青木さやかが離婚を経て“生き直し”を決意した理由「娘を褒めることが難しかったの」

週刊女性PRIME / 2020年9月2日 21時0分

対談したたかまつななと青木さやか

「どこ見てんのよ!」と勢いよく言い放つ“キレキャラ”で一世を風靡(ふうび)した、お笑いタレントの青木さやかさん(47)。現在はドラマや舞台への出演から情報番組でのレポーター、ユーチューブチャンネルの運営まで、幅広く活躍中だ。メディアで見る姿は“強い女性”というイメージがあるかもしれないが、母親との確執、自身の離婚、シングルマザーとしての日々など、プライベートは何かと大変だった。だが、青木さんは子育てと真剣に向き合うなかで「生き直し」を決意したという。その経緯や複雑だった親子関係、母として愚直に生きる姿勢をたっぷり語ってもらった。

贅沢をしたかった自分、嫌がった元夫

 もともとは女子アナウンサーに憧れていたものの、叶(かな)わなかったという青木さん。かつてアルバイトもせずパチンコに通い、消費者金融にも手を出して100万円を超える借金があるなかで、芸人としてなんとかして売れた。テレビ番組などでは、自分よりもキラキラして見えた女子アナに、よくキレていた。

「デビュー当時は、自分がなれなかった女子アナや、ほかにも自分にないものを持っている人に対して怒ってきました。キレている様子は完全に“ボケ”というワケではなく、どちらかというと自分のなかにある気持ちを大げさにデフォルメして怒る感じでしたね」

 しかし、とあるバラエティー番組の収録で、笑いをとりにいったつもりが「よくぞ言ってくれた!」と“貴重なご意見風”にとらえられ、限界を感じたという。

「笑ってほしくて怒っているのに、みんな真顔で、逆に“なるほど”と納得されてしまったんですよね。思えば、そのころの私は芸人のなかで年上になってきていたし、お金と認知度があり、家庭を持って子どももいて、いい生活もできていた。客観的に自分の現状を見たときに“もうキレる理由がないな”と思ってしまったんです。それに、(出演した番組などを)娘の学校関係者も見ているし、映像は残るものだから、娘が後で見たらどう思うかな、と考えてしまったんです。そうすると“キレキャラ”っていう役割では、自分はもう役に立てないんじゃないかと思って」

 私生活では、ブレイクを重ねた'07年に3歳年下のダンサーと約半年の交際を経て結婚したが、'12年の3月には離婚が報じられた。青木さんの両親は青木さんが15歳のときに離婚している。青木さんは当時、離婚に反対したそうだが、自分の場合は離婚を決意した。なぜ、別れるという選択肢をとったのだろうか。

「細かいことの積み重ねですし、離婚に至った見解は元夫と私とで違うかもしれません。それを前提としたうえで、私としては、頑張ってきたご褒美だもの、贅沢(ぜいたく)がしたかった。それをともに喜んでほしかった。せっかくお金がない状態から稼げるようになったのだから、いい場所に住んで、いい車に乗りたかった。海外旅行にも行きたかった。でも、彼はとても堅実な人で、そんな私を諌(いさ)めていた。だから、自分がお金を出して買ったものでも“これ、もらったんだ〜”とか、嘘をついてたんです。

 でも、やっぱり限界がきますよね。しかも当時は、私のほうが稼いでいたから“こっちがたくさんお金を出しているんだから、家のなかのこととか、もっとやっておいてよね”みたいな気持ちもどこかにあったんです。それで元夫の前で、理由も言わずに、ただただ不機嫌になる。彼はなぜ私の機嫌がたびたび悪かったのかを、今も知らないと思う。だからもう、本当にズレにズレが生じた結果が離婚、ということですかね。結局、本音を出せない部分も多いまま結婚生活を続け、相手は何も言わなくても自分をわかってくれる、甘えさせてくれる、と思ってしまっていたんです

 一度は、なんとか離婚を踏みとどまろうと別居して様子をみたが、そのうち離れて暮らす状態が楽になってしまい、2人で話し合った結果、結婚生活に幕を閉じたという。しかし、離婚直後は大変だった。

テレビで“離婚しました〜”と伝えて、涙が出そうでもニコニコとしゃべっているのがつらかった。お笑いの場が多かったから、よけいに明るく振る舞わなきゃいけないじゃないですか。もちろん、そのほうが周りの人たちにも、いじっていただきやすいしね。だけどあの時期、何度も倒れて病院に運ばれたの。実は、ものすごく疲れていたんだと思います」

 現在10歳になる娘には、これまで100回以上「なんでうちにはパパがいないの?」と聞かれた。

「お父さんとお母さんと子どもがいるっていう風景を見ると、すごく苦しかった。そういう場面に遭遇するたびに、娘にも問われる。娘には“パパとママは、とてもあなたを愛している。けれども、一緒にいるとケンカしてしまうから、別々に住んでいる。でも、何があっても味方だし、あなたのことを2人ともいちばんに考えているから”と、何年も何年も言い続けてきてはいますね」

