「スガノミクスで大増税が家計を襲う」と専門家、老後資金は結局いくら必要!?

週刊女性PRIME / 2020年10月2日 11時0分

※画像はイメージです

 長引くコロナ禍で、景気の悪化をひしひしと感じるこの秋。高い内閣支持率でスタートを切った菅義偉政権の下、私たちの暮らしはどうなっていくのだろう?

 経済アナリストの森永卓郎さんは「菅政権では、景気はもっとひどくなるでしょう」と、ズバリ断言する。そもそもコロナ禍の前から経済状況はよくなかったという。

「アベノミクスも最初はうまくいっていたんです。金融緩和で世の中に出回るお金が増えて、株価は上がり、非正規が多いとはいえ働き口も増えました。でも、目指していたデフレの解消は果たせなかった。特にまずかったのが消費税の増税です」

 確かに、2度の増税は痛かった! 財布のひもも固くなったし。

「みんなが節約モードになってデフレ再突入の様相になり、企業は給料をさらに抑えるように。物価と収入の関係を表す実質賃金でいうと、安倍政権下で1割も下がってしまったのです」

 森永さんは、菅政権の経済政策“スガノミクス”によって、「大増税が庶民の家計を襲う」と予測する。

「安倍さんは景気重視で経産省出身の秘書官を重用していましたが、その安倍さんがいなくなれば、財務省が本来の力を発揮してくるでしょう。コロナ対策として財政出動した57兆円を取り戻すため、財務省は増税してくると思いますよ。それでいて菅さんは安倍政治を継承しているので、財界や大企業べったりなところは前政権と変わらない。震災後の復興所得税のように所得税を増やすか、消費税を上げて、庶民に大きな負担をかけてくるのでは?

 そんなことをされたら、ますます物を買う気が失(う)せて、倒産も続出しちゃうのでは?

「そうなれば、ますます賃金は下がり景気は悪化、日本は長期衰退期に入るでしょう。日本の平均所得は2000年ごろは主要先進国の中でもトップでしたが、この先10年しないうちに韓国に抜かれ、20年しないうちに中国にも抜かれるでしょう。先進国グループからまっしぐらに落ちていき、“年収200万円時代”が現実になるわけです。これを防ぐには、消費税をなくすしかないでしょうね

 森永さんの掲げる対策とは裏腹に、菅首相は自民党総裁選への立候補後、“いずれ消費税は上げざるをえない”などと口にしていた……。

老後2000万円が1200万円に!

 日本の行方に暗雲が垂れ込める中、驚きのデータがひっそりと発表されていたのをご存じだろうか?

 昨年、物議を呼んだ「老後2000万円問題」に震撼(しんかん)した読者は多いはず。長寿化で定年後の人生が長くなり、95歳まで生きるとすれば、夫婦で約2000万円の老後資金が必要になるというものだ。

 この「2000万円」の根拠になっていたのが、総務省の『家計調査年報』('17年)に載っているデータ。高齢夫婦無職世帯の家計が毎月約5・5万円の赤字になっていることから、これが老後30年続くとすれば「約2000万円の金融資産の取り崩しが必要」と、金融庁の報告書に書かれて大騒ぎになった。

 ところが、最新の『家計調査年報』('19年)のデータでは、月々の不足分が約3万3000円に減少。これが30年続くとして計算すると、不足する総額は約1200万円ということに!

 必要な老後資金の総額が減ったのはうれしいけど「年金が引き上げられたわけでもないのに、不可解ですよね?」とは、“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。

 いったいなぜ? 総務省統計局に事情を聞くと、

「実は、長年使ってきた調査用の記入表を、'18年から今のライフスタイルに合わせて変更しました。記入欄が増えたことで、従来は書き漏れていた収入が書かれるようになったようです。最新の数字のほうが、より実態に近いとお考えください」(担当者)

 北村さんが言う。

2000万だろうが1200万だろうが、しょせんは家計の平均値をもとにした話。参考程度にとどめたほうがいい。“うちは平均的”と思っていても家計調査の数字と比べてみると、結構違うはずです。

 特に住居費は、家計調査では持ち家や地方在住の人もひっくるめた数字で、約1万3000円ですんでいます。都会の賃貸だとありえない数字です。教育費も家計調査では0円になっていますが、なかには子どもの学費を払っている家庭もあります

 一方、収入についても個人差が大きい。公的年金は夫がずっと正社員なら夫婦で20万円くらいもらえる可能性もあるけれど、夫婦ともにずっと自営業の家庭は、2人合わせて満額でも月13万円しかもらえない。

【必要な老後資金の計算方法】

◎昨年発表した金融庁の報告書では……
毎月の不足分5万4519円×12か月×老後30年=必要な老後資金約2000万円

◎最新の'19年「家計調査」では……
毎月の不足分3万3269円×12か月×老後30年=必要な老後資金約1200万円

年金は10年で1割は減る

 では実際、いくらあれば老後の備えに足りるワケ? 北村さんは、わが家の「老後家計の予想」を書き出してみることをオススメする。

「自分が将来もらえる年金は、日本年金機構のサイト『ねんきんネット』で試算できます。50歳以上の人は『ねんきん定期便』に見込み額が載っているので、そちらを確認しましょう」(北村さん)

 そして、写真ページ(週刊女性PRIMEのサイト内)の「老後資金Checkシート」に載せた家計調査年報(夫婦は夫・会社員で妻・専業主婦、シングルは会社員という設定)の内訳を参考に、わが家の収支予想を書いて、平均値との違いをチェック。老後30年分の不足額も計算してみよう。

