田中みな実や浅田舞も悩む「きょうだいコンプレックス」克服法と親側の心構え

週刊女性PRIME / 2020年8月27日 16時0分

きょうだいコンプレックスに悩んだという(写真左から)有村藍里、田中みな実、浅田舞、武田鉄矢

「今年のお盆は帰らないですんでホッとしました。不謹慎かもしれないけど、妹と顔を合わせるのは、私にとってコロナ並みにきついので」

 そう話すのは、都内で団体職員として働く40代女性。コロナ対策との口実で、東京から特急で2時間の場所にある実家への帰省を“自粛”した。母親から『オンライン帰省』してはどうか? とも言われたが、やんわりと断った。

「オンライン帰省の段取りを長女の私にやらせようって魂胆ですよ。家の手伝いも、夫婦ゲンカの仲裁も、昔から面倒なことは私にばかり押しつけてきたんです。勉強のプレッシャーもすごかったのに、なぜか3つ下の妹は野放し。のびのび育って、社交的で甘え上手。そんな妹と比べては落ち込んで、みじめな気持ちになってしまうんです」

“自分は劣っているダメな人間だ”と思う

 この女性のように、きょうだいとの関係に、言い知れぬ息苦しさや葛藤を抱えている人たちは少なくない。

幼いころから母に、優等生の姉と常に比較されてきました。姉は学区内でいちばん出来のいい高校、私は2番手だったので“お姉ちゃんは名門校なのに”と言われ続けたんです。ところが、大学になると私が国立、姉が公立で立場が逆転。にもかかわらず、母に合格を報告すると“お姉ちゃんがひがむから露骨に喜ぶな”って……」(60代女性)

「母は妹ばかり気にかけていて、私にはやさしくない。同じことをしても、妹だけが褒められているみたいに感じます」(40代女性)

 同じ境遇で育った肉親に対する嫉妬や劣等感、モヤモヤした割り切れない感情──、こうしたきょうだいに感じるコンプレックスは、文字どおり「きょうだいコンプレックス」と呼ばれるものだ。

 新潟青陵大学大学院教授で社会心理学者の碓井真史さんは、次のように話す。

「きょうだいコンプレックスを心理学の専門用語で『きょうだい間葛藤』『同胞葛藤』と言いますが、これは単純に“嫌い”ということではありません。ほかのきょうだいのほうが親に愛されているのではないかと感じ、“自分は劣っているダメな人間だ”と思う。その気持ちがきょうだいゆえに割り切れず、ときには相手に激しい憎しみを抱く、複雑な感情です」

 きょうだいコンプレックスをこじらせたまま、大人になってからも苦しむ人がいる。

「きょうだいへのコンプレックスをごまかしたまま成長すると、親の介護、遺産相続などの問題でもめることにつながり、骨肉の争いを生んでしまう原因にもなります」

浅田舞を追い詰めた「妹コンプレックス」

 なかでも、わかりやすく結果が出る学歴や才能をめぐるコンプレックスは、「特に厄介」と、碓井さん。そのせいか、実力世界であるスポーツ選手や芸能人の間でも、きょうだいコンプレックスは多くみられる。

 フィギュアスケート選手を引退し、現在はスポーツキャスターやタレントとして活動している浅田舞(32)は、オリンピックメダリストの妹・浅田真央(29)に対し、《すぐにフィギュアで頭角を現した妹に、母をはじめ周囲の人たちは期待を寄せた》ため、家出や夜遊びを繰り返す反抗期があったことを雑誌の取材で明かしている。

 彼女が長年抱えていたのは、摂食障害に苦しむほどの“妹コンプレックス”だ。

「子どものころにきょうだいで同じスポーツをやらせて、一方が才能を発揮すると、親はその子どもに労力や関心を注ぐようになります。それだけでもおもしろくないのに、片方ばかりが評価されるのは非常に悔しい。他人であればよきライバルとして戦い、切磋琢磨しながら友情を築くこともできるでしょうが、きょうだい間では難しい。ドロドロした関係になりがちです」(碓井さん)

 一方、きょうだいへの『学歴コンプレックス』をテレビ番組で打ち明けたのは、フリーアナウンサーの田中みな実(33)。2歳上の姉は東京大学を卒業するほど優秀。それに対抗して、姉が唯一、苦手だったスポーツの才能を伸ばすために器械体操を始め高校時代はキャプテンを務めるまでになったという。

 そうしてコンプレックスが払拭されたのかと思いきや、番組MCから“お姉さんがきれい”と言われた際には、田中は“私のほうがかわいい”と即答する一面も見せた。

有村藍里を整形に走らせた「顔面格差」

 コンプレックスの対象はルックスにもおよぶ。

 女優・有村架純(27)の姉でタレントの有村藍里(30)は、朝ドラや紅白出演歴のある妹と容姿やキャリアを比べられたことで、「私は“有村架純のお姉ちゃん”になっちゃって、自分がなくなっちゃったみたいな気持ちになった」と、ドキュメンタリー番組で涙ながらに語っている。