自分と子どもを褒めることが難しかった

 離婚してから自分を見つめ直すなかで、気づいたことがあるという。

「私は、自分の孤独を男性で埋めたかった。もちろん、相手に“埋めてほしいんです”と言って結婚したわけじゃないけれど。別れてからは、そもそも何かで埋められないんだ、と思い始めました。そして、もし孤独感を薄められるものがあるとしたら、それはお金でもない、仕事でもない、男性でもない。自分なのだと。

 同時に、自分の自己肯定感の低さにも気づいたんです。私は、他者からの評価を気にする“他人軸”と、己の感性を信じて生きる“自分軸”だと、前者を基準にして生きているから、しんどいんだと思いました。お笑いをやっていたときも、勝手に空気を読んで“ここで怒るべきだ”とか、“周りの迷惑にならない動きをしよう”と考えてしまっていたし……

 自己肯定感が低いままではダメだ、と強く感じたのは子育てで行き詰まったとき。そこで青木さんは、生き直すことを決意した。

思えば私は自分で自分を褒めたことがないから、何よりも大事な子どもを褒めることが、すごく難しかったの。なんだか毎回、力んでしまって。それで、自分への愛が足りないままでは、子どもを単純に“ただ愛する”ことすらできないのでは? と気づいて“生き直さなきゃ”って思ったんです。

 それから、いろんなことに挑戦しました。自分の嫌なところと向き合い、娘の同級生の父母たちと悩みを共有し合って、泣きながら子育てをしてきました。娘に対して、変に気張らずに愛を捧ぐことは、私よりも前の旦那さんのほうができていたので、娘のためにも彼と良好な関係を保ちながら、ご近所やママ友やパパ友、学校とも連携をとりつつ“みんなで育てる”っていうかたちをとろうと決めました。だから元夫とは学校で会ったりするし、娘を預かってもらったりもしますよ」

娘とただ「共に生きる」だけでいい

 青木さんが自分や子どもに対する褒め方を見失い、ときには“褒めなきゃ”と無理してしまうようになった背景は、幼少期にある。

「うちの両親は教師で、厳しかったんです。例えば、幼いころ親に褒められたくて、テストを頑張って80点とった。褒められると思って見せに行ったけれど“なんで100点じゃなかったの”と返ってきた。ピアノで『エリーゼのために』が弾けるようになった。報告すると“それはもう昨年、○○ちゃんが弾いていたよね”とか。だから私は“自分の自己肯定感の低さは、母親のせいだ。こんなふうに育てられなければ、もっと愛されれば……”と、母をずっと否定していました。でも、それはなんの解決にもならなかったんです」

 母親を恨みつつも完全には嫌いになれず、心のどこかで「修復したい」と願っていた。しかし、それは思っていた以上に難しかった。

「結婚、出産のタイミングでも歩み寄るチャレンジをしたものの、うまくいかず。周囲に“自分が親になったら、親のありがたみがわかるよ”とも言われたけれど、そうはならなかった。あげく、自分の娘をうちの母親が抱いてるときに“私の大事なものに触らないでほしい”とさえ思ってしまったんです。“私はこんなふうに大切にされた記憶がない”とも」

 だが昨年、母親が悪性リンパ腫を患い、余命数か月となったときに、最後のチャンスだと感じた青木さんは行動にうつす。

「一緒に活動している『NPO法人TWFの会(動物愛護団体)』の創立者である武司さんから“親と仲よくしなよ。そうしたら絶対、楽になれるから”と伝えられたんです。彼に言われたら、不思議とできるような感じがして。それから毎週のように、母がいる愛知県のホスピスに通いました。過去の嫌な記憶を脳内からなくして、今日は今日なんだ、という気持ちで母の手を握るとか、話しかけながらマッサージをしてみたら、彼女はすごく喜んで。“この人、こんなにうれしそうにするんだ”って思って続けるうちに、修復していきました。母の気持ちはわからないけれど、私は嫌いじゃなくなっていったんです

 母親は亡くなる前に、青木さんあての手紙を残していたという。だが青木さんは、その手紙をいまだに開封できていない。けれど「親が死んでもできる親孝行がある」と考えている。

「手紙は怖くてまだ開けられない。でも、もし私が死んで、天国から娘の様子を見下ろすとしたら、わが子が多くの友達に囲まれて、ものすごく楽しく生きている姿を見たい。そう考えると、私が母にできるいちばんの親孝行は、私が他人軸ではなく自分軸で生き、素敵な仲間が周りにいて、自分を肯定しながら娘と笑顔で暮らすことなのかなって。だから娘との関係も気張らず、変に“○○しなきゃ”と考えずに、ただただ娘を見守る。共に生きるっていうことだけでいいのかなと思って、今は生きています

(取材・文/たかまつなな)


【INFORMATION】
たかまつななと青木さやかさんの対談をYoutube『たかまつななチャンネル』内の動画で公開しています。リンクURL→【1】https://youtu.be/oaI3egmk-Cs 【2】https://youtu.be/TG9-plik1oM

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