宇野昌磨が逆転優勝! コーチ不在の選択で見えた「明確な覚悟」

週刊女性PRIME / 2019年10月23日 16時0分

宇野昌磨(2017年)

 10月11日から13日にかけて行われたフィンランディア杯で、逆転優勝を果たした宇野昌磨(21)。今シーズン初のショートプログラムとフリーの両演技を行った宇野だったが、本人には反省が残る大会となったようだ。しかし今回の演技には、昨シーズンまでの彼には見られなかった、ひとりのフィギュアスケート選手としての“覚悟”があった―。

「今の練習から考えると、これ以上は望めない。まだスタート地点にも立てていない」

 宇野昌磨は、10月11日から13日に行われた、チャレンジャーシリーズのフィンランディア杯の試合後、自らの調整遅れを認めていた─。

 しかし、報道陣に対して悲壮感や悔しさをにじませることはなく「オフにバタバタしたこともあって、調整が間に合わなかった」と、淡々と語っていたという。

異例のコーチ不在で臨む今季、初めてショートプログラムとフリーの両方を滑った大会でした。ショートプログラムが2位スタートで、なんとかフリーで巻き返して逆転優勝。しかし万全の状態であれば、3種類4度の4回転ジャンプを組み込むはずのフリーが、今回は2種類2度しか跳びませんでした」(スポーツ紙記者)

 全日本フィギュア強化合宿中の7月15日、宇野は「今シーズンはメインコーチをつけずに臨む」という異例の発表を行った。5歳のころから師事してきた山田満知子コーチと樋口美穂子コーチ兼振付師のもとを離れ、ひとりでロシアへと渡ったのだ。

「メドベージェワ選手やザギトワ選手を育てたエテリ・トゥトベリーゼコーチ主催の夏合宿に参加していました。想像以上の練習量で、“ついていくのに必死で、ひさびさに昔の気持ちを思い出した”と、手ごたえを感じているようでした」(同・スポーツ紙記者)

 “異例の挑戦”をしただけに、今回のフィンランディア杯では、宇野に注目が集まることとなった。

合計得点は255・23点。“絶対王者”である羽生結弦選手の今季初戦である、オータムクラシックの279・05点から大きく離される結果でした。表現面などの演技構成点は高く評価されましたが、ジャンプは転倒するなどまだ安定しない状態です」(同・スポーツ紙記者)

振り付けに新しい挑戦

 結果的には優勝することができたが、内容は本人が満足できるものではなかった。しかし、フィギュアスケート解説者の佐野稔さんは、いまはシーズン序盤のため大きな懸念はないと語る。

「チャレンジャーシリーズは10月19日から始まるグランプリシリーズの前哨戦だけに、結果的にはまずまずだったのではないかと思います。本人としては4回転トゥループで転倒してしまったことが心残りだったと思いますが、4回転フリップは、非常にきれいに跳べていましたからね」

 まだ完全な滑りではないがコンディションはいい状態にあるという。スポーツライターの折山淑美さんも、現時点での体調のよさに着目する。

宇野選手の動きには、キレがあり、身体のコンディションは非常にいい状態にあると思います。ここから技と技のつなぎの部分など、細かい部分をもっと練習すれば、さらによくなると思いますね。樋口美穂子コーチが振り付けを担当していたころは、早い段階ですべて仕上げていましたが、今年はこれから構成をどんどんバージョンアップしていくと見ています

 今シーズン、宇野は曲の振り付けに関しても新しい挑戦を果たした。ショートプログラムはシェイリーン・ボーン氏が、フリーはデービッド・ウィルソン氏が担当。

「シェイリーンさんは羽生結弦選手や高橋大輔選手などの振り付けも担当したことがありますし、デービッドさんも担当する選手の個性を引き出す振り付けが非常に得意です。宇野選手は、しなやかな動きというより、ひとつひとつの動きが力強く、しっかりとメリハリがあるタイプ。そういった彼の個性もわかったうえで、振り付けをしている印象があります」(折山さん)

 新しい挑戦の数々は、彼に明確な“覚悟”を芽生えさせているようだ。

宇野選手はとにかく新しいことに挑戦して、視野を広げていきたいという思いが強い。振り付けもこれまでにない、新しい要素を取り入れたかったのでしょう。“古巣に安住したらいけない”という思いがあったのだろうと思います」(折山さん)

大人へと成長した宇野昌磨

 かつて宇野は、冬季五輪連覇の羽生を尊敬する理由として「守りに入らず、どんどんどんどん、毎年成長していく。同じくらいの位置に自分も行けるようになりたい」と語っていた。その強い思いの表れが、新しい環境のもとでの挑戦なのかもしれない。

「今シーズン、宇野選手は幼いころからずっと育ってきた環境を離れて、自分の可能性に挑戦する道を選びました。この逆境のなかに身を置いた宇野選手には、今までに見られなかった“覚悟”を感じました。ひとりのスケーターとして、大人になったなと思います。そういった気持ちの変化もあるので、必ず結果を出してくると思います」(佐野さん)

 これから、異例ともいえる“コーチ不在”でシーズンを戦い抜く。どんな戦いが待ち受けているのだろうか。

今の段階の実力なら、グランプリファイナルには行けると思います。今はまだ曲に慣れていない部分やミスがあったかと思いますが、どんどん滑り込んで曲になじんでいくことで、ファイナルや全日本選手権のときには、よりよい演技を見せてくれると思います」(折山さん)

 宇野のグランプリシリーズ初戦は、11月1日に開幕予定のフランス大会。そのときには、いったいどんな“宇野昌磨”が見られるのだろう。

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