 さらには「口元が残念」などの中傷を苦に、骨から顔の輪郭を整える美容整形手術を受けている。

「依然として、男性よりも女性のほうがきれいであることへのプレッシャーが大きいように思います。たまたま姉妹のどちらかがかわいいと言われやすいと、片方は非常に悔しく、きょうだい仲に傷が入ってしまう」(碓井さん)

 有村と同じく、お笑い芸人『尼神インター』の誠子(31)も、双子の妹たちのほうがスリムでかわいいと、ちやほやされていた過去を持つ。そんな妹たちから5年間、無視され続けていたことを週刊女性の取材で打ち明けている。

 また、きょうだいコンプレックスのなかには、男女間の格差を感じさせるケースもある。実際、

「弟のほうが、男であることを理由に進学などで優遇されていた」(50代女性)

「親の関心も入学祝いの品物も、長男である兄と妹の私では全然違った」(40代女性)

 といった女性たちの非難の声が聞こえてくる。

 碓井さんが言う。

「特に地方では、男の子──それも長男は家の跡継ぎという感覚が強いため、別格扱いをされることがあります。大昔はそれがよしとされてきましたが、今はそんな時代でもありません。“なぜ長男ばかり”と不満がたまり、ほかのきょうだいたちとの軋轢のもとになっています」

武田鉄矢が苦悩した
エリート兄との確執

 そもそも、きょうだいコンプレックスの根本には「親からの愛情の奪い合い」があると碓井さんは指摘する。

「特に、いちばん上の子どもは、親にとって初めての子育てなので神経質に育てられがちな反面、たっぷりと愛情も手間もかけてもらえる。ちょっとしたことができただけで喜ばれ、期待もされます。ところが次の子が生まれると、これまでひとり占めできていた親の愛情を突然、奪われた感覚になってしまいます。

 しかし、下の子にしてみれば反対に、上の子のほうがかわいがられているように見えるもの。上の子の写真のほうが多かったり、自分の洋服やおもちゃは“お下がり”ばかりだったり……」

 生まれた順番で親の接し方が異なり、それを子どもが愛情の格差と感じるのは珍しいことではない。問題は、「きょうだいに対する親の愛情に、本当に偏りがある」場合だ。

 俳優・武田鉄矢(71)は親の愛情格差から生じた兄との確執を著書につづっている。5人きょうだいの次男で末っ子だった武田は、12歳上の兄に長年、コンプレックスを抱いてきた。有名大学を出てエリートコースを歩むこの兄を母親は溺愛していたという。

《母親は兄を誇りに思っていて、いつも兄貴ばかりかわいがっていて……僕は自分のことも見てほしいって思ってました》と、幼少期の苦悩を雑誌で明かしている。自身がフォークシンガーとして成功したことをきっかけに、兄との立場が逆転したものの、兄が亡くなる寸前まで、わだかまりは解けなかったそうだ。

「武田さんの場合、優秀だったお兄さんに母親の愛情が注がれていましたが、優秀だから愛されるパターンばかりではありません。言うことを聞かない、手のかかる子どもをよりかわいいと思う親もいるからです」(碓井さん)

 外で活発に遊ぶ子どもと、家でピアノを弾く子どもの、どちらを「いい子」ととらえるかは親によって違う。

「優秀だから愛されるのであれば、子どもは頑張ればいいでしょうが、逆となれば努力のしようがない。余計にこじれて心のしこりになります」

きょうだいを平等に愛するのはNG!?

 きょうだいコンプレックスから抜け出すには、何が必要なのだろうか?

 葛藤を抱える本人に対して「自分の個性を信じることが大事」と、碓井さんは言う。

「きょうだいと比べて、どっちが上で、どっちが下だという考えは捨てるべき。それぞれの個性を認めることで、相手に対する悔しさや葛藤を減らすことができます」

 またコンプレックスは、使いようによっては原動力に変えることもできる。

「謎解きブーム」の仕掛け人である松丸亮吾(24)は、メンタリストのDaiGo(33)を兄に持つ。慶應義塾大学を卒業した兄への対抗意識から東大受験に挑み現役合格したあと、謎解き問題を作るようになったとか。“DaiGoの弟”の呪縛を自らの力ではね返したのだ。

「“こんなコンプレックスがあったから頑張れた”というふうに、悔しさをバネに生きる力へと変えることが大切です」(碓井さん)

 無駄な争いを生まないためにも、きょうだいと自分には別のよさや価値があることを知っておきたい。

 また、親が持つべき心構えとしていちばん大切なのは、意外にも「子どもを平等に愛してはいけないこと」。

 碓井さんはこう強調する。

「自分をいちばんに愛してほしいと願うきょうだいそれぞれに、“どちらも同じようにかわいい”と言っても当然、納得はしないでしょう。子どもと2人きりのときに“あなたのことがいちばん好き”と、伝えてあげてください。そのひと言で子どもは心に余裕を持つことができます。自分の個性を信じることができて、親もわかってくれている。その安心感が重要なのです

(取材・文/高橋ももこ)

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