「ただし、これで計算した不足額でさえ、まだ甘いと言えます。支給を抑制する仕組みが発動されるたび年金は実質的に目減りしていき、10年で1割は減ります」(北村さん)

 前出・森永さんも「早めに厳しい見通しを立てたほうがいい」と、アドバイス。

「老後資金は通常、65歳から95歳まで30年生きる前提で計算します。でも、女性の場合は100歳まで生きる人が約2割もいるんです。65歳から40年は生きると考えておいたほうがいい。そうなると、必要な老後資金は約1・3倍に増えます」(森永さん)

 現在の年齢によっても、必要な老後の備えはおのずと変わってくる。

 老後が迫っている50代以上の人は、「まず、基本の年金を満額もらうこと。そのうえで、もらい始める時期を考えましょう」と、北村さん。

 基本の年金を満額もらうには、40年にわたって保険料を納めることが条件。そのため、例えば大学卒業まで20歳~22歳の間、国民年金保険料を納めていなかったり、その後も滞納があったりすると年金を減らされてしまう。

「これを穴埋めする方法は2つ。ひとつは60歳以降も厚生年金に加入して働くこと。収入も将来の年金も増えて一石二鳥です。パートでも大手勤務なら厚生年金に加入できますし、2024年からは従業員51人以上(現在は「501人以上」)の企業にも厚生年金が適用拡大されます。あるいは、満額に足りない期間の分、60歳以降に国民年金に任意加入して保険料を払えば、満額もらえるようになります」(北村さん)

 年金をもらい始める年齢は原則65歳。しかし、スタート時期を1年以上遅らせて「繰り下げ受給」すると、年金の総額を増やすことができる。もらい始める時期を1か月遅らせるごとに0・7%増えて、70歳まで遅らせると、なんと42%アップ! しかも、増えた年金額は生涯続くそう。

「ただし、繰り下げ受給しても81歳11か月よりあとにならなければ、65歳からもらい始めた人の年金総額を上回ることはありません。男性は平均寿命が81歳ですから……、微妙なところですね。それより余命の長い女性の場合、繰り下げ受給したほうが得する可能性は高いです」(北村さん)

 一方、諸事情で早めに年金をもらいたい人もいるだろう。その場合、受給開始を65歳より前に早める「繰り上げ受給」という手がある。1か月早めるごとに年金が0・5%減る仕組み。60歳まで早めることが可能だが、65歳スタートの人に比べると、年金総額は30%もダウンしてしまう。

「男性の場合、平均寿命を考えると、64歳でもらい始めれば亡くなる時点での年金総額が65歳スタートの人と並ぶ可能性が高い。1年くらいなら受給を早めていいかもしれません」(北村さん)

年金対策には『iDeCo』が超オススメ

 さらに今年5月の年金制度法の改正で、令和4年4月1日以降に70歳になる人は、75歳まで繰り下げ受給できるようになった。受給開始が75歳になるまで待てば年金額は84%アップすることに!

 おいしい話に思えるけど、前出・森永さんは否定的だ。

「一見よさそうに聞こえますが、実は高い年金をもらうことで、税金や社会保険料もバンバン取られるようになり、手取りが減っちゃうんです。75歳の繰り下げは、私はやめたほうがいいと思います」

 また北村さんは、別の懸念を抱いている。

「繰り下げ受給の時期を75歳までにしたのは、年金受給開始年齢を引き上げる布石のような気がします。現在は原則65歳スタートですが、近い将来、68歳、70歳と段階的に引き上げていくつもりなのでしょう」

 菅首相が自助や共助を強調するのも、布石と言えそう。

 20代、30代の人たちも、将来を見据えて年金を増やしておいたほうがいい。

「個人型確定拠出年金のひとつ、『iDeCo』は年金を増やせるうえ、節税メリットもあってオススメ。ただ、60歳まで掛け金に手をつけられないのが難点です。まずは民間の個人年金保険を検討してみては? 年末調整でお金が戻ってきますし途中解約や借り入れもできます」(北村さん)

 悲惨なのが就職氷河期世代の40代だ。非正規雇用が多く、将来もらえるのは国民年金だけ、という人も目立つ。

「もらえるのが国民年金のみという人は、まずは国民年金基金へ加入しては? 掛け金が所得控除の対象になるし、一生もらえるタイプのものもあって心強いですよ。余力があれば、自営業やフリーランスの人は小規模企業共済やiDeCoの検討を。税金面でも超お得です」(北村さん)

 いずれにせよ、老後は年金だけでは足りないことが明らか。生活全般の見直しをしていくしかなさそうだ。森永さんは、老後に備え支出を絞っていくことをオススメする。

「現在、厚生年金のモデル年金額は夫婦で22万円ですが、少子高齢化の進行で今後は減らされていき、最終的には13万円になると予測されています。ですから、夫婦2人が13万円で暮らせる仕組みを作っておかないといけません」

 特に減らしておきたいのが住居費、次に食費だという。

「都会に住んでいる人は、都会から電車で40分〜50分の郊外にある、適度に田舎な“トカイナカ”に生活拠点を移しましょう。一戸建てが安く買えて、庭で野菜を作れます。畑が30坪くらいあれば一家の野菜はほぼ賄えますよ。現に私が実践してます(笑)。どうしても都会で暮らしたいなら、一生働き続ける覚悟が必要です」(森永さん)

(取材・文/鷺島鈴香)

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