コロナ禍で葬儀が激変! 「オンライン葬儀」「ドライブスルー弔問」の意外なメリット

週刊女性PRIME / 2020年7月16日 11時0分

オンライン葬儀の参列者は、ソーシャルディスタンスや手洗い、消毒も徹底する必要が

 新型コロナウイルスの影響はさまざまな分野で広がっている。人々が集まり、長時間過ごすことの多い葬儀の現場も例外ではない。

コロナ禍では小型の葬儀が標準

 終活関連サービスを提供する『鎌倉新書』の調査によれば、コロナの影響で約9割の葬儀社が「参列者が減った」、「今後、減少していく」と回答している。

「参列者が少なく、小さな斎場で祭壇も簡略化する“葬儀の小型化”は以前より続いてはいましたが、コロナ禍では標準的な葬儀が小型です」

 こう語るのは、葬送ジャーナリストの碑文谷創さんだ。

 葬儀は時代を反映する。碑文谷さんによれば、参列者の数、費用ともに規模が大きかったのは、バブル景気が終焉を迎えようとしていた1991年ごろ。しかしバブルがはじけ、’95年の阪神・淡路大震災、2008年のリーマンショックなどが追い打ちをかけると、葬儀の小型化は急速に進んだ。

「バブル期には一般家庭が行う葬儀の参列者は平均280名程度でしたが、ここ数年は東京で30~40名、地方でも50~60名程度にまで激減していました。さらにコロナによって、東京では平均5~10名に減り、家族葬ですませるのがほとんど。全国平均でも参列者は20名以下にまで減っています」(碑文谷さん)

 各葬儀社では、マスクの着用、アルコール消毒や手洗いの徹底などで感染防止に力を注ぐものの、コロナ禍での葬儀に不安は尽きない。

《お別れをしたい気持ちもありつつ、大勢の人が集まる場所に行くことが不安》

《妊婦のため参列に悩んだ》

 前出・鎌倉新書の調査には、そうした参列者の声が寄せられている。

「法事の数自体が少なくなっていますし、通夜や葬儀をせず火葬のみ行う“直葬”も増えています。通夜をしても、弔問客に酒食をふるまう“通夜ぶるまい”をやめて、持ち帰り用のお弁当を渡すことも多いです」(碑文谷さん)

葬儀参列も香典もネットからOK

 そんな中、注目を集めているのが、インターネットでライブ配信される葬儀にネット上から“参列”する「オンライン葬儀」だ。いったい、どういう仕組みなのだろうか?

「住職がお寺などで読経する様子をネットで配信。喪主さまやご遺族、親戚や友人などの参列者は、別の場所からパソコンの画面越しに手を合わせ、焼香します」

 そう話すのは、葬儀社の紹介などを手がけるライフエンディングテクノロジーズ(東京都港区)の執行役員・栗本喬一さん。4月中旬からオンライン葬儀サービス『スマート葬儀』をスタートさせた。

「お坊さんから“(コロナの影響で)法事がキャンセルになって困っています”と相談され、葬儀を考えている方からも“こんな状況で法事ってどうやればいいのでしょう?”という声をいただいたのがきっかけです。テレワークのような形で葬儀や法事ができないかと考え、システム化しました」(栗本さん、以下同)

 同社のオンライン葬儀は、訃報とともに、喪主が事前に登録した相手へメールやLINEで葬儀をライブ配信するURLが届く。そこへアクセスして、ネット上で記帳をすませ、参列する流れだ。

「ショッピングサイトでお買い物をするのと変わらない感覚で、お花やお供え物はもちろん、お香典もネット決済で送ることができます」

 料金は、葬儀料に平均3万~5万円をプラスした程度。パソコン越しの葬儀に当初は違和感を訴えるものの、いざ利用してみると、“これで十分”“なかなかいい”という感想を持つ人が多いとか。

「みなさん、“こういうことができる時代なんだ”と驚き、感心されているようです。年配の方はネットに不慣れな場合が少なくないので、お子さんやお孫さんが仏間にパソコンをセッティングすることが多く、コミュニケーションのよい機会になっているようです。“おばあちゃん、泣いて喜んでいた”“コロナで帰国できなかったけれど、おかげで海外にいながら参列できた”などの声も聞かれます」

 このオンライン葬儀、6月下旬時点で50件を実施ずみ。さらに法事などで50件の予約が入っているという。

 3密を避ける葬儀の形はこれだけではない。『ドライブスルー弔問』もそのひとつ。弔問客が車から降りることなく焼香し、合掌するという、非対面型の参列スタイルだ。

高齢者をラクにするドライブスルー弔問

「コロナの影響から、葬儀の現場でもソーシャルディスタンスや手洗い、うがいが当然となる中、安心して葬儀に参加してもらえるサービスを提供しようとドライブスルー弔問を始めました」

 こう語るのは、青森県青森市にある葬儀社、リンク・モアで常務取締役を務める寺山明美さん。

 弔問客が車で訪れると、写真のようにスタッフが抹香と香炉をのせたお盆を持ち、車窓に近づく。弔問客は乗車したまま、窓を開けた車内で焼香を行う仕組みだ。

 ドライブスルー弔問のメリットは、3密回避のほかにもある。葬儀にかかる時間は通夜で約2時間から3時間、葬儀なら約1時間から1時間半が一般的。途中で退席可能とはいえ高齢者にはつらいものがあるが、ドライブスルー弔問なら負担を軽減できる。

「身体の具合で弔問をあきらめていた高齢者にとって、福音となっています。青森は高齢化が深刻なことに加えて、冬の積雪量も半端ではない。この先、コロナ禍が去ったとしても、ドライブスルー弔問は喜ばれる葬儀の形だと思います」(寺山さん)

 ドライブスルー方式の葬送サービスを日本で最初に開設したのは、長野県上田市の葬祭場・上田南愛昇殿だ。運営元であるレクスト・アイの荻原政雄社長(当時)が、高齢の母親の介助経験から「高齢者や身体の不自由な人でも負担をかけず、気軽に葬儀に参列することができないか」と考え、2017年に導入した。

 オープン当初は“車から弔問は不謹慎”との声も少なからずあったが、「実際にシステムが稼働してからは、批判は極端に減りました。現在は、ほとんどありません」(久保田哲雄・専務取締役)

新しい葬儀様式は3密回避の徹底を

 コロナとの闘いは長期戦になるという見方が根強い。ワクチン実用化には時間がかかり第2波の到来も警戒される。

 前出・碑文谷さんは、「移動がままならない状況があり、一方でテレビ会議アプリなどのソフトも充実してきていることから、オンライン葬儀などの需要は今後も高まっていく。当面は葬儀の会葬者も少人数が続くでしょう」と見通す。

 葬儀場などへ実際に出向いて参列する場合は、どういった点に気をつければいいのだろうか?

「葬儀の場で集団感染が確認されたのは、3月22日~23日に営まれた愛媛県松山市内のケースだけ。葬儀だから特別に感染しやすいわけではありません。3密を避け、手洗いをして、アルコール消毒を欠かさない。こうした基本的な予防をきちんと行う。正しく恐れることが求められています」(碑文谷さん)

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