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木村拓哉に二宮和也、岡田准一ら「演技派ジャニーズ俳優」が増えた背景に迫る

週刊女性PRIME / 2021年4月20日 11時0分

左から木村拓哉、二宮和也、草なぎ剛、岡田准一

 歌やダンスはもちろん、さまざまなエンターテイメントで、ファンを楽しませ続けているジャニーズのタレントたち。その中で俳優として注目を集める者も数多い。舞台やドラマ、映画などで活躍し、アイドルという枠を超えて輝く彼らの魅力とは─。

「一時代を築いた影響力の大きさから、やはり木村拓哉さんが圧倒的だと思います」

 こう話すのはジャニーズウォッチャーとして、多くの記事を執筆してきた田幸和歌子さん。主演ドラマが高視聴率を記録し“視聴率男”とも呼ばれた木村。2001年に放送された『HERO』では、平均視聴率34・3%を記録。視聴者のドラマ離れが報じられる昨今でも、昨年の主演ドラマ『BG~身辺警護人~』で平均視聴率15・6%という数字を残している。

「1993年の『あすなろ白書』の2番手で、取手治役を演じてブレイクしました。木村さんは人の視線を惹きつける天才です。欲しいときに欲しいタイミングで欲しい顔をくれる、天性のアイドルならではの才能です」

 演技はもちろん、それ以上に持っている“タレント性”が半端ない、と田幸さんはこう続ける。

存在感、圧倒的なスター性が魅力。サービス精神も旺盛で、アイデアも豊富な方なので、いろいろな作品の中で視聴者にとって印象的なシーンとなっている多くは、木村さんの力が大きいと思います」

何をやっても“ハマり役”

 “何をやってもキムタク”と揶揄されたこともあるが、その存在感ゆえのことなのかも。木村とはまったく違うタイプだが、同じように“何をやっても~”と言われるのが大野智だという。

「仏頂面だったりふてくされた顔で、抑えた演技が多い。その抑えた演技の中から、静かに滲み出る感情のようなものを視聴者が読み解く楽しみがあります。ですから、何をやっても一緒と言われるけど、何をやってもハマり役とも言われるんです」(田幸さん)

 2008年に生田斗真と共演し、大野の連続ドラマ初主演作品になった『魔王』は、ファン以外にも評価が高く、彼の演技で号泣したという声も。現在は嵐の活動休止と合わせて、芸能活動を休止している大野、引退説も報じられているが、ファンにまた演技を見せる日はくるのだろうか。

 演技派ということでは、2006年にハリウッド映画『硫黄島からの手紙』に抜擢された二宮和也もあげられる。

掛け合いのリアリティーが突出しているのが二宮さん。台本は自分のセリフの箇所しか読まないそうです。相手がどんな言葉を発するかを知らないことで、より自然なリアクションを引き出しています」(田幸さん)

 セリフ回しについても、彼独特のやり方があるという。

役の気持ちになって、その場の感覚でセリフとして出しています。リアルな会話では、言い淀んだり、詰まったりするもの。だから、台本の言葉を分解し、組み替えているそうです。記憶力と対応力、台本の読解力の高さがあるからこそできるのでしょう」(田幸さん) 

 国内ドラマのトップクラスの予算を使い、重厚な物語を1年間かけてじっくりと作り上げる大河ドラマ。振り返れば、大河の主役を務め上げたジャニーズ俳優も多数いる。『琉球の風』(1993年)では東山紀之、『新選組!』(2004年)で香取慎吾、『義経』(2005年)では滝沢秀明、『軍師官兵衛』(2014年)では岡田准一─。

 また、“元”ジャニーズだが、現在放送されている『青天を衝く』で徳川慶喜を演じている草ばぎ剛は、「目の演技がすごい」「怒り、泣きの演技が秀逸」など視聴者から絶賛の声が上がっている。彼は今年の『第44回日本アカデミー賞』で、最優秀主演男優賞も獲得。演技の実力はお墨付きなのだ。

