「あ、ごめんなさい人違いでした!」渋谷で超古典的なナンパにのって“たどり着いた場所”

週刊女性PRIME / 2019年9月2日 19時0分

渋谷の繁華街 撮影/三九二汐莉

 世は、ナンパ戦国時代。出会いのプラットホームの増加とともに、都会を中心に男女の出会い事情はカジュアル化している。その最たる東京の週末に、ナンパ最前線に立つ男性は何を考え、なぜナンパするのか。本企画では東京の週末の夜に一期一会の出会いを求める「ナンパ男子」の生態を深掘りしていく。

 今回は、「2020」に向けてどんどん人が増えていく渋谷が舞台。ナンパスポットとして名をあげる東京の名所の中でも若者が多く、トレンド敏感層な20代前半との出会いもありそうだ。

 クラブやHUBなどでナンパを楽しむ者もいれば、センター街やハチ公などではストリートナンパのガチ勢……いわゆるナンパ師も多く生息する渋谷では、どんなナンパ男子が声をかけてくれるのか。

 クラブナンパはレベルが高そうなので、なるべくゆっくりと歩いているとセンター街でスーツ姿のサラリーマン男性に声をかけられた。南口エリアではスーツ姿もよく見かけるが、センター街ではひとりで歩くサラリーマンはちょっと浮いていたかもしれない。

 顔は普通レベルの塩顔だが、身長が高くスラリとした体形がスーツ映えしていて、派手なスニーカーにデニムの格好の男子が多いセンター街では、逆の意味でいいギャップにもなっていたかもしれない。

恵比寿リーマン
身バレを恐れて渋谷でナンパ中?

「みゆき!?……あ、ごめんなさい人違いでした!」と、超古典的なナンパ常套句(じょうとうく)で声をかけてきた男性は、28歳の恵比寿で働くサラリーマンだという。わざわざ恵比寿を離れてナンパしているのは身バレを防ぐためだろうか。

 センター街の真ん中辺りで人違いをきっかけに声をかけてきた男性は、その後、急に自分語りを始めた。

「今日、友達と飲んでたんですけど、そいつが思ったより早く帰っちゃって。職場が恵比寿なんで、普段あんまり渋谷とか来ないんですけど……なんかメシとかも中途半端だったからお腹減っちゃって! よかったら軽く、お茶だけでもどうですか?」

 ……割愛したが、本当はもっと長々と自分がセンター街に今ひとりでいる過程を話していた。あまりに話が長すぎて、センター街を突っ切り駅まで戻ってきてしまっていたが、1時間でいいというのでついていくことに。なんだかあまり空気が読めなそうな男性だ。

「どこにしましょうかぁ、なんかアイリッシュパブとかぁ、なんでもいいんですけどね。軽く飲めるくらいのところがいいですもんねぇ」

 といいながら平気でアイリッシュパブの前を素通りしてしまうのでちょっと焦る。「大衆居酒屋のようなチェーン店でもいいですよ」と話しかけても、じゃあそこにしましょう! とは返ってこず不安になる。このままホテル直行されるのでは……とヒヤヒヤしていたが、ホテル街の方面にも向かわず、東急ハンズの近くまで歩いてきてしまった。

 どこまで歩くつもりなのかとあきれ始めていたところ、「もう決まらないし、ここでいいですか? サク飲みですし!」と男性が立ち止まったのは、まさかの。

 

 『サイゼリア渋谷東急ハンズ前店』

 

 ……ウソだろ。デートで使うと高確率で恋を逃すという都市伝説もあったりなかったりなファミレス。女子同士やひとりで使うことこそあれど、「初対面の男性とデート(しかもナンパ)」という名目でサイゼリアに来たのは初めてだ。

 しかも、ハンズ前のサイゼといえば高校生の聖地。21時前でもウェイティングが発生しているし、おまけに待っているのはみな制服の女子高生ばかり。並んでまでは入らないよね?

 

 ”ヤマダ 2名 喫煙禁煙どちらでも

 

 名前書いたー! 偽名であろうことはもちろん、喫煙かどうかもお伺いを立ててくれないあたりがなんとも香ばしい……。

問答無用の彼の注文

 席に着くやいなや、「え〜オススメがあるので僕が頼んでもいいですか?」と言ってすぐベルを鳴らすヤマダ。私はメニューを見る間もなく店員が到着し、驚きのひと言を発する。

「グラスワインのロゼを、2個。以上で!」

 って腹減ってるんじゃなかったんかい! つまみもなく注文されたグラスワイン、ちらりとメニューを見ると一杯100円だ。なんというコストパフォーマンス。

 すぐにグラスワインが到着する。苦笑しながら乾杯する私に、怒濤(どとう)のセクハラ発言を繰り出していくのだった。

あ、シオリちゃんは彼氏いないんだ。じゃあ全然ヤッてない感じ?

 しょっぱなから鋭利に切り込んでくるヤマダ。彼氏がいないから誰とでもやるわけではない、と冷静に伝える。

「俺も別に彼女探してるってわけでもないんだけどさ。あんまり強引にいけないほうだし、俺。イヤな子に無理強いとかできないんだよね。

 なんかもっと、こういうときはガツンと誘ったほうがいいのかなぁとも思うんだけどさぁ……どうなんだろぉ?」

 自分語りなのか、誘っているのかよくわからない話しぶり。イヤなもんはイヤなんだと思うし、一回言ってダメなものは二回言っても三回言っても、しつこいだけでダメなことには変わらないと思うぞ! ヤマダ。

 終始「ハァ、そうですか……」とちょっと上の空な返事をしていたら、30分でサイゼリアを出ることになった。グラスワイン二杯、会計は216円。「おごるよ!」などと言ってきたので、おごった気になられるのもイヤなような気がして、100円わたして帰ってきた。

安ければ安いほど、
ナンパ師としてのハクがつく?

 のちのち、この話をtwitterで愚痴っていると、恋愛工学アカウントからこんなリプライがきた。

『ナンパ師的には、かけた金が少ないほど、自分のナンパのスキルにハクがつくんですよ。安く見積もられたのでしょうね……』

 なるほど、お金をかけずにコンバージョンさせることが、ナンパ師のハクになると。つまりヤマダはやはり、サイゼリア200円の会計でお持ち帰りを狙っていたということだ。

 200円分の価値に見積もられたと思うと、なんだかもうやるせなくて、本当に100円を渡してよかったと思った。

 やはり若者の街、渋谷……銀座・コリドー街よりも安っぽいギラつきを感じた。ホテル街が近くにあることもあり、やはりコンバージョン目的のナンパも多い。趣味としてナンパを楽しみPDCAサイクル(注1)を回すタイプ。女性としてはあまり相手にしたくないナンパ猛者だった。

(注1)PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、生産技術における品質管理などの継続的改善手法。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。

 最後に“ヤマダ”の外見の特徴をわかりやすくお伝えする。

 ■顔面→チュートリアル福田系
 ■服装→ネイビーの細身スーツは悔しいが似合う
 ■髪型→リーマンらしいかきあげ7:3
 ■年収→推定500万
 ■感想→会社のストレスをナンパにぶつけてるような雑さ

 渋谷のナンパ男子は、狙うはコンバージョン一択! なオオカミ系男子だった。取って食いされるのはゴメンなので、22時と早めに取材班も撤収したのであった。

三九二汐莉(みくに・しおり)◎フリーライター。『週刊SPA!』(扶桑社)、『mina』(主婦の友社)などで恋愛や婚活、最新の出会い事情について寄稿中。
逆ナンやギャラ飲みなどの現場にも乗り込むサブカル女子。

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