飼い主の死後もペットの世話をする信託制度、新しい里親に“高齢夫婦”を選ぶワケ

週刊女性PRIME / 2020年10月1日 4時0分

※写真はイメージ

 大切な家族の一員であるペットも、人間と同じように高齢化。要介護になった犬猫や、飼い主亡きあとの心配に応えるサービスが続々登場している。ご長寿時代の「終活」最前線をレポート!

飼い主の死後も生涯の世話を約束

「60歳を過ぎて病気で入院したとき、飼っている猫3匹を友人に預けたんですが、入院が長引き、半月もかかってしまって。私に何かあったら、この子たちはどうしたらいいだろう? と考えたんです」

 そう話すのは、NPO法人ペットライフネットの理事長・吉本由美子さん。定年後の人生をどう生きようかと考えていたときの、病気・入院──。その経験から吉本さんは愛猫に少しでも資産をのこしたいとの思いでペットライフネットを設立。2014年に友人の弁護士らの協力を得て、「わんにゃお信託(R)」のサービスをスタートさせた。

 犬猫は法的には「物」として扱われ、飼い主は財産をのこせない。しかし、信託であれば、それが可能となる。

 まず、飼い主の遺言とセットで信託契約を結ぶ。飼い主が亡くなってから、ペットの所有権をペットライフネットに移すことを前提に、終生飼養契約を交わす。終生飼育の費用をペットライフネットに託し、飼い主の死後もペットの面倒を生涯、みてもらうというサービスだ。

「利用者は連れ合いと死別していたり、離婚したり、非婚シングルの女性も多いです」

 こんなケースがある。猫を3匹飼っていた女性は、友人も少なく、仕事もしていなかった。夫を亡くし、頼るところもなく、気が動転した状態でペットライフネットへ相談があった。

「認知症になったら、ペットライフネットに猫の世話をお願いしたいんです」

 そう話す女性に吉本さんは弁護士を紹介し、任意後見の契約が交わされた。その直後から女性の生活が安定したそうだ。心配事を解決したことで、いい影響が出たのだろうと吉本さんは言う。

「他人事とは思えない。もし自分だったらこうしてほしい、と思うことをやるのが、この活動の原点ですね」

末期がん男性のペットを引き取ったのは

 また、ある男性は、末期の肺がんを患い「わんにゃお信託(R)」の契約から1年後に亡くなった。男性が飼っていたペットはペットライフネットが引き取り、新しい里親に養育費を渡し面倒をみてもらうことになった。

 注目すべきは、その新しい里親が高齢夫婦であること。愛護団体では通常、犬猫の里親になりたいと思っても高齢者には譲渡しないことが多いが、吉本さんらは「リタイア後で時間があり、ペットに手間をかけられる」と判断した。仮に里親が亡くなるなどの問題が起きても、再びペットライフネットが引き取る仕組みなので、大事なペットが行き場を失うことはない。

「年をとると友達も年々減っていくし、最近はコロナで人とも会えないでしょう。でもペットはマスクもつけんと寄ってきますよ(笑)。あったかいし、すねてもかわいいし、(ペット愛好家にとって)暮らしに不可欠な存在です」

 気になる費用は、犬で約300万円、猫で約150万円から。終生飼育の料金は細かく相談できる。

 寿命が延びるにつれ、さまざまなケアやサポートが必要になるのは、ペットも同じ。愛情から生まれた仕組みは今後、ますます需要が高まっていくだろう。

(取材・文/吉田千亜)

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