 そして2023年、『どうする家康』で主演を務めるのが松本潤。初出演で主役の座に抜擢された。この作品のチーフプロデューサーの磯智明さんは松本に求めたものを、

「華やかさと明るさです」

 と、今までのイメージとは違う新しい家康像を期待していると語る。

「幼少期から“人質”という非常にシビアな状況におかれながらも、そこを生き抜いていかなければならないわけです。信長、秀吉、家康と並べるといちばん地味なイメージをどう変えるか、という部分が今回は大きい。

 どれだけ追い詰められた場面でも明るいキャラで、そんな殿を周りがなんとかして助けなければ、と思わせるような魅力的な人物であることが大きな条件。それを全部満たしてくれるのが、松本さんでした」

 磯さんは、これまでにもジャニーズの俳優を何人かキャスティングしてきた。『平清盛』(2012年)で平時忠役でキャスティングした森田剛は、大河で主演作こそないが、『八代将軍吉宗』(1995年)『毛利元就』(1997年)にも出演している。

 森田といえば、今年の11月1日に、V6の解散とともに事務所を退所することを発表した。舞台俳優として演出家の蜷川幸雄からも認められた彼は俳優としての活動に専念したいのだという。

俳優・森田剛の魅力とは

 これまでの“居場所”を離れ、俳優一本で生きていこうとするジャニーズのアイドルは、これからも出てくるのかもしれない。そんな、俳優として活躍している、ジャニーズアイドルたちの魅力を磯さんに聞いてみると、

「やはり人を惹きつける能力が抜群です。若いころから大勢の中で揉まれながら勝ち残ってきた人たちですから、群像の中でも必ず目がいくような芝居をされるんです」

 アイドルとしての経験が、現場での適応力にもつながっているのだという。

ここ一番で最高のパフォーマンスをすべて出してみせるというような集中力はほかの役者さんとはちょっと違うというか、すごく鍛えられているという気がします。

 やはり、大勢の人を相手に自分がセンターでやらなくてはいけないという重圧の中で、決め所を絶対にはずさない彼らの集中力は素晴らしいですね」

 そして俳優として撮影現場に臨む、彼らの姿勢についてこう語る。

「第一線で長い間活躍し続けるには、何が自身に求められているのか、現場では何が必要かを理解して、それに応えようとしている。制作サイドが何を期待しているかを、常に考えながらお芝居していると思います」

 大河で主演したジャニーズの俳優の中で、特に演技に対しての思いが強いといわれているのが、岡田准一。2015年の『第38回 日本アカデミー賞』では『永遠の0』で最優秀主演男優賞、『蜩の記』で最優秀助演男優賞のW受賞という快挙を果たしている。V6解散後は、事務所に残って演技の仕事に力を入れるとみられている。

 そんな彼に惚れ込んだひとりが、映画界の大御所・木村大作監督。木村監督が語る、撮影現場で岡田が見せた“俳優魂”とは─。

木村大作監督が語る俳優・岡田准一
「ファインダーを覗くことを楽しみにさせる」

「ずっと前から彼は歌よりも俳優を目指していたんじゃないかな。現場で見ていても、作品に対する取り組み方なんか完全に役者だよ」

 2017年の『追憶』ではキャメラマン、2018年の『散り椿』では監督として岡田准一と映画を作り上げた木村大作監督。“世界のクロサワ”と呼ばれた黒澤明監督の作品に撮影助手として参加。キャメラマンとして独立した後も数々の作品に携わり、『日本アカデミー賞』の優秀撮影賞を22回、うち最優秀撮影賞を6回受賞。最優秀監督賞も1回受賞し、2020年には文化功労者にも選ばれた、まさに“レジェンド”の映画人だ。

