不満なトコロ

みね子:私は全然手伝ってないんですよ。昭和のいちばんダメな父親って感じで、家に帰ってくるだけ。アキラがご飯も作ってくれるし。

サムソン:家では、お互い何もしゃべらずスマホを見てる。

みね子:それマジで多い……。

 不思議な安定感で同居生活が続いているふたり。お互いの嫌な面が見えてきたりはしない?

みね子:本気で嫌なところはないですね。

サムソンアキラが嫌なのはね、この子がお風呂のお水を5日間くらい残すとこ。せめて2日くらいで抜いて。「もったいない」って言うのよ。

みね子:もったいないですよね。彼は湯船に浸からないし、普通に沸かし直して入ってるんですが、許せないみたい。

サムソン:人類の97%くらい許さないわよ、それは。

みね子:あ、でもそういう細かい許せないことならあります。例えばおみそ汁の汁は捨てるもんだと思ってる。信じられないですよね?

サムソン:具を食べたら終わりよ。だって腎臓が悪くなるじゃない。

みね子:具があるものは、外身は捨てるものだと思ってる。

サムソン:みね子のお土産の高級クリームパンも、クリームなくなった瞬間にゴミ箱にバコーン! って。

みね子:そう、食べかけで捨てる。貴族ですかね?

 同居によるポジティブな変化はあったのだろうか。

サムソン:ちょっと生活はまともになった感じがする。みね子が出張とか旅行でいないときとかね、気楽っちゃ気楽なんですけど、あっという間に部屋とかぐっちょんぐっちょんになりますよ。私ほんとは(部屋にぶら下がっている)このハンモックとネットフリックスとスマホだけで一生過ごせるの

みね子:寝る時間が早くなったし、3食きっちり食べてます。いっとき体重が増えたからダイエットしたんですが、手伝ってくれたし。アキラ、お料理上手ですよ。

サムソン:みね子も食事にうるさそうで全然うるさくない。トマトの湯むきをしないと嫌、とかそういうタイプでもない。前、男にスパゲティ作ってあげたら「トマトに皮が残ってる」って文句言われたの。モヤシのひげ根も絶対取らないから!

いつか本当の夫婦になるのか!?

 バイトのかたわら主夫業をこなすサムソンさんと、多忙な能町さん。夫婦(仮)は、いつか本当の夫婦となるのか?

みね子私は入籍しようと思ってた。なんかそのほうが楽じゃない、法的な話とか。

サムソン:でもアキラ、法的手続きってのが大嫌いなの。保険も払ってないし、年金も確定申告もしてないし。

みね子:あ、そっか。もし結婚したらアキラの年金とか私が払わなきゃいけないのか。

サムソン払って。そしたら入籍する。アラ、急にポリシー揺らいだ(笑)。養って♪

みね子ぜんぜん養いますけど。おそらく、このままだと事実婚……「内縁の妻」になるんでしょ。ニュータイプって企画のわりに昭和の薫りがしますね。私の生活スタイルも昭和のオヤジだし。でも、保険は入って?

サムソン:いいの、どうせ70過ぎまで生きてない。私はのたれ死にでもいいのよ。

みね子:私も理想は孤独死です……言うと引かれますが。

サムソン:孤独死いいよ、自然死だし。将来的にどっちかがどうにかなったとき、介護とか正直、しんどくない?

みね子:うん……悪いよねえ。私が急に何らかの大きな障害を負ったらどう?

サムソン:そんときは、なってみないとわからんよねえ。

みね子:わからんよね。

サムソン:計画性あったらこんな生活してないよね。

みね子:そうですね。そのうち別れるかもしれないしね。

サムソンみね子が甲本ヒロトからプロポーズされたり、私が(大相撲の)高安からプロポーズされたりする可能性もあるし。

みね子:ヒロトはカッコいいけどリアルじゃないよ。高安もノンケだし。でも、そうなったら離婚だね(笑)。

──お互いの意思を尊重しつつも過剰な思い入れはないふたり。この“べたつかない”関係も「結婚」と認められる時代……これこそがニュータイプなのかも。

のうまち・みねこ/文筆業、自称漫画家。雑誌、ネットメディアの連載やテレビ・ラジオ出演など幅広く活躍。大相撲にも造詣が深い。著書に『私以外みんな不潔』など多数
さむそん・たかはし/ゲイライター。ゲイ雑誌『SAMSON』編集部を経てフリー。ほぼ無職。著書に『ホモ無職、家を買う』『世界一周ホモのたび』シリーズなど多数

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