「作品への取り組み方として、例えば、岡田さんは現場に台本を持ってきてる様子がない。でもね、1回もセリフをミスったことはないよ。全部、頭の中に入れて現場入りしているんだよ。もしかしたら隠し持っているのかもしれないよ(笑)。だけど、現場で目につくところには置いてない」

 岡田以前、木村監督がこれまで自身が参加した撮影現場で、セリフをミスらなかったことで記憶にある俳優がいる。それは─、

「高倉健さん。僕は40年間、9本の作品で付き合ったけど、セリフをとちったことが1度もなかった。将来、名優となる人というのは、若いときからそういう素地があるんだよ」

どんな表情を見せてくれるのか

 また、セリフに限ったことではなく、キャメラマンとして岡田の持っている魅力についてこう語る。

岡田さんは、キャメラのファインダーを覗くのを楽しみにさせてくれるんだ。どんな表情を見せてくれるのだろう、って。セリフを言うときに感情をつくる俳優さんは多いけど、彼はセリフがあろうとなかろうと、いつも感情が入っている。

 だから、自分が監督した『散り椿』では、彼が無言のところをずいぶん使ったよ。その佇まいだけで完結できる俳優さんですよ」

 木村監督と岡田の出会いは『追憶』。当時、岡田については、「何かのアイドルグループにいて、俳優として出ている作品がヒットしている」程度の知識しかなかったという。しかし、ファインダー越しに見た岡田に惚れ込み、彼のある経歴にも惹かれたという。

「岡田さんは10代のときからアクションが好きで、いろいろな格闘技をやられてますよね。そういう人じゃないと、本当の意味の殺陣というものができないと思ったんだよ」

 岡田にオファーをかけた『散り椿』は時代劇。作中、脱藩して浪人となった剣の達人を岡田は演じている。

「彼がいないと作り出せない世界だと思ったから、オファーしました。殺陣師もつけていたけど、現場で岡田さんがつけた殺陣のほうが面白かったんだ」

 木村監督の撮影方法は、キャメラを何台も同時に回し、すべてを1シーン1カットで撮影する。カットして撮り直しをしないことで、斬り合いのリズムもよくなるが、俳優の動き、殺陣の難度が格段に上がる。

「ごまかしがきかないからね。そんな現場の中で岡田さんは“こういう案はどうですか?”って、実際に動いてやってくれる。

 岡田さんが言っていたけど、監督と俳優のセッションだよね。現場に入る前に、俳優さん自身が考えてきたことをテストで見せる。それがよかったら、そのまま本番ですよ。僕から“こうしろ”とかは、ほとんど言わない」

 主演俳優とのこのような関係は、以前に黒澤組で仕事をしていたときに木村監督はよく見ていた。

黒澤明と三船敏郎の関係

「黒澤さんと三船(敏郎)さんだよ。黒澤さんは三船さんに対して、何の注文もしない。三船さんはものすごく自分で考えてきて、ときにはセリフ回しも変えたりね。それでも黒澤さんはニコニコして見ていたね。ほかの俳優さんにはうるさかったけど(笑)、三船さんを怒鳴ったりしたことは見たことがない」

 黒澤監督と三船敏郎。ふたりの姿を、自分と岡田にかぶせているような木村監督。

「監督と俳優って、そうあるべきだというところが僕にはあって。岡田さんはね、撮影中は僕の部屋に“自分はこう思うけど、いいでしょうか”って話しに来てたよ。それを持ち帰って、また自分でいろいろ考えて。それを次の現場で出してくるんだよ」

 実は、次回作の構想を練っているという木村監督。

「今考えているのは現代劇。実現しないとこう言っても仕方ないけど、また岡田さんと仕事、したいね。監督と俳優は巡り合わせ。彼は僕の半分くらいの年だけど、尊敬してますよ」

  “レジェンド”にここまで言わせる存在の岡田。ジャニーズ俳優を、単なるアイドルとして片づけられない時代が来ているのかもしれない。

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